平成29年 第5回定例会一般質問 住民協議会について

平成29年第5回定例会(12月)で行った質問の議事録です。

住民協議会について

 議長のお許しをいただきましたので、通告しております2項目について質問をさせていただきます。

 まず、住民協議会についてです。

 住民協議会について、本市に新たに住民協議会を設置することを提案させていただきます。

 まず、私が必要を感じる住民協議会とはどういうものか、その定義から御説明いたします。

 具体例としては、福岡県の大刀洗町で平成26年から実施されているものです。一昨年大刀洗の町長さん、職員さん、住民協議会の委員さん方にお会いしてお話を伺いました。自治体の先進事例として、その成果がマスコミで取り上げられ、遠くは関東圏など、県外からもわざわざ傍聴に来られたり、電話などでの問い合わせも多くあるそうで、反響の大きさに驚いておられるそうです。

 なぜそんなにほかの自治体からの反響が大きいのか。それは、まちのさまざまな課題を行政任せにせず、町民が自分事として解決策や税金の有効な活用方法を考え、そして成果が出ているというところにあるのではないかと思います。平成26年以降、大刀洗の住民協議会で協議されたテーマは、ごみ行政、地域包括ケア、主に介護予防だそうです。地域自治団体と行政の役割、子育て支援、防災についてです。どれも自助・共助・公助の役割分担が重要なものばかりです。

 しかし、こういった問題をワークショップや審議会などの場で地域住民とともに考え、計画策定を行うプロセスは、本市やほかの自治体にもあります。それなのになぜ大刀洗町の住民協議会が注目を集めているのか。その大きな特徴は、委員を無作為抽出で選ぶこと、結論ありきの資料でなく、まちの実態、事実をさらけ出し、一緒に議論すること、行政対住民という構図でなく、住民同士の議論という形、そして専門コーディネーターの存在、これらが大刀洗の住民協議会が成果につながっているポイントであろうと思います。

 1点目の無作為抽出の町民参加について、住民協議会導入の背景を大刀洗町からいただいた資料から御紹介します。

 住民参加のまちづくりが言われて久しく、さまざまな取り組みをしてきたが、審議会の委員などを自治会長などに直接依頼したり、委員の公募もしてきたが、一定の限られた住民の参加となっていた。また、町政報告会で参加者から、若者の意見を言う場がないという意見があったことから、無作為抽出で選ばれた住民で組織する附属機関を設けたとされています。条例で位置づけられた協議会となっております。

 本市においても、事業レビューの市民判定者は無作為抽出によって幅広い年代の人に御参加いただくことができています。(現物を示す)

 グラフを提示させていただきますが、市民判定者導入初年度、一番左になります平成27年は、年代構成がきれいにバランスがとれています。一番下の青いところが10代、20代、続いて30代、40代と上に上っていくようになってます。27年、28年、29年と50歳代の割合が年々大きくなってはいますが、なかなか声を酌み上げにくい10代、20代の層にしっかり入っていただくことができています。

 そして男女比についても、三原市の事業レビューの市民判定者の割合を提示いたします。初年度は女性の割合が43%と、半分近くが女性でした。残念ながら年々下がってはいますが、それでも本市の審議会等に占める女性委員の割合よりも大きく上回っています。せっかくですので、審議会等に占める女性委員の割合も提示をさせていただきますが、本市は平成31年に30%に引き上げる目標となっておりますが、現在は23%という状況です。こういったジェンダーバランスや年代構成にできるだけ偏りのない市民の意見を聞きながら政策をまとめていくことが、今求められているのではないでしょうか。

 本市の事業レビューも大変よい取り組みであると思っていますが、レビューは既に行われている事業を見直す機会となっています。計画や事業をつくる前の段階で、幅広い市民の皆さんの声を聞き、政策形成につなげていくことが必要であると考えています。これは、計画策定前に行われているアンケート調査による意見聴取とも異なるものであることを申し上げておきます。一緒に考えるプロセスが重要であると思っております。

 また、自助・共助・公助ということも言われて久しいわけですが、行政として、自助・共助というのがなかなか進めにくい部分であろうかとも思います。そこに外部の専門コーディネーターの方に入っていただき、そもそも論から一緒に考えていく場も非常に有効であると考えています。本市において住民協議会を設置すべきではないでしょうか、お考えをお伺いします。

<里村学総務企画部長>

 御質問いただきました住民協議会の設置についてお答えをさせていただきます。

 議員御案内の住民協議会は、政策シンクタンクを標榜されておりますNPOが、事業仕分け、事業レビューの延長線上に提唱している制度であり、行政主体のみならず、地域によっては、議会会派が主体となって行われ始めた、政治や行政を住民みずからがみずからのこととして考える仕組みであると理解しております。

 一般的に物事を考える際、集団の規模が大きくなりますと、構成員全員が1カ所に集まったりすることはほぼ不可能でありますので、まず代表者を選び、選ばれた代表者が集まって話し合うという手順を踏むことになっております。これを地方自治制度に当てはめますと、住民がみずから選んだ代表者を通じて、間接的に政治に参加する間接民主制、議会制民主主義が現実的な仕組みであると思っております。

