平成30年 第1回定例会一般質問 平成30年度予算全体と今後の財政見通しについて

平成30年第1回定例会(3月)で行った質問の議事録です。

平成30年度予算全体と今後の財政見通しについて

 議長の許可をいただき発言いたします。
 議会初日に市長に施政方針をお示しいただき,平成30年度予算を御提案いただきました。施政方針で私が一番注目した部分を読ませていただきます。
 本市を取り巻く環境は引き続き厳しい状況が続くと見込まれますが,将来に向け,地方創生と元気な三原を実現していくためには,市民に夢と希望を与える住みよいまちづくりに取り組んでいくことが必要であります。このため,未来に向けて今解決すべき課題への取り組みや未来をつくる人材育成などの事業を積極的に推進するというところです。大変共感しております。
 本日の私の総括質問は,将来的な負担を減らすこと,将来的な利便性を高めることを目的として既に取り組んでおられる公共施設やインフラのマネジメントについて質問や提案を行います。
 1項目め,平成30年度予算全体と今後の見通しについて。
 1点目,当初予算の編成についてです。
 一般財源は年々減少傾向にありましたが,平成30年度当初予算では若干伸びております。今後の見通しについてはどのようにお考えでしょうか。当初予算を年度ごとに見ていくと,毎年同じ業務を行っていると思われるものが,年々予算額が減っております。新規事業が入ってくる中で,これまでの継続事業にしわ寄せがあるように見受けますが,当初予算で歳入の枠内におさめるに当たって,どのように予算編成を行っておられるのでしょうか,お伺いします。
 2点目,経常経費の圧縮についてです。
 歳出を歳入枠内におさめる対策の一つとして,ここ数年経常経費を一律に圧縮しているように聞いています。各年度どのような数値で行われ,どのような状況にあるのでしょうか。また,経費を一律に圧縮するようなやり方は持続可能なのでしょうか。市長はどのようにお考えですか,お伺いします。
 3点目,事業廃止の仕組みづくりについてです。
 継続事業の予算額が徐々に減らされていることに加え,新規事業がふえる,つまり業務量がふえることで,各職場,職員の負荷が大きくなっているのではないでしょうか。私は,事業の取捨選択が必要なタイミングを迎えていると受けとめておりますが,市長は事業の廃止についてどのようにお考えで取り組んでおられるのでしょうか。
 市役所内で廃止事業の募集をしても提案が上がってこないとも聞いております。これについては,原因の把握をしておられるのでしょうか。事業の取捨選択の必要性が理解されていないのか,やり方がわからないのか,取捨選択を考える時間がないのか,原因によって必要な対策が異なるのではないでしょうか。事業廃止について御見解を求めます。

<中野正財務部長>

 
 御質問いただきました当初予算の編成,経常経費の圧縮,事業廃止の仕組みづくりについてお答えいたします。
 まず,当初予算の編成についてですが,平成30年度当初予算での一般財源の増額は,普通交付税の臨時財政対策債や合併特例債などの元利償還金に係る算入額が増加することから,実質的な普通交付税額である普通交付税と臨時財政対策債の合計額を前年度から3億1,400万円の増で見込んでおります。
 今後の見込みにつきましては,平成30年度までは,国は地方の一般財源総額を確保することを約束しておりますが,31年度以降につきましては未定であることから,市税が減少傾向にある中,前年度と同額程度の一般財源を確保することにつきましては不透明な状況にあると考えております。
 次に,新規事業を歳入の枠内におさめるための予算編成の方法及び経常経費の圧縮についてですが,平成21年度以降,経常経費について枠配分方式で一定のシーリングを行っております。これは,予算要求の方針を通知する際,財政計画や前年度予算,歳入の決算見込みの状況から翌年度の歳入の一般財源の見込みを計算し,義務的経費や投資的経費及び新規事業に必要な一定の一般財源を控除した額を限度として,経常経費の要求額を圧縮する方法でございます。市税収入の減少や普通交付税の合併特例の段階的縮減など,一般財源の確保が難しい中,最近では,3%から10%程度の圧縮を指示しております。
 このように,枠内での予算要求を基本としておりますが,上限を上回る要求額でも市民サービスを低下させないために必要と認められる経費につきましては,一般財源をやりくりしながら予算計上をしております。
 枠配分方式が今後も持続可能かについては,限界の状況にあるとは承知しておりますが,歳入に見合った歳出予算を編成するため,また市民要望や課題解決のための新規事業,新市建設計画事業の着実な推進,少子高齢化による扶助費の増大や市債元利償還金の増加などから,一定のシーリングを設定しなければ基金を取り崩さずに予算を編成することは難しい状況でございます。
 最後に,事業廃止の仕組みづくりについてですが,これまで市の事業は,社会経済情勢の変化に対応し,多様化する市民ニーズに応える形で増加してまいりましたが,行政の対応だけでは困難な時代を迎え,民間活用や市民協働,自助や共助などの視点を加えながら行政運営も変化しております。
 こうした中で,市の事業を適切な担い手に任せたり,ニーズが少なくなった事業を廃止することで,新たなニーズに財源を配分することが必要であると考えております。こうした考えのもと,今行っている対策は,三原市行財政改革実施計画において重点項目,事務事業の最適化の中で,行政評価制度の再構築や事業レビューの実施,サンセット方式の導入といった取り組み項目を掲げ,全庁的に取り組んでいるところでございます。また,スクラップ・アンド・ビルドの徹底を図るため,各所属に対し,新規・拡充事業の要求に当たっては,事業廃止の対象リストを提出するよう求めており,平成30年度当初予算では,乳がん検診の若年層触診の廃止やあやめが丘分譲地のモデルハウス設置費補助等を実際に廃止しておりますが,新規事業等に必要な財源を補うのに十分な廃止提案が上がってこない現状でございます。
 この原因といたしましては,各所属における個々の事業や対象となる相手方等の問題,さらには御指摘の3点に加え,市民生活への影響を考慮しつつ,できるだけ市民サービスの質を低下させないよう十分配慮する必要があり,調整に時間を要することなどが考えられます。
 それぞれの原因により必要な対策が異なることも認識しておりますが,原因が重なることが多く,それぞれの対策が必要であると考えております。今後とも個別事業の点検や経費の精査に当たっては,事業の廃止や取捨選択の必要性について,各所属と理念を共有し,積極的な意見交換により理解を深めるとともに,平成32年度から5年間の長期総合計画後期基本計画の策定準備を通じて,上位目的である施策への貢献の視点や手段である事業を体系的に把握する中で,必要な事業の整理や別々の課で同じ目的の類似事業がある場合は統合を図るなど,効率的な事業執行に向け不断の改革に取り組んでまいります。

