平成27年 第6回定例会一般質問 平成28年度予算編成方針について

H27年12月議会

平成27年第6回定例会(12月)本会議で行った質問の議事録です。

平成28年度予算編成方針について

 議長のお許しをいただきましたので、通告しております3項目について質問させていただきます。風邪引きの方も多くいらっしゃってお疲れかとは思いますが、よろしくおつき合いくださいませ。

 まず最初に、お断りをさせていただくんですが、一問一答で3項目させていただきますが、3つがちょっと関連しております都合上、中には1項目めの質問でこういう御答弁いただきましたがという部分があろうかと思いますが、前の項目に戻って質問をするものではありません。前段のやりとりを踏まえてということで御理解をいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 それではまず、平成28年度予算編成方針についてです。
平成28年度の予算編成方針が示されました。天満市長から三原市役所内の各担当部長に宛てて出された文書です。主な一般財源である市税、普通交付税が減る一方、大型事業の元利償還、社会保障関係費などによって義務的経費がふえる見込みです。予算編成方針では、選択と集中による行財政改革の遂行、仕事と人の好循環づくりが重要であるとされ、平成28年度に重点的に取り組む内容として、まち・ひと・しごと創生総合戦略に掲げる5つの挑戦、5つの目標が挙げられています。5つの挑戦とは、働く場づくりへの挑戦、交流人口の拡大への挑戦、子ども・子育て充実への挑戦、市民の健康づくりへの挑戦、住みよさ向上への挑戦です。人口減少の抑制に取り組む総合戦略の確実な遂行については、9月議会一般質問でも取り上げさせていただいたところで、しっかりお願いしたいと思っております。

 今回は予算編成方針の終わりに「とりわけ」と特記されている観光の部分について質問させていただきたいと思います。

 瀬戸内三原築城450年事業を起爆剤として三原を内外に発信し、多くの観光客を呼び込み、三原のブランド化を図り、平成30年には観光が三原市を支える産業の一つとなる観光のまち三原が実現できるよう、各部においても観光の視点を持ち、積極的に取り組むこととすると記述されています。

 人口が減っていく中、観光誘客などによって交流人口をふやし、さらには定住へとつなげていくという流れを織り込んだ交流人口の拡大への挑戦は重要です。三原市観光戦略プランの冒頭では、定住人口が1人減ることによる消費額の低下を、日帰り旅行者で79人、宿泊者の場合で24人で補うことが可能であることが記載されています。人口対策である総合戦略の取り組みと三原市内外へのアピールの大きな材料となり得る築城450年がタイミングとして重なったことは、三原市にとって非常にラッキーであり、強みになり得るものと捉えております。

 しかしながら、観光が三原市を支える産業の一つとするということについて、観光を産業と捉えるということ、単発的なイベントではなく、産業となり得る部分が何なのか、非常に不明瞭であるとも感じております。観光産業におけるステークホルダーは誰であると捉え、そこに対してどのような働きかけをしてこられたのか、御説明いただけますでしょうか。

 ことしの4月に策定された長期総合計画においても、観光産業が本市の経済を支える産業の一つとなるよう、ブランド化、広域連携による瀬戸内海の景観や食を生かした観光ルートの情報発信などにより認知度アップを図ってきたとあるわけですけれども、ブランド化がどう産業に結びつくのか、観光ルートの情報発信がどう産業に結びつくのかについてもあわせて御説明いただきたいと思います。

 2点目の市役所内の各部署において観光の視点を持つということについてですが、職員さん数人にこれをどう捉えておられるか聞いてみたところ、それぞれに違う受けとめをしておられる様子です。何が期待されているのか共通認識として理解されていなければ、実現できないのではないでしょうか。天満市長は、各部においても観光の視点を持つとは、職員皆さんにどういうことを期待しておられるのか、共通認識を持って取り組めるよう御説明いただけますでしょうか。

<沖田真一観光振興担当参事>

 御質問の1点目、観光が市を支える産業となるについてお答えいたします。

いわゆる観光産業とは、観光資源を開発、整備し、観光に伴って発生する交通、宿泊、観光のあっせん、宣伝を行う事業活動等を包括的に捉えたものであります。

 本市では、物見遊山の観光から地元にある素材を生かした観光に移行し、産業に結びつけるために、これまで観光客に市内を周遊していただくための観光メニューを商品化し、ルート形成を行う観光商品造成事業や三原観光産業(スイーツ・カフェ)振興事業に取り組んでまいりました。これらの事業のステークホルダー、すなわち企業の経営活動にかかわる利害関係者とは、市内の飲食業者や輸送業者、市民活動団体等と捉えており、それらの事業者等と連携を図りながら、観光産業の実現に向けて取り組みを進めているところでございます。

