平成30年 第4回定例会一般質問 本郷町に新設予定の民間の最終処分場について

平成30年第4回定例会(9月)で行った質問の議事録です。

本郷町に新設予定の民間の最終処分場について

 2項目めの本郷町に新設予定の民間の最終処分場についてです。

 6月議会の一般質問でも質問をさせていただきました。そのときに,それまでの経緯を御説明いただいたわけですけれども,平成25年10月に民間事業者から広島県東部厚生環境事務所に事前協議書が提出され,ことし4月に事業者が設置許可申請書を県に提出し,受理されたということです。また,その時点では,申請書類の審査中であり,内容が整えば関係市で1カ月間縦覧されるという答弁でしたが,現在はどういう状況でしょうか。6月議会以降の経過とあわせて御説明いただきたいと思います。

 この間に建設予定地である本郷町を初め,三原市内,そして竹原市内でも生活や自然環境への影響を心配され,処分場建設に反対する声が広がりました。三原市内には,現在稼働中の産廃最終処分場が4つありますが,それらの既存のものと施設規模を比べてみましたところ,大変巨大な施設です。埋立面積で10倍以上,埋立容量で11倍から26倍という大きなものです。ちょっとこのグラフにしたのが縦横の縮尺が違うもので,本当は埋立容量はここになっているんですが,このあたりになるくらい,26倍というような大きなものです。既存のものに比べて大変大きなものです。それから,予定地に接する周辺が,土砂流出防備保安林に指定されています。これも地図であらわしていますが,グレーの部分が建設計画予定地,そして緑のところが保安林,保安林に囲まれたところに建設がされるということで,大変不安をもたらす原因だと思います。こちらが,下側に国道2号線があり,上側に本郷大和線,道路に面しています。そして,7月豪雨災害では,ここから土砂流出が起きていて国道を塞ぐということにもなって心配が募るところです。申請が出されている処分場は,安定型最終処分場ですが,この安定型については,素掘りのところに廃棄物を埋める構造のため,汚染水が流れ出すなど各地で問題が起きております。これも心配な点です。三原市としては,安定型処分場が引き起こしている問題について,また安定型処分場という施設についてどのような見解を持っておられるのでしょうか,お伺いします。

 建設予定地は,三原市の水道水源に当たる場所です。また,近隣には井戸水を利用している方もおられます。こういう場合に,ほかの市町村で許可権者である都道府県などに対して許可をしないでほしいという働きかけをする例が見られます。本市としても県に対してそのような意見を述べていくべきではないでしょうか。

 豪雨災害を受けて,多くの人が水の怖さ,そして水のありがたさ,水の貴重さを実感されたところではないでしょうか。水の大切さ,水源を守ることの大切さを改めて三原市民みんなで考え直し,水源を守り続けていくために,水道水源保護条例を制定するべきではないでしょうか,見解をお伺いします。

<大西英之副市長>

 
 御質問いただきました本郷町に新設予定の民間の最終処分場についてお答えいたします。

 御質問1点目,本年6月議会以降の経過についてですが,6月議会以降の動きとしましては,6月23日に竹原市において三原,竹原両市民を対象に,事業者による事業説明会が開催されました。その後,9月5日に三原,竹原市民による産廃問題を考える会,9月13日に三原市本郷町南方町内会連合会,9月21日に本郷町町内会長連合会から施設設置反対の要望書が市長宛てに提出されております。

 次に,御質問2点目,安定型最終処分場の問題点についてですが,安定型最終処分場では,廃プラスチック類,ゴムくず,金属くず,ガラスくず,コンクリートくず,陶磁器くず,瓦れき類といった雨水等にさらされてもほとんど変化しない安定型産業廃棄物が埋立処分されます。しかしながら,国内では有害化学物質が混入したことで着色した排水が流出し,異臭が発生したり,安定型産業廃棄物以外のものが搬入されるなどの問題が発生し,行政指導に至った事例があることも承知しております。こうした問題を未然に防ぐため,事業者には定期的な水質検査の実施と県への結果報告が義務づけられ,また県による抜き打ちの水質検査,現場への立ち入り指導などを通じ,トラブルの発生を抑制する制度設計になっているものと考えております。

