平成27年 第4回定例会一般質問 総合戦略実現に向けた人財育成について

H27年9月議会

平成27年第4回定例会(9月)本会議で行った質問の議事録です。

総合戦略実現に向けた人財育成について

 議長のお許しをいただきましたので、通告しております総合戦略実現に向けた人材育成について質問をさせていただきます。

 昨年5月に人口減少によって存続が危ぶまれる消滅可能性都市が発表され、広島県内でも11市町、そして広島市内の1区が消滅可能性都市として公表されました。消滅可能性の定義は20代、30代の女性人口の減少率の予測が30年間で50%以上とされるもので、三原市はこの中に含まれてはいませんが、47%という数字が発表され、昨年6月定例会の本会議で梅本議員の一般質問に対して、人口減少に対する危機感をしっかり持たなくてはいけないと池本副市長の御答弁がありました。この47%という数字は、現在の人口移動や出生率が変わらなかった場合の予測数値であり、ことし4月に策定されたみはら元気創造プランの5つの挑戦で、人口移動・転出の人数を抑えること、合計特殊出生率平成22年の1.56を平成31年に1.80にする目標が掲げられました。そして、現在人口の減少を抑える人口ビジョンとその人口ビジョンを実現するための総合戦略が10月の策定に向けてまとめられているところです。20代、30代の女性人口の減少率が50%以上で消滅可能性都市とされるところ、わずか3ポイント差で免れた三原市です。人口減少を抑制するための総合戦略が確実に実現されることが三原市の未来をつくっていく大変重要なものです。これまで三原市の長期総合計画などによって各事業の目標年度と目標数値が定められても、実現されないまま第2次計画へ繰り越されたものもあります。ですが、総合戦略は確実に実現していただきたい、実現の必要があると思いますので、そのために有効と考える人材育成について質問をいたします。

 まず、1つ目のファシリテーターについてです。片仮名語はわからんとか、わからない言葉があると聞く気にならんと、よく御指摘を受けるんですけれども、どうしても日本語で置きかえる言葉がないのと、ファシリテーターという言葉で最近広がってきていますので、このままファシリテーターという言葉を使わせていただきます。

 ファシリテーターのもとの英語の意味としては、何かを実現するのを手伝う人という意味合いの言葉で、複数の人が一緒に話し合いや作業をする際に、参加者が安心して参加できる場づくりをしたり、進行する人という役割をあらわす言葉です。職員像としてのファシリテーターは、話し合いの場での進行役という限定的な役割ではなく、市民の皆さんが意見を出しやすい機会をつくり、意見を出すことを促し、積極的に市民の皆さんの声を聞いて政策形成に生かしていく職員であると考えています。

 ファシリテーターとして一番基礎になる能力は、相手の話をよく聞く、相手の思いを受けとめることです。総合戦略にもあるコーディネートやマッチングを伴う事業に欠かせない能力だと思います。そして、総合戦略に取り組むこれからの5年間は、三原市の将来を切り開く5年であると同時に、手探りの5年でもあると思うのです。都市部へ人が流れる一方で、若い年代の人たちに田園回帰、ふるさと回帰と言われる傾向があらわれているのも事実です。また、子どもを産み育てやすい環境といっても、医療費などの助成や安心して子どもを預けられる環境整備など、政策面だけでなく、子ども連れファミリーが温かく見守られるようなまち全体の空気をつくっていくことも大事だと思うのです。

 自治体としても変化が求められるこれからの手探りの中で、総合戦略の各事業がうまくいっているのかどうか、目標は正しいのか、手段は適切か、ほかに取り除くべきハードル、障害があるのではないかなど、年度ごとの見直しを待つのではなく、職員の皆さんが日々事業に関係する人たちの思いを感じ取りながら、血の通った生きた総合戦略になっていってほしいと思います。そのために、ファシリテーター育成によって聞く力、受けとめる力が得られることが有効であると考えます。

 ファシリテーターの人材育成が必要である2つ目の理由は、先ほど申し上げた複数の人が一緒に話し合いや作業をする場をつくることです。これはワークショップと呼ばれ、これまでみはら元気創造プランの基本構想をつくるとき、新庁舎建設基本計画をつくるときなど、市民参加によるワークショップ、話し合いの場が設けられました。政府が発表したまち・ひと・しごと創生基本方針2015にも地域住民による集落生活圏の将来像の合意形成ということが書かれていますが、これからも市民参加によるワークショップ、話し合いの場はさまざまな場面で必要だと思います。基本構想や新庁舎建設基本計画のワークショップはコンサルタントに委託されていましたが、職員さんがファシリテーターとして技術を身につけ、ワークショップを行うことでノウハウが蓄積され、ワークショップの企画、実施がスピーディーに行え、また連続した流れをつくれるようになります。

 以上のように、総合戦略実現にはファシリテーターとしての能力が大変有効に生かされると思いますが、いかがでしょうか。現在は、ファシリテーターの研修をどういう形でどれくらいの職員さんが受けておられるのでしょうか。ステップアップ、スキルアップの機会はつくられているでしょうか。また、全ての職員さんがファシリテーションの研修を受けられることが望ましいと思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。

