平成30年 第5回定例会一般質問 国内外の新たな社会潮流である「持続可能な開発目標(SDGs:エスディージーズ)」について、どのように取り組まれるかグランドデザインについて

平成30年第5回定例会(12月)で行った質問の議事録です。

国内外の新たな社会潮流である「持続可能な開発目標(SDGs:エスディージーズ)」について、どのように取り組まれるかグランドデザインについて

 2項目めは,国内外の新たな社会潮流である持続可能な開発目標,SDGsについてどのように取り組まれるかです。

 持続可能な開発目標,SDGsとは,ちょうど3年前の2015年9月に国連で採択された世界共通の目標です。ことしの初めに行われた調査では,多い国では7割,8割の人が知っている,20カ国平均で51.6%の認知度でしたが,日本では14.8%の認知度でしたので,まだ日本国内では広く認知されていない状況です。今この場で御存じの方は10人くらいというところでしょうか。

 まず,言葉の説明を少しさせていただきます。持続可能な開発目標を英語でサスティナブル・ディベロップメント・ゴールズといいます。持続可能ながサスティナブル,開発がディベロップメント,目標が複数でゴールズ,この頭文字をとってSDGsです。片仮名を使うな,アルファベットの略語を使うなとよくお叱りを受けるのですが,日本でも報道などでSDGsと使われておりますので,統一してSDGsと言わせていただきます。そんな国連で採択された世界共通の目標への対応について,私が今回一般質問するのはなぜか,それは私たちがことしの7月豪雨で気象災害の恐ろしさを身を持って体験したからです。その後,たびたび発生した台風を祈る思いでやり過ごしました。運よく被害拡大につながるような天候になりませんでしたが,自然災害に対する備えの大切さを改めて思い知らされました。私は,広島県の地球温暖化防止活動推進員の1期生として活動してきました。啓発活動の一環として,世界各地で強い台風,ハリケーン,サイクロン,そして集中豪雨,干ばつ,熱波など異常気象による災害が頻繁に起きていること,具体的には,2003年2万人以上が亡くなったヨーロッパの熱波,2005年1,836人が亡くなったハリケーンカトリーナ,2008年7万人以上が亡くなったサイクロンのミャンマー上陸,海外で起きてきた数々の事例を示し,環境省のパンフレットに基づいて,温暖化が要因とされる災害対策の必要性を啓発してきました。三原で異常気象による災害が起きたことに痛恨の思いです。被災された方々の生活が一日でも早くもとに戻るよう取り組むことが今喫緊の課題です。そして,あわせてあしたまた起きるかもしれない災害への備えをすること,いろんな議員がこのたびも求めております。それも必要です。そして,強く,大きく頻繁になっていく可能性のある異常気象を緩和する対策も必要です。防災や気候変動対策もSDGsに盛り込まれています。SDGsのサスティナブル,持続可能なという考えが打ち出されたのは,環境の分野からですが,今や消滅可能性都市などとも言われるまち,コミュニティの持続可能性,借金の多さから財政の持続可能性,人口減少による労働力不足,中小企業の後継者の問題などさまざまな分野で持続可能であるかどうかが問われるようになってきました。子,孫,ひ孫の世代に引き継いでいくために取り組む必要がある17項目,17の目標がSDGsです。こんなSDGsのロゴがつくられております。世界共通でいろんな言語,日本語のものももちろんあります。経済成長や技術革新,健康と福祉,教育,ジェンダーバランスなども目標となっています。そうはいっても,世界共通の目標になぜ自治体で取り組む必要があるのか,防災も環境も福祉も男女共同参画も既にやっていると感じる方もおられると思います。

 私は今,三原市が近隣他市に先駆けて積極的にSDGsに取り組むべき理由は2つあると考えています。1つ目は,地球規模で子,孫,ひ孫の世代に引き継ぐための目標に,私たちのまち三原市はどう貢献できるのかを明確にする必要があるということです。突然ですが,皆さんはすき焼きはお好きですか。おうちですき焼きを食べるときに,子どもさんやお孫さんに自分より先にお肉をとってあげたりしていませんか。肉をちゃんと食べよるか,肉をしっかり食べんさいと言ってあげていないでしょうか。残念ながら,今の社会は,そのようになっていません。私たちの世代が,すき焼きのお肉を食べ尽くしてしまう。子どもや孫の世代は豆腐や野菜がまだ食べられるかもしれない。でもその次の世代,ひ孫になるとそれすらも食べられないかもしれない。そんな危機感から生まれたのがSDGsです。三原のまちを次世代に引き継ぐ目標がみはら元気創造プランですが,SDGsは地球を次世代に引き継ぐ目標で,全ての国,全ての地域に適用されます。本市の役割を明確にする必要があると考えます。

 2つ目は,住民に直接接する基礎自治体として,市民への啓発が期待されているということです。SDGsは,課題と目標が示されていますが,目標達成のやり方はそれぞれに委ねられています。規制によって目標を達成するのではなく,それぞれの発想,それぞれのアイデアで好事例を積み重ねていく,好事例を紹介する,ゴールに向かってともにつくり出し,ともに競い合う,そんなイメージです。まず,知っていただくという入り口の部分が,自治体に期待される役割であると考えます。SDGsによる市場創出は,世界で1,320兆円と言われ,SDGsを知ることによるビジネスの可能性も期待されるところです。既に取り組んでいる自治体では,これまでやってきたことの意義づけが深まった,共鳴する企業や団体との協働が始まった,自治体としてのブランド力が高まったなどの声が聞かれています。