 まず、観光商品造成事業の具体的な取り組みについてでありますが、これは三原観光協会を初め各事業者と連携を図り、飲食関連商品やクルーズ商品、定期観光タクシーを利用した観光地周遊商品などの造成を行ってまいりました。また、それらの商品に加え、市内のボランティアガイドの活用や本市の瀬戸内の景観のすばらしさなどについて、広島県及び広島県観光連盟が主催する観光情報説明会等で4大都市圏の旅行業者にセールスを行っております。そのうち7社の大手旅行業者がツアーを計画する中で、本市の提案する商品等を盛り込んでいただき、常時10種類程度の旅行パンフレットに掲載していただくことが定着してきております。市内の事業者からも、これらの商品を購入し、市内を周遊する観光客が増加傾向にあるとの声をいただいております。

 次に、三原観光産業(スイーツ・カフェ)振興事業につきましては、本市の観光の強みと考えておりますスイーツ・カフェをテーマとした三原おやつさんぽキャンペーン事業を展開しており、市内の洋菓子店や和菓子店、カフェ事業者26店舗と連携し、観光客の誘客を図り、市内の経済観光の活性化に取り組んでおります。また、本事業では、地産地消の観点からも、地元の農産物等の食材を使用したスイーツ商品の販売に取り組んでいただいている事業者もあり、経済効果の幅を広げていくことにも寄与しております。

 現在、タコ、地酒、スイーツを三原食のブランドとして県内外に通用するブランドに育てるための取り組みやそのブランド化を市内の産業に広く結びつけ、経済の活性化を図るための方策について、来年3月を目途に三原食ブランド化推進戦略を策定しているところであります。

 今後、この戦略に基づいたブランド化推進事業を展開しながら、観光客に市内を周遊していただくための新たな観光商品の造成とあわせて、情報発信をしっかり行いながら、観光が本市を支える産業の一つになるように取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、2点目の各部における観光の視点であります。
各部において観光の視点を持つとは、職員にどういうことを期待するかにつきましては、職員が三原の魅力について認識を深めた上で、交流人口の拡大、おもてなしにつながることをみずからの業務の中に取り入れ、業務に結びつけることを期待しております。

 そうした取り組みを進めるために、庁内においては、部長級以上で構成する庁議の場や瀬戸内三原築城450年事業推進本部会議、さらには下部組織として課長級で構成する連絡調整会議を設けて、この事業における庁内の情報共有を図り、共通認識を深めているところであります。今後、築城450年事業の推進を契機として、各部においても観光の視点を持つという共通認識が職員一人一人まで行き渡るよう、引き続き努力をしてまいります。

 観光ルートをつくり、情報発信をしてこられ、旅行業者のパンフレットにも三原の旅行商品というか、周遊商品が掲載されるようになった。三原の中で周遊される方がふえてきているということです。その利用をされることで交通機関の利用、施設の利用があり、観光消費につながっているということで理解をしました。三原の観光情報が多くの人の目に触れ、また実際に来ていただくという流れにどんどんつながっていくよう頑張っていただきたいと思っております。
ただ、そういうパンフレットを見てくる人ばかりではないと思います。実際に増加傾向が見られているということではあったんですけれども、実際に行ってみようと思っていただくには、お店情報のマップですとか、交通機関などの情報だけではなくて、三原に来ることへの期待、何を楽しみに来るかがイメージできるようなストーリー、プランを見せていく必要もあるのではないでしょうか。その点について補足して御説明いただけるものがあれば、お願いいたします。

 また、飲食関連商品についてですけれども、三原は農業も強みとして持っていると思います。産直市のような小売は定着してきている一方で、ビー・ツー・ビー(Business-to-business)の取り組みがまだ弱いように感じております。観光戦略プランには観光は裾野の広い産業として農業分野への波及効果まで書かれています。地元の食材を使ったスイーツ商品の例を挙げていただきましたが、食材の生産から飲食の提供まで一体的に頑張っておもてなしをしますという流れをしっかりつくり出していく必要があるのではないでしょうか。他市の例では、飲食店で地産地消のお店のような表示を掲げる取り組みなどもありますが、その点について取り組み状況はいかがでしょうか。