 次に,御質問3点目,広島県への働きかけについてですが,廃棄物処理法では,事業者から申請があった場合には,これを収受・審査し,許可基準に適合していれば許可することとされております。現在,設置許可申請については,県で書類審査が行われており,内容が整えば関係市町で1カ月間縦覧され,その申請書類の内容について市から意見を述べます。意見の内容は,施設計画において,例えば排水処理施設計画の構造,性能など生活環境保全上の内容についての意見であり,あくまでも同意,不同意を述べるものではありません。

<横目正弘水道部長>

 
 御質問いただきました水道水源保護条例の制定についてお答えします。

 近年,水道水源の主たるものである河川には,工場など産業活動による排水,農業や畜産業に起因する排水,家庭の生活排水など,さまざまな排水が流入しており,水を取り巻く環境は変化してきております。

 そのような中,本市におきましては,水道法に基づき,河川の原水や浄水場での浄水など,定期的に検査するとともに,毎年度水質検査計画を策定し,採水地点及び水質検査の項目等を定め検査を実施しているところであります。

 議員御質問の水道水源保護を目的とした条例につきましては,水道水源に影響を及ぼすおそれのあるものに対し,国の法令による規制を補完する形で,水道水源を抱える自治体が独自の規制を行うものであり,厚生労働省の調査では,6都道府県153市町村で制定されております。その目的としましては,環境保全を初め,土地利用の規制,湖の富栄養化防止,地下水の枯渇防止等があり,何を規制するかにつきましても,一定施設の立地を規制するものや施設からの排出水について規制するものなど,地域の実情に応じたものとなっており,水道水源を保護するために,それぞれ一定の効果があるのではないかと考えております。

 一方,条例制定に当たっては,立地を規制する地域を定める場合,前提として地形,地質,河川の流れの状況及び汚染物の浸透の可能性など,科学的調査と根拠が必要であります。また,本市単独の規制だけでは水道水源の保護にはならないことから,河川の本流,支流を含めて,当該流域の自治体や水道水源としている水道事業との間で広域的に議論する体制づくりが必要とも考えられ,調査及び調整には相当の時間を要するものであります。

 議員御質問の条例制定につきましては,その必要性及び実現性についてさまざまな御意見もあると思われますので,将来的な検討課題として受けとめさせていただき,今後の社会情勢の変化に応じて適切に対処してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 安定型処分場で起きている問題は把握しておられるということです。生活環境影響調査で設置後の予測,影響が示されるということですけれども,安定型処分場に埋め立てられることが認められている5品目以外は持ち込まれないことを前提とする予測です。5品目の説明も安定したものですということを,性状が変わらないようなものですという御説明もいただいたんですが,そうではない事例がたくさんあって,それによって問題が起きているわけです。産廃処分場をめぐっては,訴訟も多く行われています。多くの判例で有害物質が付着した廃棄物が持ち込まれることは不可避,避けられないとされています。しかしながら,持ち込まれないことが前提となっているため,どんなものによる,どの程度の汚染の可能性があるのかということが全く予測できません。それから,トラブル発生抑制の制度になっているというふうにおっしゃったんですけれども,水質検査が義務づけられているとはいえ,結局それは出てからしかわかりません。わかったとして,大量の廃棄物が埋め立てられている状態で,汚染の流出をとめるということは困難だと思います。わかってからの対策を発覚の後いつまでにどのように行うかということが事業者によって明らかにされているんでしょうか,お伺いします。

 安定型処分場が引き起こしている問題は,把握しておられるということなので,地域の皆さんが感じておられる不安にも共感いただけるのではないかと思いますが,市長宛ての要望書については,どのような対応をされるのでしょうか,お伺いします。

