平成29年 第5回定例会一般質問 グランドデザインについて

平成29年第5回定例会(12月)で行った質問の議事録です。

グランドデザインについて

 それでは、2項目めの質問に入らせていただきます。

 グランドデザインについてです。

 平成28年度に瀬戸内三原築城450年事業の一環として、次の50年を見据え、三原のまちの中心部のグランドデザインをつくることに取りかかられました。そして、平成29年度は一般会計の中で予算化されました。財源としては、ふるさと納税のふるさと寄附金をもとにしたふるさと夢基金が充てられ、またまちなか再生支援事業として採択されて、ふるさと財団からの助成も受けることになり、ことし6月にグランドデザインの素案とともに事業内容について議員全員協議会で御説明いただきました。その後にワークショップなどを実施してこられましたが、まずこれまでに行われた事業の内容について、その事業費とともに御説明ください。

 そして、先ほど申しましたとおり、ふるさと財団からの助成を受けるに当たって、まちなか再生支援アドバイザリーボードからの指導といいますか、アドバイスを受けておられると思います。グランドデザインの素案に対してどのような御意見をいただき、どのように反映されようとしているのか、御説明ください。

 それから、合意形成の妥当性について伺います。

 ことし6月の時点での議会への説明では、ワークショップを通じて意見聴取と合意形成を行うこととされていました。そこで、7月から10月にかけて行われた3回のワークショップを全て傍聴させていただきましたところ、果たして合意形成できたのかという疑問が拭えません。疑問を持った理由としては、グランドデザインの素案などについて説明を受け身で聞く、時間が長くて素案に対する参加者の意見は感想程度の共有にとどまったのではないかという印象を持ちました。企画された立場としては、ワークショップを通じた意見聴取と合意形成というのは、どういうものを意図されていたのか。当初意図されたことが達成できたのかどうかについて御説明をお願いします。

 また、グランドデザインは、公共事業として実現できるものばかりでなく、むしろ民間の力で進んでいく部分のほうが大きいのではないかと思っています。つまりグランドデザインという将来的な大きなビジョンをより多くの人と共有し、そして共感いただくことで実現が可能になるであろうと思っています。これまでの事業期間を通じてグランドデザインの素案がどれくらいの人の目に触れ、また共感、賛同いただくことができたのでしょうか。ワークショップ参加やパブリックコメント応募の人数、そしていただいた御意見、またそれ以外の機会での素案の共有や意見聴取があれば、それらについてもどれくらいの市民の皆さんと共有ができたのか、合意形成につながっていっているのかという状況について御説明ください。

 3点目、平成30年度予算編成に向けた考え方について伺います。

 予算編成方針でグランドデザインという言葉が上がっているようです。グランドデザイン検討事業というのは、私の捉えでは、今後のまちづくり、まちなか整備における目指していく方向性を共有することであると理解しておりました。ですが、具体的な事業の予算化を考えておられるということなのでしょうか、予算編成の考え方について伺います。

<山口秀充経営企画担当部長>

 御質問いただきましたグランドデザインについてお答えいたします。

 まず、1点目のこれまでの事業内容についてですが、今年度のグランドデザイン検討事業の取り組みといたしましては、将来の都市景観像としてのグランドデザインを検討し、完成させること及び将来グランドデザインで目指すまちの中で活発な活動が生まれるよう人材育成に着手することであります。

 グランドデザインを完成させることにつきましては、ワークショップやパブリックコメント、商工会議所議員研修会などで素案を説明し、いただいた意見を参考に見直しを行っております。

 また、人材育成につきましては、ワークショップにおいて7名の専門家による情報提供や活動に向けての考え方などの助言、各自が協力しできることを話し合うグループワーク、参加者同士のネットワークづくりなどに取り組んできたところであり、その後の活動につながるよう、現在は経営企画課を窓口として相談を受け付けております。これらの取り組みは、地域総合整備財団、いわゆるふるさと財団のまちなか再生支援助成事業を活用して実施をしておりますが、この事業では、推進体制の中心にまちなか再生プロデューサーを設置することとなっており、その役割は素案作成で支援をいただいた浜野安宏氏に依頼をしているところであります。