 もう一つ、飲食に関連してですが、飲食店は三原はとても充実していて、他市から来られる方からも安くておいしいと好評をいただいていると思っておりますが、なかなか三原の飲食店情報が届いていないのではないかということも一方で感じております。情報発信も課題に感じていますが、その点での取り組みもお聞かせください。

 1点気になっておりますのは、観光産業として宿泊も挙げられたと思うんですが、具体的なステークホルダー、働きかけの例として、宿泊業について触れられておりませんでした。三原市の現在の観光客のほとんどが県内他市町からということで、宿泊を余り想定されず、これまでの取り組みがないのかもしれませんが、やはり観光を産業にというからには大事な部分だと思います。

 まずやっていただきたいのは、各宿泊施設の実態を把握していただきたいということです。よく言われるのが、公平性を期して特定の施設をお勧めすることはできませんということがあったりするんですけれども、例えばレディース向けの設備、備品が整っているのはどこですかとか、車椅子のおばあちゃんと一緒に宿泊したいけれど、どこが利用しやすいですかとか聞かれたときに、ホームページを見てくださいとか、パンフレットを差し上げますとかではなくて、きちんと生きたリアルな情報をお伝えできるかどうかということがおもてなしだと思っております。そういう情報は既に把握をされていて、対応できているということでしたら結構ですが、できていないのであれば、実態を把握していただくところからまず取り組む必要があると思いますが、いかがでしょうか。

 それから、各部署で観光の視点を持つということについてです。
まず一つは、職員さんが三原の魅力について認識を深めていかれるということです。三原の人が三原を悪く言うというか、三原のよさをきちんと評価できていないということもよく言われますので、魅力の認識を深めるというのは大事なことだと思います。

 そこで、具体的には三原の魅力を知る、認識を深めるということについて、庁内、市役所として何かしておられるのでしょうか、それとも個人それぞれに任されているということでしょうか、お尋ねします。

 それから、交流人口の拡大、そしておもてなしにつながることを業務に取り入れていくということです。こういうビッグワードというのか、大きな意味合いの言葉は、言葉としてはみんな理解できるんですけれども、具体的な中身として、じゃあまずどうやったら三原に来るのか、交流人口というのはどういうふうに交流することなのか、1回来て終わりではなくて、また来たいと思ってもらえるにはどうしたらいいのかとか、中身はたくさんあります。その細かいところまでこの本会議でやりとりしようと思ってはおりませんが、そういう具体的な行動につながるレベルまで落とし込んだ共有がされているのでしょうか、また共有される仕組みがありますかということをお伺いしたいと思っております。庁内会議で共通認識を深めておられるということなんですが、ほかの部署の動きも含めてちゃんと見えるようになってるということでしたらそれで結構ですが、再度御答弁いただきたいと思います。お願いいたします。

<沖田真一観光振興担当参事>

 再質問にお答えいたします。
まず、観光が市を支える産業となるに係る4点についてお答えいたします。

 本市に訪れるイメージストーリーやきっかけづくりにつきましては、現在実施しております観光プロモーション事業の観光PRテレビ番組におきまして、三原の食や観光地めぐり、観光体験を一体的に結びつけ、観光ルートの提案として情報発信をしております。また、旅行業者のパンフレット以外にも、情報誌るるぶFREE三原・尾道やWINK等にも本市の観光情報を魅力的に掲載し、読者に伝えることで、本市に観光で訪れるきっかけづくりとなるように取り組んでおります。これらの取り組みにより、テレビ番組放送後、紹介した店舗を訪れるお客様がふえ、行列ができる店舗もあるなどのお声を事業者等からいただき、その効果を確認しております。また、るるぶFREE三原・尾道を持参して、市内を周遊する観光客の方々を見かけるようにもなっております。

 次に、飲食関連商品と地元農産物のマッチングについてでありますが、市内においては、一部の農業生産法人や小規模農家が野菜やお米を飲食業者と直接契約している事例があります。これは安全・安心な農産物を提供したいという生産者と飲食業者の思いがマッチングしたものであります。また、海産物であるタコにつきましては、三原市漁業協同組合による三原やっさタコの商標登録や広島県産応援登録制度への登録により、販路の拡大やブランド化も進んでおり、三原市漁協推奨の店の看板を掲げた飲食業者については十数店舗ありますが、農産物についてのこうした取り組みは現在のところ進んでおりません。道の駅を初めとする農産物直売所や学校給食につきましては、地元産品の供給が定着をしておりますが、量的には十分とは言えない状況であります。そのため、農業者の所得向上のためにも生産振興を推進しているところであります。こうした状況を踏まえ、今後農産物、海産物の生産者と飲食業者等がマッチングできるような取り組みがふえるように、本市の特産品のPRを推進してまいります。

