平成30年 第5回定例会一般質問 市民の市政への参画を促進し、市民協働のまちづくりを進めることを目的とする「パブリックコメント(市民意見公募)手続制度」を充実させることについて

平成30年第5回定例会(12月)で行った質問の議事録です。

市民の市政への参画を促進し、市民協働のまちづくりを進めることを目的とする「パブリックコメント(市民意見公募)手続制度」を充実させることについて

 議長の許可をいただき一般質問を行います。

 1項目めは,市民の市政への参画を促進し,市民協働のまちづくりを進めることを目的とするパブリックコメント,市民意見公募手続制度を充実させることについてです。

 ことし6月に無作為抽出の市民1,000人にアンケートを送り,調査を行ったところ,市が発信している情報が,市民に十分に伝わっていないという結論になりました。今回は,この調査結果を受けて,改善策を提案したいと思います。

 まず,私が行った調査について説明させていただきます。調査は,水道料金の値上げという具体的なことを題材として,市が発信している情報が,市民の皆様に届いているかどうか,届けた情報の理解度によって,考えの違いがあるかどうかを把握するために行いました。アンケートを送った対象は1,000人で,男女,年代,地域ができるだけバランスがとれるように選挙人名簿から無作為に選びました。回答をいただけたのは298人で,30%にも届かなかったのは大変ショックを受け,残念に思っています。男性114名,女性が184名という回答状況でした。残念なのは,20代はたった3人ということで,寂しい結果となってしまいました。1,000人にアンケートを送る郵送費用12万円を是々非々の会の政務活動費から充てさせていただきました。回収率が30%ということは,300人の回答を得るために1,000人,500人の回答を得るために1,600人に送る必要があるというのが現状ですので,市民の市政への参加,協力を高めていくことによって,行政コストの削減にもつながることを痛感しています。また,これとは別に行った調査で,中国地方の107市町村に対して,それぞれの住民アンケートの回収率を尋ねたところ,回答のあった65市町村の中で,本市が一番低いということがわかりました。調査目的の市が発信している情報が市民に届いているかどうかですが,水道料金値上げについて知っていた人は,全体で55%という結果でした。ですが,この55%という値は,回答数が3人と少なかった20代の67%と広報みはらを毎月,ほぼ毎月読む人の割合が96%と高い70代の73%という数字が引き上げたもので,30代では47%,50代では48%と半分に達していませんでした。グラフを提示させていただいておりますが,オレンジのほうが知らなかった人の大きさをあらわしています。アンケート回収率の低さを考えると,知らなかったという人はもっと多いのかもしれません。また,水道料金値上げの内容を含む水道事業経営戦略について,パブリックコメント,市民の意見公募が行われたことを知っていた人は,全体で8%,値上げについて知っていた人に限っても14%という低い結果でした。この数字も大変ショックに思っております。これらのことから,市が発信している情報が,市民に十分に伝わっていないという結論に至りました。情報発信のツールをふやすべきなのか,それとも今使っている情報発信媒体の見直しが必要なのかということはさらに研究していきたいと思いますが,今回は92%の人が知らなかった市民の意見公募制度,パブリックコメント制度を充実していくことについて質問いたします。

 より多くの方から意見を提出いただけるよう取り組まれているか,まず伺います。水道事業経営戦略のパブリックコメントで,意見の提出があったのはお二人でした。平成29年度,30年度に行われた12回のパブリックコメントでの意見提出は,平均が2人,最大が10人,意見ゼロは4回,3割を超えているという結果です。このような現状ですが,より多くの方から意見を提出いただけるように取り組んでおられるかどうか,お伺いします。