 人材育成の2つ目は、ビッグデータの分析と活用についてです。

 これもまた片仮名用語で大変申しわけありません。文字どおり大きなデータ、大量の情報ということですが、その大きさがどれほどかを明確に定義するものはありません。これまでの情報概念を大きく上回るもので、複数の多くの種類の情報源から構成されることが特徴です。そのような情報をどう使っていくかですけれども、地方で雇用の場をつくること、その前提となる経済の流れを地域でつくっていくこと、その必要性は明らかで、そのために地域経済分析システムが開発され、膨大な情報が地方自治体に提供されるようになりました。これは、地方版総合戦略を支える国からの3つの支援、財政支援、人的支援と並ぶ情報支援として掲げられています。ですが、大変残念ながらそれを分析、活用する人材が不足している現状です。地方創生の総合戦略に取り組むに当たって、経験や勘に頼るだけでなく、客観的な情報により地域の特性を分析し、地域の課題を把握して確実な対策を行うことが求められています。地域経済分析システムの活用を考えておられるでしょうか。また、庁内で専門性を持ってデータ分析を希望する人材を募って活用に向けた研修を受けられてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

<窪田弘武経営企画担当部長>

 総合戦略実現に向けた人材育成についてお答えいたします。

 まず、1点目のファシリテーターについてですが、本市の総合戦略は10月の策定を目指して取り組んでおり、人口減少に歯どめをかけるという課題解決を図るため、みはら元気創造プランの5つの挑戦で定めた雇用創出、子ども・子育て支援、市民の健康づくりなどの視点から必要な事業について検討しているところでございます。8月に議会にもお示しいたしました各種事業案におきましても、空き家改修費補助や企業への就職ガイダンス参加支援など実施主体への支援を通じて取り組みを促進する事業、起業支援体制整備や電子マネーによる地域ポイント環境整備等、経済団体等と連携、協議しながら取り組む事業、そのほか市民の健康づくりや人材育成に取り組む魅力向上支援事業等、市民との連携により進める事業など、多様な主体に対し多様な働きかけを行うことによって成果の出る事業を多く掲げております。この事業の推進に当たりましては、さまざまな場で市職員が市民や関係団体と連携、協働する機会が増加するとともに、連携や協働を順調かつ効果的に進めることが事業の成果につながるものと考えております。そのために、職員にはファシリテーション能力を初めとして、職務にかかわる知識や説明、課題の抽出、解決などさまざまな能力が必要となります。職員の研修につきましては、ファシリテーションとコーチングの基本スキルの習得を狙いとして、広島県自治総合研修センターが実施いたします中堅職員研修に主任級の職員を中心に派遣しており、平成25年度は18名、平成26年度は9名、今年度も7名が受講する予定でございます。また、より一層の能力向上を希望する職員には、同研修センターで2日間にわたり実施しているファシリテーション研修への参加を勧めており、平成26年度には2名が受講いたしました。今後は、これらの研修への派遣を継続するとともに、市が利用しております他の研修機関が実施する講座も周知して、受講を推奨し、職員の能力向上を図ってまいりたいと考えております。

 続きまして、2点目のビッグデータの活用についてお答えいたします。
地域経済分析システム、通称RESASは、これまで経済産業省が開発してきたビッグデータを活用した地域経済の見える化システムに経済分野に限らず、さまざまなデータを追加搭載したシステムであります。各自治体が客観的なデータに基づき、みずからの地域の現状と特性に即した課題を抜き出し、地方版総合戦略の立案に活用することができる分析システムであり、本市におきましても人口ビジョンの策定において活用しております。このシステムは人口、産業、農業、医療、福祉などの各分野においての分析や比較を通じ、調査や政策形成にも活用できるよう現在も整備、拡充が進んでおり、今後は総合戦略推進に向けての活用のみならず、市役所内のさまざまな部署が施策を推進していく上で積極的に活用できる可能性があるものと考えております。

 また、RESASの活用におきましては調査テーマの選定、仮説設定、標本抽出、データ分析、統計解析といった事象を分析し、判断する能力が求められることも考えられます。したがいまして、データや情報の正確な理解や適切に分析、加工する力を養うために、通信教育機関が提供する情報分析のための教育講座や県の研修センターが主催している社会調査・分析力研修などへの参加を促進してまいります。

 総合戦略を進めるに当たってさまざまな主体の方々と一緒に取り組む必要があって、ファシリテーション能力の必要性は認めておられると受けとめました。研修については、ファシリテーターの研修とあわせてコーチングも進めておられるということで、現在既に広島県などで行われているものを活用してということです。