 ただし、この間接民主制だけでは、拾え切れない声がある可能性もあります。

 自治体は、それぞれがその置かれている条件に鑑み、他の制度を導入することもあり、本市においては、例えば基本構想策定審議会や三原市市民協働推進委員会など、市内在住者を含む各種有識者が意見を交わす、数にしますと65にわたる市長等の附属機関や各種審議会制度、またこのほか、誰もが参加申し込みすることができるワークショップ、誰もが意見を述べることができますパブリックコメントに加え、無作為抽出で参加者を求めます事業レビューであったりアンケートなど、幅広い市民からの意見を聞く多様な仕組みを活用しております。

 したがいまして、間接民主制だけでは拾い切れない声に関しましては、屋上屋を重ねることにならないよう、幅広い市民の皆さんの意見を聞くといった観点やその精神を酌み取りつつ、これまで培ってきました仕組みに工夫を凝らして活用することによって対処していければというふうに思っております。

 御答弁いただきました。

 再質問させていただきますが、まず最初に、御答弁の中で、住民協議会が特定の団体によるものであるような御説明でした。大刀洗町の例が条例制定もされていてわかりやすいので引用して紹介はさせていただきましたが、ほかの自治体でも似たような取り組みというのはあります。ほかのところでは、コミュニティデザインの会社がファシリテーターをしていたり、哲学の先生がファシリテーターをしていたり、また大学やNPOの方がファシリテーターをしているような例などもあります。

 裏話をしていいかどうかわかりませんが、裏話をちょっとさせていただくと、今回の質問、住民協議会の設置を提案したいですという通告をしましたところ、答える部署がありませんというのを最初に言われました。というのが、広聴機能の話なのか、政策形成の話なのか、市民協働の話なのか、それがわからないと担当がわかりませんということでした。

 事務分掌による分類は、確かにそうです。しかしながら、これがいわゆる縦割り行政という市民がよく批判をするところであって、きのうの一般質問でほかの議員さんもおっしゃってましたが、縦割りではない形で横串でやっていくことが必要だよということとかが市民の思いとのずれにつながっているのではないかということを思っております。

 間接民主主義で選んだ代表者によって議論を交わすこの議会ということでありますけれども、地方自治ということでいうと、議員は市民の代表、そして市長の役割というのは、市民意見の統合ということがありますので、それは拾い切れない声を拾うことが必要ということもおっしゃったので、それはしっかりやっていただきたいと思っているところです。

 それで、私がなぜ住民協議会を提案しようと思ったかということを最近出会った、こういう場に住民協議会があったらいいのではないかということを感じた場面を少し紹介させていただきます。

 まず1つ目が、まちづくり戦略検討会議の場でした。まち・ひと・しごと創生総合戦略の検証や評価をしていただいているまちづくり戦略検討会議ですけれども、そこの委員の皆様方、本当に膨大な資料に向き合って大変だろうと思うわけですが、その中で多角的な視点から御意見をいただいております。それを傍聴させていただいている中で、市としての5つの挑戦の4つ目、市民の健康づくりへの挑戦の中で、定期的な運動習慣の定着をどう図るかという御議論をしておられました。ウオーキングコースをつくってとかという話もされていたわけなんですけれども、こういうことは市民の皆さんの運動状況がどうなのか、今現在はアンケートで把握しておられるんですけれども、どうやったら市民の皆さんが運動しやすい環境を整えていけるのか、スポーツ推進員の皆さんへの支援は適切なのか、市民の皆さんと一緒考えたらもっとおもしろい内容になっていくのではないかということを感じました。

 それから2つ目が、市政懇談会の場面です。地域の活性化のこと、公共施設の統廃合のこと、たくさんの意見が出ておりました。私も傍聴に行かせていただきました。その中でこれからの地域のあり方を行政として平成30年度中にまとめて提案するというようなお答えをされている部分がありました。その地域のあり方というのは、つまり拠点のあり方、施設などです。それから行政支援のあり方、これは人の配置ですとかお金の面であろうと思いますが、そういったことを整理していくというようなお答えをされていたんです。これは本当に決めるプロセスが物すごく大事だと思います。地域代表の方の声だけじゃなくて、その地域にお住まいの若い人たちの声、若い人たちが自分の地域コミュニティをどう捉えているのかという視点も含めて議論していく必要があるのではないかということを感じています。

 それから3つ目、事業レビューの場面でした。項目は上げませんけれども、ある担当者、市の職員さんが、事業を見直して再構築をしたいと考えているけれども、ちょっと悩んでいて、事業レビューの機会に相談したいと思っていたということを発言されておりました。事業レビューの場というのは、市民そして行政のプロ、経営のプロの皆さん、そういう方がフラットな立ち位置で一緒に考える場です。そういう場を求めておられる職員さんがいらっしゃるのではないかということを事業レビューを傍聴していて感じました。ここまでの例が政策形成プロセスによった話なので、総務企画部長さん、広聴機能としての御自分の担当じゃないと思われるかもしれないので、広聴の話ですということも例を御紹介したいと思います。