 2点目は,パブリックコメントを行う際に提供する資料についてです。

 私は,政策形成のプロセスに市民が参加できる仕組みを充実していただけることをずっと訴え続けてきました。そして,市民と行政双方への働きかけをしてきました。昨年2月の駅前中央図書館基本計画のパブリックコメントが行われた際には,アンケートを行いました。パブリックコメントが行われていることを知っているかどうか,パブリックコメントに意見提出をしようと思うかどうか,意見提出しようと思わない場合,その理由は何かの3点をフェイスブック上でアンケートをしました。その結果,意見を出そうと思わない理由の一番は,資料がわかりにくいからというものでした。駅前中央図書館基本計画の資料は24ページでしたが,場合によっては100ページに及ぶような資料もあります。パブリックコメントが実施されるということをせっかく知ってもらっても,次の段階のハードルがあります。図書館基本計画については,パブコメガイドというものをつくってみました。読書や地域資料の保存など,図書館本来機能に関心がある,利用の利便性に関心がある,まちづくりに寄与する機能や企画に関心があるなどの大項目に分類し,その中に小項目として,子どもと保護者が安心して過ごせるサービスの提供など,どんな内容が何ページに書かれているかをA4,1ページにまとめました。そして計画の資料全体はどこで見られるか,どんな形式で意見を書いたらよいかという内容を1ページにまとめました。わかりやすかった,パブコメガイドを見て自分の意見を書いて提出したと言っていただくことができました。

 そこで,提案ですが,パブリックコメント公募の際に,提出のガイダンスになるようなものを本編の資料とは別につくっていただけないでしょうか。これまでのパブリックコメントでも,本編と別に概要版をつくっておられる場合もありますが,概要版といっても10ページ程度のものになっています。もっと簡単にわかりやすい資料の提供ができないでしょうか,お伺いします。

 3点目は,意見公募の対象となる計画などの情報提供の機会をふやすべきではないかということです。

 現状では,計画案がまとまった段階での意見公募,パブリックコメントですが,それに加えて,計画案をつくり始める段階でオープンな意見を受け付けるようにしてはどうでしょうか。これは,目に触れる機会をふやすということと,課題について気になっている情報を気軽にお寄せいただくという趣旨を想定しています。

<里村学総務部長>

 
 議員が独自に行われましたアンケート調査,その結果をもとにパブリックコメントにつきまして3点の御質問をいただきました。

 まず,1点目,より多くの方から意見をいただけるよう取り組まれているかについてでございます。

 パブリックコメントにつきましては,従前から各主務課,各支所,市役所本庁3階の情報公開コーナー,市ホームページで原案を公表するとともに意見を募集し,実施の周知を広報みはらと市ホームページで行っております。提出される意見の数については,募集する政策や計画の内容によっては多くの意見をいただくこともありますが,全体としては少ないのが現状であります。これは,パブリックコメントの周知方法や原案の閲覧,意見の提出ができる場所が限定的であるため,実施していること自体が市民に伝わりにくいことが主な原因であると考えております。こうした課題に対応するため,昨年度からは平日にお勤めの方などが原案の閲覧や意見の提出がしやすいよう,休日も開庁しておりますサン・シープラザと各図書館を公表と意見募集の場所に加えました。また,広報みはらでの告知も記事をより目立つ場所に掲載し,内容をわかりやすく改善するとともに,市ホームページでは,ページ階層を見直し,トップページのパブリックコメントのコーナーから各原案のページへ直接移行できるようにするなどの改善を行っております。今後ともより多くの方から意見をいただけるよう,実施する際は各報道機関へ情報を提供し,市のフェイスブックでも呼びかけを行うなど,市民への情報発信に努めてまいりたいと考えております。