 なお、今年度の事業費は、財団からの助成金600万円を含め1,050万円であります。

 次に、まちなか再生支援アドバイザリーボードとの連携ですが、この助成事業では、まちづくり、建築、都市計画、観光などの専門家で構成するアドバイザリーボードからの助言等の支援を受けることとなっており、ことし7月には、現地会議を開催したところであります。その際にいただいたさまざまな助言をまとめると、まちなか再生のためには、1点目、取り組むエリアを絞り、点を盛り上げることで面に広げること、2点目、資産価値の向上を目指した取り組みを進めること、3点目、活動人材を発見することと育てる仕組みが必要であること、4点目、産学官金などの推進体制を整備することなどの指摘があったところです。本市といたしましては、ワークショップ参加者と継続的なつながりを持つことや庁内関係部署や金融機関などとの推進体制のあり方の検討など、これらの助言を参考に現在取り組んでいるところであります。

 次に、御質問2点目の合意形成の妥当性についてお答えいたします。

 今回、市が意図していた合意形成とは、グランドデザインで示す将来の都市景観像を多くの市民に提供し、意見をいただくことを通じて素案を修正し、市民が納得できる将来像をつくりたいという思いでありました。そのため、ワークショップやパブリックコメントなどを実施し、さまざまな意見をいただいたところであり、一定の合意形成を図ることができたと考えておりますが、情報が届いていない市民もおられると考えられ、今後も引き続きグランドデザインについて周知していくことは課題であると認識をしております。

 なお、ワークショップには、毎回約30名の参加者に出席をいただき、素案で示すまちの発展の方向性やエリアごとのコンセプトについて説明をした後、アンケートなどで意見をいただいておりますが、その多くは具体的な取り組みの提案やコンセプトに共感するといったものでありました。

 また、パブリックコメントでは、グランドデザインの趣旨について、官民の役割や具体的な取り組み内容を明確にすべきという意見やグランドデザインそのものには賛同するという意見など、4人、14件あったところであります。

 御質問3点目の平成30年度予算編成に向けた考え方についてでありますが、目指すべきまちの発展の方向性を市民と一緒に共有することについては、今後も引き続き取り組んでいく考えであります。

 一方、まちなか再生に取り組むことで、市中心部が活性化することを目的に、市中心部で多くの民間の活動が生まれ、つながることを支援していきたいと考えており、活動促進のための取り組みやネットワークづくりなどを検討してまいります。

 再質問させていただきます。

 まず、合意形成についてです。

 意見の一致を図るというプロセスは、さまざまな手段がありまして、私としては、双方向のやりとりをしながらのプロセスを重視しておりますけれども、今回のグランドデザインの合意形成ということについては、市のほうから情報提供をして、それに対して市民の賛否など、意見を聴取するということをもって一定の意見の一致が図られたということであると受けとめました。

 しかしながら、意見の一致が見られた人数が市民の割合からして少ないという認識はお持ちであるようで、グランドデザインの周知が課題とのことです。

 また、6月に事業内容を御説明いただいた際にも、グランドデザインの見える化ということを上げられていたと思います。今後の見える化、そして情報発信や情報共有をどのようにしていかれるのでしょうか、お考えをお示しください。

 今後のことについても伺います。

 まちなか再生や市中心部の活性化の取り組みは、空き家や空き店舗の情報提供や活用支援、そして起業・創業の支援、まちラボなどの人材育成などなど、既にやっておられる事業と重複するのではないかという印象を持ちました。商工振興課や地域調整課などとのすみ分けといいますか、連携といいますか、それぞれどういう役割分担で担っていかれるのでしょうか、伺います。

 そして3点目、アドバイザリーボードからの助言について私も同感で、そのようにしていただきたいと思います。具体的な助言一つ一つについてこの場で伺うものではありませんが、助言をしっかり生かしていただきたいと思います。

 そして、この中であったエリアごとに取り組む必要があるということについては、これからエリアごとのワークショップのようなことを考えておられるのでしょうか、伺います。

<山口秀充経営企画担当部長>

 再質問いただきました3点についてお答えいたします。

 まず、グランドデザインの見える化や情報発信につきましては、完成後、市民へ発表する機会をつくることを検討しており、これとあわせ、市のホームページなどに掲載し、情報発信してまいります。

 また、今後グランドデザインをもとに景観ガイドラインの導入も考えており、庁内関係部署と連携し、エリア内で民間の開発や活動が行われる際には、関係者に説明することで、情報共有を図っていきたいと考えております。