 それから,水道水源保護条例についてです。

 いろいろ産廃最終処分場だけでなく,いろんな問題が工場であったり生活排水であったり,いろんな問題がありますということや何を規制するかということが難しいということだと思いますが,産廃処分場に関しては,本当に難しい,問題がわかってからそれをもとに戻すということが非常に難しい,特定するのも難しいという,ほかの工場などとは特殊なものであるので,産廃処分場が水源にできないように規制をするということは必要ではないかと考えています。水道水源保護条例153市町村ということも答弁の中で言っていただきましたが,昭和63年,1988年に津市でつくられた水道水源保護条例をきっかけに,この条例制定が広がりました。これは,水道水源保護を目的とするもので,なぜそれが広がっていったかというと,廃棄物処理法には水源保護を目的とする立地規制の仕組みがないんです。それで,産廃処分場によって困る市町村がこういう条例をつくっていったという経緯があります。その経緯を踏まえて,環境省で平成9年,1997年に廃棄物処理法が改正されまして,そこで生活環境影響調査というものが盛り込まれる,しなくてはいけないということになったんですけれども,これがあってもなお水源を守るということはできないということで,その環境影響調査が盛り込まれてからも水源保護の条例制定が続いているところです。そういう視点で産廃処分場ということの問題を考えた上で立地規制をしていく,条例をつくる,水源を守っていくということが必要ではないかと考えますので,御答弁お願いいたします。

<大西英之副市長>

 
 汚染物質流出後の事業者の対策は明らかにされているのか,市長宛ての要望書についてどのような対応をとるのかについて再質問いただきました。

 汚染物質流出後の事業者の対策は明らかにされているのかについては,現在設置許可申請書を県で審査中でありまして,施設稼働後の県による抜き打ちの水質検査,現場への立ち入り指導などを通じ,トラブルの発生を抑止する制度設計になっているものと考えております。

 次に,市長宛ての要望書についてどのような対応をとるかについては,地元地域や市民団体の皆様から,施設設置に反対する旨の要望書が提出され,不安を抱えておられることは許可権者である県に伝えさせていただいております。今後も県と連携して,関係住民の皆様の不安を少しでも解消でき,安全・安心につながるよう,事業者及び地元等の調整に努めてまいります。

<横目正弘水道部長>

 
 再質問にお答えいたします。

 議員から先ほどありました訴訟が多いというお話ですけれども,この水道水源保護条例とそれから廃棄物処理法の関係につきましては,水道水源保護条例を適用することによって,国の法令の意図する目的と効果を阻害することがあるんじゃないかというところが争点になっております。全国的な事例におきましても,水道水源保護条例で定めた規制対象事業所の指定を取り消すという判決もありますけれども,また逆もあります。この水道水源保護条例と廃棄物処理法の関係というのは,非常に難しいところがありますので,制定するにしても慎重に考える必要があるのではないかというふうに思います。

 それから,水源を守る必要があるんではないかというお話ですけれども,本市では水道法に定められた検査項目について,河川の原水,取水する地点,浄水場に水が届いた地点,浄水場から水を送り出す地点,あらゆる工程で検査を行っております。また,水質基準に適合している場合であっても,過去の検査結果と照らし合わせて大きく乖離している部分があれば,検査頻度を上げるなどして原因究明を図り,適切に対処するものであります。いずれにいたしましても,市民の皆様の水道への信頼を損なうことがないように,安全な水道水の提供をしていくものであります。

 以上でございます。

 水道水源保護条例に関しては,条例によって守られた例,条例があっても守られなかった例があることは承知しております。法の整合性ということもありますので,今すぐやってくださいということではありませんが,やはり今後を考えると必要なことであろうと私は考えておりますので,研究をしていただきたいということをお願いいたします。

