平成30年 第1回定例会一般質問 公共施設のマネジメントについて

平成30年第1回定例会(3月)で行った質問の議事録です。

公共施設のマネジメントについて

 2項目め,公共施設のマネジメントについてです。
 1点目,目標管理は適切に行われているのか。
 目標は,公共施設の総面積を30年間で35%減らすこととされています。施設類型別実施計画を整備される中で,廃止決定された施設もありますが,近年整備されているものは,既に供用開始した消防本部庁舎,今建設中の市役所本庁舎,これから新築移転予定の中央図書館など,これまでのものよりも大きくなります。廃止分の面積と拡大分の面積とはどのような状況になっているのでしょうか。また,これまでに既に公共施設として廃止済みで普通財産として所有しているものはどれくらいあるのでしょうか,お尋ねします。
 目標の30年間で35%減らす根拠とされた平成21年から平成25年の5年間で,施設の更新や維持管理にかけたコストは,年平均38.8億円でありますが,その後の施設にかけたコストについて把握されていないように聞いております。施設面積を減らすことの目的として,財政的に維持可能であるようにすることがあるわけですから,施設に関するコストは年度ごとにきちんと把握していくべきではないでしょうか。さらに言いますと,現在の目標は面積ベースとなっています。しかし,この計画の目的としては,施設の維持管理や更新において財政的に全部を維持することは不可能であるのを可能な範囲に抑えることです。つまり,金額ベースでの目標管理が必要ではないでしょうか。修繕や更新も含めた維持管理費を一定金額内に抑えていくような感じです。逆に金額が抑えられれば,面積にそこまでこだわらなくてもよいのではないかと考えています。金額ベースでの目標管理をされてはどうでしょうか,お伺いします。
 2点目,推進体制についてです。
 現在面積ベースで減らす目標を持ちながら,施設更新の際に大きくなる結果になっており,庁内全体として公共施設を減らしていくという目標がしっかり共有されて浸透しているように見受けにくく感じています。現在施設整備の際に,公共施設の量や金額を目標達成に向けてコントロールしていくためのチェックがどのように行われているのでしょうか。推進していくためには,市として持っている施設全体の把握,整備の際のチェック,協議,今後の試算など作業量も多いと思いますが,現状の体制で確実に推進していけるのでしょうか。
 このたび担当部署が組織改正になるようですが,公共施設のマネジメント体制の変更も考えておられるのでしょうか,お尋ねします。

<山口秀充経営企画担当部長>

 
 御質問の公共施設のマネジメントについてお答えいたします。
 1点目の目標管理は適切に行われているかのうち,公共施設総合管理計画策定後の公共施設の廃止及び拡大面積の状況ですが,まず計画策定時の延べ床面積は,平成27年3月時点で約49万9,000平方メートルでありました。その後の廃止面積は,旧緑ヶ丘女子商業高校の売却や旧小学校の解体により1万4,300平方メートルを削減し,一方,拡大面積は,消防本部庁舎や現在整備中の新庁舎などにより約1万2,900平方メートルが増加しており,全体としては約1,400平方メートルの減となっている状況で,残り2年となる新市建設計画に位置づけた施設整備に取り組んでいる期間中ではありますが,床面積が増加している状況ではありません。
 次に,公共施設として用途,機能を廃止済みで,現在普通財産として所有しているものについてですが,主には統廃合により廃止した小学校や保育所,幼稚園などがこれに該当し,平成27年3月末時点で約4万5,800平方メートルあります。現在の普通財産全体の面積は約5万8,300平方メートルですので,約80%をこれらが占めております。そのほかの20%は,大きなものはペアシティ三原西館や旧交通局など,小さなものは観光施設のトイレなどがあります。また,公共施設として用途廃止,機能を廃止した建物であっても,旧和木小学校のように,現状も活用され,今後も市が所有する予定のものと,状況に応じて売却や貸し付け,解体するものの両方を含んでおります。
 次に,施設に関するコストの把握についてですが,総合管理計画において直近5年間,平成21年度から25年度までの更新費用の平均が年間38.8億円と記載しておりますが,これは普通建設事業費のうち,箱物の新設や大規模改修に要した費用であり,イニシャルコストを示したものであります。したがいまして,光熱水費や小規模修繕,清掃等の委託などのランニングコストは含んでおりません。これらの情報のうち,イニシャルコストについては,平成26年度以降の施設整備費用についても,決算資料等をもとに,その推移は把握できておりますので,今後説明できるような形に整理してまいります。ランニングコストについては,現在市のホームページで公表しております施設カルテにおいて施設ごとに示しておりますが,ランニングコストの捉え方が統一できていないなどの課題があったため,捉え方の基準を再整理しており,この整理ができた後に施設カルテの情報を更新したいと考えております。
 次に,金額ベースでの目標管理の必要性について,本市では将来の床面積削減目標について,1,人口推計による30年後の人口との比較,2,現状のままの床面積を更新した場合の更新費用と直近5年間の更新費用経費との比較,3,市民1人当たりの床面積での他都市との比較から,最も厳しい数値である35%を採用したところでございます。
 金額ベースで目標数値を設定する場合には,計画期間となる今後30年間で負担可能な更新費用の上限値の設定や,30年後に残す施設の設定などの前提が必要となりますが,本市では,現時点で施設類型別実施計画の策定作業中でありますので,それらの設定が整理できていない段階であり,現時点では金額ベースの目標設定は難しいと考えております。
 一方,ある自治体では,計画期間中における更新費用の負担上限額を目標数値として設定している自治体もありますので,その方法等を研究するとともに,施設類型別実施計画をもとに具体的な整備計画を今後整理する中で,金額ベースの目標管理について検討をしてまいります。
 2点目の推進体制のうち,公共施設整備のチェックについてですが,毎年8月ごろに新年度以降に予定している新規・拡充事業の調査を行いますが,中でも箱物に係る整備実施については,別途その必要性や優先度等を庁内で審議し,実施について判断するとともに,新年度の予算査定において,その費用面を精査しており,このようなチェックにより予算案として提案をしております。
 面積ベースで減らすことを念頭に置きながらも,新市建設計画の着実な推進という視点,喫緊に解決すべき課題への対応という視点なども踏まえた検討が必要と考えており,今後も事業の優先度を考慮し,政策的に実施が必要と判断した事業については,議会へ説明しながら着実に実施してまいります。
 次に,公共施設のマネジメントの推進は,これまでと同様に経営企画課が司令塔となり,各施設所管課と密接に連携して進めていく必要があると考えております。このたび組織再編を行うため,関連条例の改正議案を提出しておりますが,それにあわせて公共施設マネジメントの着実な取り組みのための内部組織も検討しているところであります。いずれにしましても,限られた人員の中で業務を確実に遂行することができる組織体制の構築を常に心がけてまいります。