 御質問2点目,意見公募に際し,よりわかりやすい資料提供に取り組まれているかについてお答えいたします。

 パブリックコメントにおきましては,意見募集を行う原案が,数十ページから100ページを超えるような長大なものの場合,添付資料として概要版を作成して公表しております。概要版には,原案全てを閲覧していただかなくても,政策や計画の全体像をつかんでいただけるよう要旨等を掲載しております。分量は,A4サイズで10ページ以内を目安にし,表や図などを用いて閲覧者が視覚的に理解しやすい工夫をしているものもあり,原案の内容をわかりやすく伝えるツールとして,一定の効果があるものと考えております。しかしながら,添付資料の作成に際しまして,簡潔さや読みやすさを追求し,余りにシンプルな内容にしてしまいますと,当該政策や計画の目的,趣旨,内容等が正しく伝わらないという懸念もあり,市民からいただいた意見を政策に反映するというパブリックコメント制度の本来趣旨と照らし合わせて逆効果になってしまうおそれもございます。資料の作成におきましては,原案の持つ性格を考慮しつつ,内容が正確に伝わり,同時に市民にとってわかりやすいものになるよう,今後も取り組んでまいりたいと考えております。

 御質問3点目,意見公募対象の計画等に関する情報提供の機会をふやすべきではないかについてでございます。

 政策や計画の策定に際しましては,外部からの意見を取り入れるため,パブリックコメント以外にも事業によりましては一般公募で選出した市民や有識者等で構成します審議会等で意見をお伺いしているほか,市民アンケートやワークショップを実施し,その結果を反映するなどの取り組みを行っております。また,政策の内容によりましては,地域住民への説明会を実施し,関係する団体等から聞き取りを行うなど,事業の構想段階から市民に情報を提供し,意見を取り入れる取り組みも行っております。今後におきましても,パブリックコメント制度の適正な運用とあわせまして,より多くの市民から意見をいただくことができるよう努めてまいります。

 御答弁いただきましたように,確かにこの一,二年中にパブリックコメントの資料が閲覧できる場所をふやしたり,ホームページの掲載をわかりやすくしたり,さまざまな改善をしていただいているということは承知しております。このたびは独自のアンケート調査の結果,課題が明らかになったので質問をしております。わかりやすい資料について再質問ですが,政策や計画の全体像を正確に伝えるということになると,ある程度のページ数が必要になるということは理解いたします。最近よく政府の政策が1枚物で示される資料がありますが,1ページの中で流れや関係性を読み解くのに時間がかかることがあります。提案としてお願いしたいのは,関心があるページがわかる検索機能的なイメージ,目次がわかりやすくなったものというのをイメージしております。もう少し工夫をしていただけないかという思いがあるのですが,いかがでしょうか。

 もう一点,総合的に市長にお伺いしたいと思います。

 部長から御答弁いただいたように,パブリックコメントの前の段階として,審議会や説明会,意見聴取会なども行われております。今回質問のパブリックコメントというのは,政策形成プロセスの最後の段階です。これまで政策形成プロセスへの市民参加,市民の参画についてしつこく質問,議論をさせていただいて,市民ワークショップに中学生から参加できるようになったり,政策の見直しの機会である事業レビューに市民が判定者として参加できるようになったり,少しずつ参画の機会を広げていただいてきたことは実感しております。パブリックコメントだけの充実というのは難しい面もあり,政策形成プロセス全体の市民参画の充実が求められるということは,研究者の論文でも述べられています。パブリックコメントを含む市政情報の発信は,みはら元気創造プランにおいて5つの基本目標とは異なる位置づけで,目標に向けた計画を実現するための施策です。市民の皆さんに市政に関心を持っていただく,市の課題を共有する,課題解決に一緒に力を合わせていただくという市民協働のまちづくりを支える基礎となるもので,計画実現を左右する重要な要素です。情報発信の窓口は,秘書広報課ですが,それぞれの担当部署で担う部分も大きいため,市民との情報共有のあり方について総合的に見直していただきたいと思いますが,いかがでしょうか,お伺いします。

<里村学総務部長>

 
 わかりやすい資料について再質問といいますか,御提案をいただきました。釈迦に説法になりますけども,パブリックコメントは,政策や計画を市民とともにつくっていくための制度の一つであります。市民の市政への参画を促す重要な仕組みでございます。したがいまして,パブリックコメント制度そのものも含めて,個々の政策や計画案についてわかりやすい資料を用意することは,制度への理解を促して,より有益な意見をいただくために有効な手段であるというふうに思っております。議員からは目次のような検索機能を持った資料という御提案をいただきました。いただいた御意見,参考にしながら,市民が意見を提出しやすい資料の作成に努めてまいります。