 それから,どう安全を守っていけるのかということについては,県の抜き打ち検査なんかをやることによって防止しますというような,制度管理になっていますという御説明なんですけれども,それが全くそうなってはいないんですということを申し上げています。生活環境影響調査がされるようになったことについては,先ほど申し上げたところです。生活環境影響調査の中なんかでも言われることなんですが,マニフェスト,廃棄物の管理表で管理するので大丈夫ですとか,展開検査をしますとかということによって大丈夫ですという,安全だという,大丈夫だという,担保に言われるんですけれども,それでは全く有害物質の搬入が阻止されるとは言えないということもこれまでの判例で言われているところなんです。産業廃棄物処理施設を設置しようとする者が,当該産業廃棄物処理施設に有害物質が搬入されないことを確実に保証する客観的な根拠があること,有害物質が搬入されても,水源地に流出して汚染することを確実に防止する客観的な根拠があることというのが求められるんですが,今行われているような廃棄物の管理表であったりとか,展開検査ということでは守られないということも言われています。それから,抜き打ち検査をするといっても,結局出てからではないですかというのは最初にも言わせていただいたところです。生活環境影響調査が行われていて,三原市側で1カ所,竹原市側で1カ所,地下水の流動が調べられているんですが,1分間で0.023センチで地下水が移動しますということが書かれています。1年間で120メートルというスピードで地下水が動くんですね。これも1カ所でしか行われていないので,本当に地下水脈がどういうふうに走っていて,どこに影響があるのかということなんかも全くわかりません。それから,同じく生活環境影響調査,今事業者が行った生活環境影響調査を私も見させていただいたんですけれども,地下水利用者が本郷町におられるんですけれども,その実態と書いてあることとが違うんですよね。これは,県が書類上で審査してもわからないところで,三原市が三原市として実態に合っているのかどうかということを調べていただく必要があると思っています。市民の声,要望書の声を県に伝えますとか,事業者との調整をしますとか言われるんですけれども,そういった実態調査,本当に生活環境影響調査で述べられていることが,実態と合っているのかどうかということも県でわからないことがあるので,それは市として調べて,県に言っていただかなくてはいけないことだと思っています。その点について再度伺います。

<大西英之副市長>

 
 市民の安全・安心をしっかり守ってほしいということでまた再質問いただきました。

 本郷町に建設計画がある産業廃物最終処分場につきましては,市民の方から建設反対の要望書もいただいておりまして,市民の皆様が不安を感じておられることは承知しております。私どもとしましても,その不安を少しでも解消できますように,県としっかりと連携を密にして対応してまいりますので,よろしくお願いいたします。

 御答弁をいただきましたが,地域の皆さんの思いにお応えできるような内容ではないと思います。県と連携してということも言われるんですけれども,他県では何度も申し上げているように,生活環境影響調査で守ることはできないということで,福岡県や兵庫県などは事前紛争調査条例というものがあったりとか,そういうこともやりながら住民の皆さんの暮らしを守るということがされているのが,広島県は要綱で事前協議をするようにという要綱が定められているだけで,その点も廃棄物処理法の国の法律としての不備もありますが,県の不備も私はあると思っています。そういったこともぜひ言っていっていただかなくてはなりません。

 それから,私,今回の質問をするに当たって,後悔しないためにということを申し上げたんですけれども,安定型処分場が建設差しとめになるのに当たってよく言われていることです。それは,一旦水源が汚染されたら,それは取り戻すことができないということなんです。市民の皆さんの暮らしを基礎自治体として守っていく市の立場として再度見解を伺います。

<大西英之副市長>

 
 市民の安全・安心をきっちりと守るために,市としてもしっかりと対応して,不安を解消できるように県とも本当に連絡を密にして対応してまいります。よろしくお願いいたします。

 県との連携とか調整とかおっしゃっていただくんですけれども,本当に県に対して言っていただきたいと思っております。

 それから,許可権者が県であることは,地域の住民の皆さんもよく承知しておられて,県に対しての請願も準備されていたりだとか,だけれども県知事に会いたいと言っても会っていただけないんです,地域の皆さんが言われても。それを市として後押していただくことでつながっていくものと思いますので,そういった調整をしていただけるかということを伺います。

<大西英之副市長>

 
 市民の安心・安全を守るために,県の審査が整えば,申請書類は1カ月間の縦覧期間がございます。その内容を確認して,必要に応じて市として皆さんの意見を反映させながら意見を述べさせていただきたいと思います。きっちりと対応してまいりますので,よろしくお願いいたします。

 繰り返しの御答弁をいただいて,私も繰り返しになるんですけれども,県知事に対して地域の皆さんが県知事にお会いできるようにお取り計らいいただけますでしょうか。

<大西英之副市長>

 
 市民の皆様の声が知事に届くように,市としても努力してまいりたいと思います。よろしくお願いします。

 しっかりやっていただきたいと思います。安定型処分場は,もう維持し得ない,もう水源地に設置されるということに当たっては影響は予測不可能,そして起きた結果は不可逆的であると言われているところです。本当に後々困ることがないように,後から後悔するというようなことがあっては,本当に三原市の将来が成り立たなくなりますので,しっかりと対応していただきたいことを申し上げて,質問を終わります。