 次に、重複する事業との連携や役割分担につきましては、市中心部で多くの民間の活動が生まれ、つながることがグランドデザインの実現に必要と整理をしており、当面は経営企画課を中心に取り組んでまいりますが、活性化に向けた空き家・空き店舗の情報提供や起業・創業支援、人材育成など、既に実施している事業もあることから、これらの担当課やまちづくり会社などと連携した取り組みが進められるよう調整し、グランドデザイン実現に向けた体制づくりも検討をしてまいります。

 最後に、グランドデザインのエリアごとにワークショップなどを開催するのかについてお答えします。

 アドバイザリーボードからの意見も参考にしながら、またワークショップ参加者の活動状況も把握しながら、今後の取り組みを検討しているところでありますが、現状では、グランドデザイン全体を一つのエリアとして捉えております。引き続き来年度に向けて今後の取り組みを検討する中で、グランドデザインで区分したエリアごとの取り組みなどを整理してまいります。

 より多くの方に知っていただけるように、完成後に発表の機会をつくられて、またホームページでも情報発信をされるとのことです。余り後ろ向きなことを言いたくはないんですけれども、合意形成プロセスが不十分ではないかという思いもあるので再々質問をさせていただきます。

 そもそもグランドデザインをつくることを通じて、市民の皆さんと納得できる将来像を描き、市民の皆さんと一緒にその将来像に向かっていきたいということです。それでここまでのプロセスにおいて市民の皆さんから御意見をいただくことを通じて素案を修正し、市民が納得できる将来像をつくっていこうということです。ここまでで素案の修正があったのかどうかということを1点お伺いします。

 そして、もし完成しましたということで発表された後に、いやおかしいんじゃないかという声がたくさん上がった場合というのは、どのようになっていくのでしょうか、お伺いします。

 そのほかの御答弁いただいたことについては、ほかの部署や組織との連携による体制づくりやエリアごとの取り組みについて、まだこれから整理していかれるということで理解をいたしました。

<山口秀充経営企画担当部長>

 再々質問をいただきました。

 まず、1点目のこれまでの過程において素案の修正があったのかについてお答えいたします。

 これまでワークショップやパブリックコメントなどを通じて、素案に対するさまざまな意見をいただき、共感いただいているところであります。その中でも修正に関連する意見としては、素案の鳥瞰図のイメージは、生活地と矛盾している。また、港エリアの活用をもっとするべきなどの意見をいただき、現在これらの意見を整理し、素案の修正について検討をしております。

 次に、グランドデザインの発表後に多くの意見をいただいた場合、どのように対応するのかについてでありますが、現在検討しておりますグランドデザインは、市民や専門家などの意見をいただきながら作成している現時点で目指す将来の都市景観像であり、定めるものはコンセプトなどの方向性であります。民間の開発などに関してもこのコンセプトを守っていただきながら、同じ方向性でまちをつくっていくという考え方であります。グランドデザインの修正につきましては、将来に向けた考え方であるため、いただいた意見を参考に検討をしてまいります。

 コンセプトなど方向性をまとめられたグランドデザインということで、今後もしたくさんの意見があるようであれば、それも検討に加えていかれるということです。50年後というのは、本当に想像もつかないようなことも起きてくるのではないかと思います。その時代時代に合わせて修正もしながら、一緒に三原のまちはこんなまちを目指していこうということができていくものになればと思っております。

 ワークショップを3回傍聴させていただきましたけれども、1回目に来られた皆さんは、本当に三原市内で注目を集めているといいますか、新しい動きをされていたり、おもしろい動きをされていたりというたくさんの若い方が来られていて、本当にああこういう人たちの動きがもっと活発になって、いい三原のまちにつながっていくのではないかという予感を感じさせるワークショップ第1回でした。それが、ちょっと1回目残念だったなということもあったのは申し上げたとおりなんですけれども、いい形でそういった皆さんの動きがつながっていくよう、ぜひ力を合わせていっていただきたいと思います。

 ちょうどけさ地元紙の朝刊に載っておりました「再始動福山駅前」という名前の特集がされておりますけれども、福山のオープンストリート、歩道カフェのことであったりとか、リノベスクールなんかも話題によく上っているところです。これが三原のまちの情報も再始動というのか、始動三原駅前という見出しが新聞をにぎわせるようになるくらいに頑張っていただきたいと思っております。

 以上で質問を終わります。