 全体を通して市長にお伺いしたいと思います。
 平成30年度の一般財源の増額分は,平たく言うと,いわゆる国が見てくれる借金の国が見てくれる部分がふえたということです。財政課は財政課で各部署からの予算要求を歳入の枠内にはめ込むというミッションを確実に実行しておられます。各部署は各部署で市民ニーズに応えるために,既存事業に加え,新規事業にも取り組んでおられます。頑張っておられる様子はよく承知しておりますが,財源不足で酸欠状態に陥り,その上負荷が大きくなって血圧が上がっているような,慢性疾患のような状態になりつつあるのではないでしょうか。
 一定の収入の中で新規事業をやるのかやらないのか,新規事業をやるのであれば,借金して賄うのか,既存事業をやめて賄うのか,事業内容の見直しでコスト削減するのか,これはトップの経営判断であると思います。これまでと同じ内容の事業を続けながら予算が年々減っていることや,既存事業に加えた新規事業,国の制度が変わることへの対応など,市役所全体として業務の負荷がふえているという認識をお持ちなのかどうか,そして事業廃止が必要という考えをお持ちなのかどうか,市長にお伺いします。
 事業廃止の具体的な内容についても再質問いたします。
 事業廃止が進まない理由や状況をおっしゃっていただきました。そのとおりだと思います。市役所内部の状況を私はわかりかねる部分もありますが,私としては,事業廃止の大変さが一番大きなネックになっているのではないかと感じております。担当部署として事業を続ける大変さと事業をやめる大変さと比べたときに,事業をやめる大変さのほうが大きければやめようという意見は,なかなか出にくいと思います。事業廃止の一番入り口として,廃止可能な事業ではないかとちらっとでも思ったときに相談できる場所があるかどうか。相談したら廃止が可能かどうか検討するために必要なデータや情報を一緒に考えてくれる。廃止できそうとなったら,どうやって市民の皆さんに御理解いただくかなど,廃止までに必要なプロセスを一緒に考えてサポートしてくれるというような担当課の事業廃止をサポートする体制が必要ではないかと考えています。
 市役所内部での事業廃止コンシェルジュのようなイメージで思っています。こういうサポート体制について,いかがお考えでしょうか。お伺いします。

<天満祥典市長>

 
 再質問にお答えをいたします。
 まず,議員お尋ねの認識につきましては,権限移譲や住民ニーズの多様化により業務はふえており,全庁的な業務の効率化により対応しているところでございますが,新たな課題も日々発生をしており,これらの課題解決に取り組み,市民の期待にしっかり応えていくことが必要であると認識をしております。
 こうした厳しい状況におきまして,社会情勢の変化に対応し,効率的な行政運営を行うためには,効果やニーズの少なくなった事業を廃止することは欠かせないものであると考えております。事業廃止を含む行政経営に積極的に取り組むことで,人的資源や新たな財源を確保し,市民が満足して住み続け,市外からも選ばれる,そして子どもたちも将来帰ってくるようなまちづくりに取り組んでまいりたいと考えております。御理解いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

<山口秀充経営企画担当部長>

 
 事業廃止の仕組みづくりについての再質問にお答えをいたします。
 各所属の事業廃止に対するサポート体制の整備に関しましては,御提案のそのような機能があれば事業廃止に積極的に取り組む上で一定の効果はあるものと考えております。
 現行の組織で言えば,経営企画課の役割であり,現在でもそうした案件があれば,個別に相談に乗るとともに,行政アドバイザーの活用や事業レビューによる外部点検の実施など,事業廃止に向けたサポートを行うことが可能な体制でございます。
 一方,事業廃止が期待どおりに機能しない根底には,各所属では所管する行政サービスの向上を優先する余り,役割を終えつつある事業や環境変化によりニーズが低下した事業に気づかず,事業廃止の対象を見過ごす傾向があると考えております。このため,あらゆる機会を通じて事業廃止の必要性に関する理念の共有と各所属の理解を深めるよう,御提案の趣旨を踏まえながらさらなる協力体制の整備に努めてまいります。

 私,毎年の予算を見るときに個人的に指標の一つにしている数字があります。毎年の業務内容の変化が余りないであろうと思われる財産管理費です。この5年間で約半分になっています。ほかの部署にしても,ちまちま,ちまちま削られています。削れるものは削ればいいのかもしれませんが,こういうやり方はやっぱり持続可能ではないと思います。そして,職員の皆さんの士気も下がるのではないかと感じています。
 市長に御答弁いただきました新たな財源確保,マンパワー確保というクリエーティブな発想で事業廃止に取り組んでいただきたいというお願いをして,次の質問に移ります。