 昨年の事業レビューの場面でした。自主防災組織の議論をしている中で、自主防災組織をしている人、手を挙げてくださいということで手を挙げられたのが約半分でした。担当者さんはちょっとショックでしたという声もあったんです。

 事業を担当する課で日ごろ接触されている市民の方というのは、事業に対して、計画策定に対して知識があり、思いがあり、あるいは既に動いておられる、行動もされているという方が多いのではないか。事業担当部署で接触する市民の方は、そういう関心の高い市民の方と接触しておられると思うんですが、無作為抽出という方法で選ぶことで、事業レビューは関心を持っていない市民の方との接触ができるということがありました。関心のない人との温度差をどう縮めていくのか、関心がない人の意見をどう聞き取ってそこに重ね合わせていくのかというのが、今必要な広聴機能ではないかということで提案をしたいんです。

 アンケート調査もされるわけですけれども、アンケート調査にしても回答率、回収率は大体30%から50%くらいだと思っているんです。アンケートに答えが上がってこないサイレントマジョリティーの人たちの声を聞くのが、この無作為抽出の方法であると思っています。今ある審議会などのような判断を決定する段階でなく、こういう問題がありますという段階から市民の意見を取り入れながら政策形成をしていくということをしていただきたいんです。

 議論の交通整理が重要なポイントであることは間違いありませんので、ファシリテーターの役割を誰がするかということが非常に重要になります。こういうファシリテーション人材というのも広聴を担う総務広報課でできることなら人材育成をしていただきたいと思っています。市民の皆さんの思いに寄り添う広聴であれるように、市民の皆さんの生活に寄り添う広聴であれるようにこういった住民協議会、政策形成をしていく段階でしっかり、関心のある人も関心のない人の声も酌み取っていけるような機能ということで住民協議会の設置をしていただきたいという提案なのですが、再度お考えを伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

<池本勝彦副市長>

 安藤議員御提案の住民協議会については、実は私も勉強不足で、十分な知識がございませんので、今の御説明をお聞かせいただいて感想的な答弁になるかもしれませんけれども、お許しください。

 まず、住民が自分のこととして課題解決策を考える、それを政策に反映させるという点では、まさしく住民自治を体現する仕事、そのための仕事の進め方だというふうには感じます。施策を推進するに当たりましては、先ほど担当部長も答弁いたしましたように、市民の意見をお伺いするために説明会でありますとか、パブリックコメントの実施をしておりますが、現実的には参加者は少ない。それからパブリックコメントに対する意見提出が少ないという現実もあります。やはりその一因は、市民がある課題のことを、言われるように自分のこととして認識をされていない、そういうところにあるのではないかと思ってまして、この参加者、意見提出が少ないということについては、私も課題と認識を実はしておりました。それを解消する仕組みの一つではあるというふうには思います。

 一方で、極論になるかもしれませんけれども、この仕組みを仮に全ての施策、全ての事業に入れるとすると、さっきの答弁にもありました直接民主主義の形になって、この夏ごろまでよくマスコミをにぎわせていた高知県の大川村、ここの村総会の議論につながるようなものでもあると思います。そうすると、あえて極論ですが、議会不要論にもつながってくる可能性もなくはないものであるような感じもしています。

 さらに、事業推進のスピードという面でいくと、やはり結論が出るのに時間がかかるので、スピード感というところは欠点になるのかなというふうにも思います。ですので、仮にですけれども、導入するとすれば、ある一定のテーマ、課題、事業に限定した上で導入するということが現実的かなというふうには思っております。

 冒頭申し上げましたように、私も勉強不足でありますので、今後少し勉強させていただければというふうに思っております。

 御答弁をいただきました。

 そもそもこんなことを担当できる課がありませんということを最初に伺ったぐらいなので、私もすぐできるというふうに思っているわけではありませんが、でもやはり副市長から御答弁いただいたように、ある課題、事業、とても有効である課題もあると思いますので、ぜひ前向きに御検討をいただきたいと思っております。

 議会不要論というのは、確かにおっしゃるとおりですが、やはりそれは理事者も住民の声を酌み上げた上での提案をしていく。そして議会は議会で住民の声を本当に酌み上げた提案なのかということをお互い切磋琢磨して住民の声に応えていくということが必要であろうと思います。大刀洗町に関しては、議会モニターということをしていて、議会は議会で住民の声を酌み取る努力もしているという実態もあります。

 今本当に必要だと思うのは、今までのどんどんつくってきた時代、つくれてこれた時代は、順番を待っていたらやってもらえるということがあったと思うんですけれど、これからは、その順番が物すごく遅くなるとか、やってもらえないとか、施設を廃止しないといけないとか、そういう問題が出てくる中で、縮小していくということを、縮小しながらも充実させていく縮充という概念が出てきています。それをやっていこうと思ったら、本当に市民の皆さんの理解を得ながら進めていかなくてはいけないというのを切実に感じているので、この提案をさせていただいたところです。ぜひ御検討をいただきたい、導入をしていただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。