<池本勝彦副市長>

 
 安藤議員からは,前々から住民協議会の開催などを初めとして,要はもっと住民の声を市政に反映すべきという御提案をさまざまいただいております。住民の声を踏まえた政策提案が重要というのはこれはおっしゃるとおりだと私も思っております。一方で,住民の意見というのは,これは一つの施策についてそれぞれの立場によって賛成もあれば反対もある。そういう中で,どういう施策にしていくかということの判断,この部分が行政にとって最も難しいところだろうと私も実感をしております。だからといって,意見は聞かないということではなくて,賛成,反対の両方の意見を踏まえて判断をしていかなければならないというふうに思っております。以前にも御答弁をしたと思いますけれども,パブリックコメントへの意見提出が少ない,この要因の一つは,やはりおっしゃるように市政への市民の関心が高くないということだと私も感じております。議員の御意見も取り入れまして,先ほど議員も言われましたけれども,事業レビューに公募した市民判定員に御参加いただくといったことも取り組んでおりますけれども,まだまだそれだけでは十分でないよという御指摘だろうと受けとめさせていただいております。市民との情報共有のあり方について総合的に見直しをせよという御質問でございますけれども,その方法はテーマや事業によって異なると思いますし,市民が望む市政へのかかわり方,例えば今は無関心だけれども,ちょっとこれから関心を持ってみようかなと思うような段階,あるいは自分で何かに参加して,市の行政課題を自分が行動することによって解決してみようというような段階,いろんな段階があると思います。それぞれで適切な情報共有のあり方というのは異なってくるものだと思います。当面,来年度ですけれども,長期総合計画の前期基本計画の期限を迎えますので,見直しを考えております。すなわち,後期の基本計画の策定に取り組む予定であります。まずはこの策定作業におきまして,今もやっておりますけれども,ワークショップの開催であるとか,例えばこれまでは最終案の段階で行っていたパブリックコメントを素案の段階でやってみる,そういったことなどもやりたいなというふうには思っております。来年度のそういう計画の見直し作業の中で行うような住民参加を促進するための仕組み,これをできるところからやってみて,それを一つのひな形として,ほかの政策形成の際にも活用できればなというふうに思っております。

 御答弁いただきましたが,市民の意見といってもさまざまな意見がある,反対の意見も賛成の意見もということをどういうふうに判断をしていくかというのは,私も議員になってから非常に苦慮しているところであります。ちょうどタイムリーな話題としては,今東京都ですけれども,青梅市で高齢者向けの無料入浴施設を公共施設マネジメントの中で廃止するという決定をしたところ,御高齢の方たちが市役所に詰めかけて,横断幕を持ってお風呂廃止反対というふうに言っておられるというようなことも報道されております。そういった反対が必ず出るような問題もありますが,そういうことに対しても判断に当たってどういう情報をもとに判断したのかということをきちんと出していく,誠実な態度でいい情報も悪い情報も誠実に出していくということが求められていると私は思っております。前向きな御答弁もいただいたので,ぜひ進めていただきたいと思っております。これに関しては,研究者の論文もあるということを先ほど申し上げましたが,一つ御紹介したいものがあります。東京工業大学屋井先生の論文からの言葉を引用いたします。必要なことは,計画づくりを市民と共有するオープンな取り組みに変貌させること。これからの計画は,外部との共有技術でなければ展望は開けないとおっしゃっております。一緒につくっていく,さまざまな価値観,さまざまな意見がある中でつくっていくことの難しさは感じておりますが,それでも一緒にやっていかなくてはいけないと思っておりますので,ぜひお願いしたいと思います。