 計画をつくっていく過程にかかわった人ほどその計画推進に積極的、協力的であることから、自治体の計画の実効性を高めるために、計画をつくっていく過程により多くの市民、職員の皆さんにかかわっていただくワークショップ形式を取り入れる自治体がふえています。岩手県久慈市の例では、長期計画の策定を外部人材のファシリテーターとともに行い、その過程に職員の積極的な参加の機会をふやし、職員の人材育成プログラムを兼ねて行われました。また、久慈市のまちづくりに、対話、ファシリテーション文化を定着させるため、職員と一緒に市民も対象にしたファシリテーション研修を行われたそうです。その後の取り組みもいろいろあるようですけれども、現在市政懇談会でも意見交換の時間をワークショップ形式に変えて、職員がテーブルファシリテーターとして参加するなど、政策決定プロセスに変化が起き始めているということです。

 また、職員全員を対象にファシリテーション研修を行っている富山県氷見市では、市民の声をよく聞くようになった、職員同士の意見交流が活発になった、コミュニケーションの横の広がりと深さが感じられるようになったなどの変化があらわれているそうです。

 1回研修を受けただけですぐに変わるわけではありませんが、地方創生、総合戦略の取り組みは始まったばかりです。人材育成には時間がかかり、早く取り組むべきだとも思います。そして、人材こそ三原市として貴重な資源、資本です。現在可能な研修をぜひ積極的に受講していただくとともに、今後のワークショップの機会にはぜひ職員の皆さんがファシリテーションを学び、スキルアップする過程を盛り込んでいただくようお願いしたいですが、いかがでしょうか。

 2点目のビッグデータについても再質問いたします。
地域経済分析システムについて今後の活用の可能性を認識しておられるということです。御答弁いただいたように、この膨大なデータの分析に当たっては少し特殊な能力が必要となります。嫌な人にとっては物すごく負担が大きいものだと思いますので、庁内で専門性を持ってデータ分析を希望する人材を募ってはどうかという提案をさせていただきました。また、他市の例では地方版総合戦略のため、データ分析や政策立案を総合的に行う任期付職員の採用例もあります。地域経済の分析や政策立案を総合的に行う専門性を持った人材育成について、再度お伺いします。

<窪田弘武経営企画担当部長>

 ただいま2点の再質問をいただきました。
私のほうからファシリテーターについての質問にお答えさせていただきます。

 積極的に研修を受講するとともに、今後のワークショップでは職員がファシリテーションを学び、スキルアップする過程を盛り込むべきではないかという御質問の内容でございます。

 ファシリテーション能力は,合意形成や政策形成過程での話し合い、課題解決に向けた検討など、ワークショップのみならずさまざまな施策を推進していく上でも有効であり、職員として必要な能力の一つであると理解しております。今後とも、職員に対しファシリテーション研修の機会を提供するとともに、受講を勧めてまいります。

 また、市などが実施するワークショップにおいて、市民や関係団体と同じ立場で参加し、自分の考えを述べ、一緒に考えることは市職員にとっても大切なことであり、こうした場への参加につきましても積極的に促し、本人の能力向上につなげてまいります。

<里村学総務企画部長>

 再質問いただきました2点目、ビッグデータの活用について、データ分析や政策立案を総合的に行う任期付職員の採用や専門的な職員の育成をという御提案でございました。

 RESASの活用におきましては、クロス集計や相関分析、回帰分析などの手法を駆使し、データ分析や統計解析をする場面も想定されますが、このシステムのデータ自体が集積の途上でもあり、その活用に当たって必要とする能力が極めて特殊なものであるのか、それとも一般職員が研さんを積めば活用できる程度のものであるのかが現段階では明確ではありません。したがいまして、職員の育成及び任用につきましては、各種研修会を通じまして活用に当たっての留意点は何か、どの程度の能力を必要とするかなどの情報収集を図るとともに、当面は職員の育成に努めてまいります。よろしくお願いいたします。

 ワークショップの参加について、職員の皆さんへも参加を積極的に促していただけるということでありました。私が考えているのは、参加をするということではなくて、人材育成、次に御自身がファシリテーターとなれる人材になれるように積極的に参加をされる、そういったプログラムとして組んでいただきたいと思っておりますので、その点も御検討いただきたいと思います。

 そして、総合戦略に求められることはさまざまあると思いますが、私は重要なこととして正確な分析と冷静な判断、そして国からのお仕着せ、トップダウンというやり方ではなく、足元から築き上げていくことだと思っております。地域経済分析システムRESASの活用によって正確な分析、冷静な判断、そして検証を行い、ファシリテーションの活用によって市民参加のまちづくりを進めていただきたいと思っております。

 地域経済分析システムRESASについては、御答弁いただいたように、まだまだこれから整備、拡充されていくものです。今後、どの程度の能力が必要かを見きわめてからということについては、私も同じように考えております。ですが、ビッグデータの活用は避けられない流れだと思いますので、ぜひトップグループで走って、話題になって、三原市さん、どうやっとってんですかと周りの市から聞かれるくらいのポジションを獲得していただきたい。そして、データだけに振り回されるのではなく、市民の皆さんの思いとともに総合戦略を進めていけるようファシリテーターの育成をしていただきたいと思っております。頭脳とハートで総合戦略の実現ができるように、ぜひよろしくお願いいたします。