 そこで,お伺いしたいのですが,本市においては,SDGsに対してどのような認識と展望をお持ちでしょうか。内閣府地方創生推進事務局が,昨年,ことしと全国の1,788自治体に対してSDGsに関する全国アンケート調査,地方
創生に向けたSDGsを生かしたまちづくりというアンケートをしたところ,平成29年でSDGsの存在を知らないという自治体が54%,SDGsを推進しておらず,今後推進していく予定もないという自治体が65%という結果でした。ことしの結果はまだ公表されていませんが,少し減ってきているように聞いています。本市としては,どのようにお考えでしょうか,お伺いします。

 2点目の質問です。みはら元気創造プラン見直しの視点として,SDGsを活用してはどうかお伺いします。

 平成27年にスタートしたみはら元気創造プランは,平成31年で前期計画が終わり,平成32年からの後期に向けた見直しが来年度行われます。せっかくの機会ですから,SDGsにどのように貢献できているのか,また貢献できていない項目があるのか,明らかにし,今後の取り組みに生かしていただきたいと考えますが,いかがでしょうか。

<山口秀充経営企画部長>

 
 御質問いただきました国内外の新たな社会潮流である持続可能な開発目標,SDGsの認識と展望についてにお答えいたします。
 まず,1点目のSDGsの認識につきましては,持続可能で多様性とさまざまな人が安心して生活することができる誰ひとり取り残さない社会の実現のために国連が掲げた開発目標で,貧困や健康福祉,環境や産業などに関する17の目標とこれらの目標にひもづく具体的な取り組みを明記した169の達成基準,そして232の指標を設定したもので,国連に加盟している国,地域に適用される普遍的な目標を定めたものと理解をしております。国においても,平成28年に首相を本部長とするSDGs推進本部を設置し取り組んでおり,公表されたSDGsアクションプラン2018では,あらゆる人々の活躍の推進や健康,長寿の達成などの8つの優先分野で主要な取り組みに注力することでSDGsの推進を通じて豊かで活力ある未来像を世界に先駆けて示していくとしており,積極的に取り組んでいるところであります。市としてもこれらの動きを把握し,今後の取り組みを検討していくことが必要と考えております。

 次に,2点目のみはら元気創造プラン見直しの視点として活用してはどうかについてですが,SDGsの達成基準や指標を参考として計画策定に取り組むことや,長期総合計画の一つ一つの施策や事業を開発目標や達成基準とひもづけすることで,その施策や事業が国際的な目標とどのように関連づくのかを整理することが可能となり,そのことを通じて,各事業が国際目標に対してどう貢献しているのかなど,その位置づけについて職員が整理し,理解する機会になることなどがまず考えられます。

 一方,現状の長期総合計画におきましても,環境や健康,社会福祉など開発目標と重なるさまざまな課題に対応することを目的としております。施策や事業の実施を通じて,本市の課題解決を図っていくこと自体が,これら国連で定めたSDGsの実現に向けての取り組みに対して,既につながっているものと言えると考えており,今後プラン見直しにおいての視点にSDGsの考え方を改めて入れるか,活用するかにつきましては,効果や必要性を含めて検討してまいります。

 SDGsという言葉をこのたび初めて聞かれた方も多いのではないかと思います。課題がどんどんふえていて,自治体職員さんがやるべきこともふえています。そんな中で,いたずらに事務量をふやすということはすべきでないと私は思っております。しかし,次の世代のためにSDGsに向けて三原は何をやるのか,世界に向けて発信していくということは非常に重大,やるべきであると思っております。それは,事務的な作業になるものと思っておりますが,私が一番やってほしいと思っているのは,事務作業としてそれをこなしてくださいということではありません。次世代に引き継ぐという感覚を,意思を職員の皆さんお一人お一人しっかり持っていただきたいということです。来年度予算に向けて,厳しい見直し,調整が行われているところだと思います。それぞれの事業が,政策が,持続可能性を高めるものなのかどうかという視点でぜひチェックをしていただきたいと思っております。財政的にも資源は限られていますが,マンパワーも限られています。皆さんの力を最大限に生かせるようにということが,予算編成方針でも市長がおっしゃっているとおりだと思います。今持っている資本を食い潰すような形でのお金の使い方ではなく,今持っている資本を,これは財政面ということだけではありません。自然資本,社会関係資本,人のつながりもどういうふうに豊かにしていけるのか,そういう視点でもって次の政策を打っていっていただきたいと思っております。1項目めの質問では,政策形成過程にいかに多くの人を巻き込んでいくかということを質問させていただきましたが,このSDGsは世界で1,000万人以上がかかわって本当に苦労してつくり上げたものです。世界各地で私がSDGsをつくったんだ,私のSDGsだと言ってこれを実現に向けて動いている人たちがたくさんいます。日本でも大学でサークルができたり,一生懸命動いている人たちがたくさんいます。そんな中,三原としても何をやるのか明確にして,持続可能な三原をつくっていけるように頑張ってまいりましょう。よろしくお願いいたします。

以上で質問を終わります。