 御答弁いただきました施設整備費用の5年間平均33.8億円は,ランニングコストは含まれていないということで理解をしました。公共施設の廃止や新たな整備によって数値が変動します。そういったことや,廃止から売却などによって手放すまでの時間差もあるということで,全体としてどういう状況にあるのかが非常にわかりにくく感じております。
 1月に行った市民と議会との意見交換会でも,廃止済みの施設の影響が三原市として公共施設の量の多さということに影響があるんじゃないかという御意見をいただきました。市民の皆さんにわかりやすい見える化を進めていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。
 金額ベースの目標管理が現状として難しいということはわかりました。ただ,御答弁いただいたとおり,面積35%削減の根拠が金額であるので,目標管理も金額ベースでやっていかなくては面積とコストとの乖離が生まれるのではないかと心配をしております。検討していただけるということなので,コストでの管理が実現できるようよろしくお願いします。
 それから,推進体制について,現状のチェック体制はわかりました。個別のハードの整備で必要性,優先度,コストについて審議,チェックが行われているということです。この市役所内部で検討される際に,目標管理がシビアに行われることによって必要性の検討に影響してくるんじゃないかと思っています。極端な表現になりますが,優先度の高いものから10個できるのか,5個しかできないのかということです。1項目めで質問させていただいたとおり,今後の歳入一般財源は不透明ということで,その一方で歳出増が必要となりそうなものはたくさんあるわけです。いわゆる箱物にどこまで費用をかけるのか,かけられるのか,かけていくのか。一旦つくったらずっと維持管理費用が発生し続けていくものです。そして,財政,歳入には必ず上限があります。つくるときに目標管理,本当にはまるのかどうか厳しくチェックをしていただきたいと思っています。チェックはしました,審議はしましたが,結果としてふえました,コスト枠にはまりませんでしたということでは,推進体制として確立できてないということじゃないかと思うんですが,厳しい言い方にはなるんですが,この点再度御答弁をいただきたいと思います。

<山口秀充経営企画担当部長>

 
 再質問についてお答えいたします。
 公共施設マネジメントの進捗状況についてわかりやすく公表すべきという点につきましては,現状では用途廃止した施設であっても売却,解体していない建物は普通財産として保有面積に含んでおり,また廃止後,市として活用しないことを決定した建物でも,売却,解体がすぐに実施できない場合もあるため,利用しないにもかかわらず普通財産として残っているなど,公共施設削減の進捗状況がわかりにくくなっております。このため,建物としては残っていても,維持管理コストが発生しなくなった段階で,総延べ床面積からは外すなどの一定のルールを整理した上で,公共施設マネジメントの進捗状況が市民にもわかりやすく伝えられるような方法を整理し,更新費用や維持管理費用とあわせ,公表できるように取り組んでまいります。
 次に,目標管理につきましては,総延べ床面積を30年間で35%削減という目標を掲げていますが,現時点では最初の10年間の施設類型別実施計画の策定中であり,30年後に具体的にどの施設がどれくらいの面積で残っているかを示すことは困難であります。このため,原則新規施設はつくらない,今後も必要な機能は更新するが,複合化,集約化を目指すなどを市の方針とし,段階的に面積を減らしていくこととしております。あわせて,現在は新市建設計画に位置づけた新庁舎や新斎場など,将来にわたり必要な公共施設の老朽化に対応するための更新事業を実施している時期であるため,目標に対しての廃止効果がわかりにくくなっているものと考えております。今後は新市建設計画の大型事業が完了するとともに,施設類型別実施計画に基づき,廃止することとした施設の処分や地域別の再配置の中での複合化,集約化に向けた具体的な検討により,床面積削減の具体像が見えてくるため,目標に対する進捗状況や効果をわかりやすく伝えられるようになるものと考えております。
 また,先ほどの答弁でも説明をしましたように,経営企画課が司令塔となり,各施設所管課と密接に連携し,中期的な数値目標の設定などの検討,点検を行いながら,公共施設の適正配置に取り組んでまいります。

 御答弁をいただきました。事情はいろいろおありであろうと思います。ただ,これから地域の施設も減らしていかざるを得ないという中で,一方で施設がふえてるじゃないか,大きくしてるじゃないかという目を市民から向けられかねないという心配をしています。わかりやすく見える化していくこと,説明責任を果たすということが重要であると考えております。公共施設を減らすという大変難しい課題です。これをどうやったらよい形で進めていけるのか,議会としても,正田委員長のもと総務財務委員会でも公共施設をテーマに視察に行き,議論を重ねていますので,一緒に頑張っていければと思っております。