 3点目の市内の飲食店の情報発信につきましては、これまで本市ではタコ料理等のジャンルに絞った店舗や支援制度の紹介を目的とした空き店舗を活用した新規出店について、一定の情報発信を行っております。

 このような中、三原商工会議所や三原観光協会では、はしご酒、みはらバル等のイベント実施やたこのまち三原得得マップの発行などにより、市内の飲食店を観光客等に知っていただくための取り組みを強化しているところであります。今後も商工団体等と連携を図りながら、効果的な情報発信に取り組んでまいります。

 4点目の市内の宿泊施設の実態把握を行っているかにつきましては、三原観光協会や三原ホテル旅館組合と連携し、宿泊施設の実態把握を行っており、三原観光協会におきまして、宿泊施設利用者の目的や要望に応じた宿泊施設の紹介や予約受け付けを行っております。三原ホテル旅館組合からは、週末の宿泊が増加傾向にあるという声もいただいております。

 観光客の市内の宿泊につきましては、観光消費額の増大に大きな影響を与えるものと考えておりますが、まずは観光客が本市を訪れたくなるような魅力的な着地情報の発信や着地型観光メニューの魅力づけをしっかり行いながら、宿泊利用の促進にも取り組んでまいります。

 続きまして、再質問の各部における観光の視点についてお答えいたします。
 三原の魅力につきましては、市職員への認識を深めるため、庁内LANを活用した掲示板において、テレビで取り上げられる番組等について職員に周知し、その魅力の情報共有を図っております。

 築城450年事業の基本計画実行指針には、市民が三原のファンになり、市外の人たちに自慢できるようになるための情報を市民に届けるということを掲げており、「三原を知ろう、知ってもらおう!」をテーマとした築城450年事業の情報誌「浮々城々」の発行など広報事業を行い、周知を図っております。築城450年事業を契機として、まずは職員が観光の視点を持って業務に取り組めるよう、さらなる情報提供を図るとともに、推進本部会議や連絡調整会議の場を活用し、共通認識を深めてまいります。

 タコについては、漁協さんから働きかけて、推奨店の看板表示もされたりして取り組んでおられるということです。ほかのものについては、現状ではそれぞれ自主的にというのか、うまく出会うというか、つながることができればという状態であるように受けとめております。飲食店さんから三原のものを使いたいけれど、情報がないという声を聞くこともありまして、PRを推進しますとのことなので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 宿泊については、観光協会さんのほうで施設の把握をされ、また紹介などもしておられるとのことです。そして、宿泊利用がふえているということです。宿泊の満足度を上げていけるようにフィードバックをいただく仕組みづくりや、またよい評価をいただけた場合、そういう声を紹介していくなど、さらなる宿泊利用増加に向けて取り組んでいただきたいと思います。

 それから、各部署での生かし方というところで、三原の魅力について、築城450年情報誌「浮々城々」のことを挙げていただきました。これはタイトル、デザイン、内容、とてもよいものをつくっていただいていると感じております。私自身好きなので、つい「浮々城々」を見ましたか、知ってますかということを聞いたりしております。中には御存じない方もいらっしゃいます。御答弁の中で周知しています、共有していますというふうにおっしゃっていますけれども、発信された情報が受け手側にちゃんと届いているかどうかということも敏感に捉えていただく必要があるのではないかと思っております。

 それから、庁内の会議、推進本部会議、連絡調整会議など、部長級、課長級ということでしたが、若い職員さんの感性もぜひ生かしていっていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 これまでのほかの議員さんの質問のやりとりでも出ておりますけれども、厳しい財政状況の中での予算編成です。3月には予算案をお示しいただくわけですけれども、観光予算、年々ふえておりまして、450年事業もあります。私としては、各事業を通じて人材育成につながるのかどうか、人的資本、知的資本、社会関係資本などのエンパワーメント、資本強化につながるかどうか、また域内経済循環へ切りかえられるか、再投資につながるかというような視点で見させていただきたいと思っております。

 それから、今回予算編成方針の中で、各部署において観光の視点を持つということがちょっとひっかかって、気になったものですから、交流人口拡大への挑戦重要ですということで取り上げさせていただきました。けれども、総合戦略の5つの挑戦全てが相互にかかわり、支え合い、重要であると捉えております。5つの挑戦全てを職員皆さんがいつも意識のどこかに置いていただいて取り組んでいただきたいということをお願いしまして、次の質問に移らせていただきます。