令和元年第6回定例会(12月)で行った質問の議事録です。
海洋プラスチックごみ問題について
2項目めは海洋プラスチック問題についてです。
海岸漂着物処理推進法の改正内容によって,地方公共団体に求められる対応を本市として強化するべきではないかというのが1点目です。
近年,海に大量のプラスチックごみが蓄積していることが明らかになっています。世界的に大きな問題となっています。世界で1年間で800万トン,ジャンボジェット機5万機に相当する重さのプラスチックごみが海に流れ込んでいると言われています。今のままでは2050年までに海の中に存在するプラスチックの量が重量ベースで魚の量を超えてしまうという試算が2016年1月の世界経済フォーラム,いわゆるダボス会議で報告され,一気に注目を集め,さまざまな対策が進むことになりました。2018年6月に海岸漂着物処理推進法が改正され,海岸における良好な景観及び環境の保全に加えて,海洋環境の保全も図られることになりました。
タコのまち三原と掲げる本市として,海の環境を守ることは大変重要ですが,それだけにとどまらず,海洋プラスチック問題は海洋環境や海洋生物への影響のみならず,人体への影響も心配され,マイクロプラスチックとして人体,私たちも体内に取り込んでいるということが言われています。研究が進められているところで,速やかな対応が求められます。以前から対象とされていた海岸漂着ごみについて,また法改正により加えられた漂流ごみについて,本市としてはどのように把握をされて,また取り組んでおられるでしょうか。海岸漂着物処理推進法の改正では,海にごみが流れ込む前に,そもそもごみの発生自体を抑制することが重要であることも改めて明記されました。本市としても循環型社会を目指してリデュース,リユース,リサイクルというごみを削減する,頭文字をとって3Rと呼ばれるものですが,これを進めてきているところでありますが,より一層取り組みを強化する必要があると考えます。グリーン購入法も見直されて,国の省庁や国立大学では,会議でのペットボトルの提供禁止も打ち出されました。本市における会議などでの飲料水提供について,環境政策の所管部署として環境配慮の方針を明確にするべきだと思います。お考えをお伺いします。
2点目は,水道部が販売している水道水「三原だより」の容器について,ペットボトルを使用しない代替案を検討するべきではないかです。
プラスチック問題の流れから,地方公共団体として先ほど申し上げたような背景がありますので,水道水をペットボトルで販売することはやめるべきだと思っての提案ですけれども,以前の議会の委員会で採算が合わないことをおっしゃっていたので,事前にその点も調べさせていただきました。
こちらの製造原価と販売価格を対比したグラフをごらんください。赤い線が製造原価になります。以前は若干収入を得られていたようですけれども,現在は原価割れという状況が続いているようです。
続いて,販売本数のグラフをごらんください。毎年5,000本から6,000本を販売されております。半分近くが市役所関係での消費になっております。下側の青色の濃いほうが市役所関係での消費です。そのうちの半分程度が議会での消費となっております。ここにもこういう「三原だより」のペットボトルが用意してありまして,議会としても会議などで使っているところです。
一方で,ボトルのデザインが大変好評です。本の表紙を提示させていただいてますが,「かわいい!パケ買いデザイン」という本が出ておりまして,空にすかして飲みたいお水「三原だより」,三原市水道事業と紹介されています。三原駅や広島空港でも販売されていて,インスタグラムでかわいいと投稿されているのを見たことがあります。既に御承知のところですが,ペットボトルのデザインはこういう形になっております。先ほどの本で,広島県三原市の水道部が販売している御当地ペットボトル水,温かいタッチのイラストで晴れた日に空にすかして飲んでもらいたいという思いを込めてデザインされた。ボトルを3本並べると瀬戸内海や広島の山々があらわれ,穏やかな風景がパノラマのように広がると紹介されています。また,平成27年度の第14回広島グッドデザイン賞でパッケージ部門の奨励賞も受けられています。
このようによい評価を受けているパッケージデザインについては,何らかの形で今後も活用していただきたい思いはあるものの,赤字の状況を押してペットボトルの製造,販売をする必要はないと考えております。そして,私が考える代替案ですが,こちらの画像をごらんください。世界的にこのようなマイボトルに水をつぎ足せる給水スポットの設置が取り組まれております。画面の左側のほうは,よくある給水器,公共施設とか百貨店などでも設置されている給水器ですが,デザインが蛇口の形のようになっております。それから,右側のほうは,ボトルの形に穴があいているんですけれども,そこに赤い水筒が置かれていますが,上から水が出てきて,そこに水を給水できるというものになっております。
今御紹介した給水器ですけれども,公園の水飲み場のようなもので,販売収入を得るということはできません。しかし,先ほども申し上げた気候変動によって夏の気温が高くなる状況の中,安全な水を誰にでも提供できるということ,トラックなどによってエネルギーをかけて水を運ぶのではなく,既存の水道管で水を運ぶ,効率のよさ,先ほどCO2排出量が数百倍から1,000倍違いますと申し上げました。それから,日本よりも脱ペットボトルが進む海外からインバウンド観光客を対象に本市の給水スポットをPRするということもできるのではないかと考えておりまして,これらの観点から公共施設に給水設備を設けてはどうかと考えています。
画像を使わせていただくに当たって,このキャンペーンのリフィルジャパン事務局にお話を伺ったところ,自治体からキャンペーンや給水設備についての問い合わせ,引き合いの連絡が多くあるということでした。本市としての考えをお伺いいたします。
<平岡雅男生活環境部長>
海外プラスチックごみ問題についての御質問1点目,海岸漂着物処理推進法の改正内容について本市として取り組みを強化するべきではないかについてお答えをいたします。
まず,海岸漂着ごみについては,毎年リフレッシュ瀬戸内として地元の町内会や三原海洋少年団,尾道海上保安部など約200人が佐木島の海岸を一斉清掃しており,今年度は可燃物1,540キログラム,不燃物260キログラムが回収をされています。可燃物の中には,流木や海岸に生えている木なども含まれています。すなみ海浜公園では,施設管理者が土日を除き,見回りとあわせ海岸の清掃を行っておられるようです。
そして,今年度初めて,みはらし環境会議の地域会議と市が共催をし,小学校の3年生から6年生と保護者を対象に海岸に漂着したごみの清掃活動を通して海洋環境保全の重要性を知ってもらい,また海に親しんでもらうことで良好な海辺環境及び豊かな生態系,美しい景観の保全に資することを目的に,佐木島の海岸清掃とシーカヤック体験,清掃ごみについての環境学習を行いました。そこでは,可燃物60キログラム,不燃物10キログラムを回収しています。
また,漂流ごみについては,航行船舶の安全,港内の整頓や海洋汚染を防止するために設立された団体,一般社団法人広島県清港会が担当海域ごとに清掃船を週に1回出し,漂流している一般ごみ,流竹木,発泡スチロールなどを回収しています。平成30年度の主なごみの量は,一般ごみ12.8立方メートル,流竹木83本,発泡スチロール60個,飲料用容器1,211個となっているとのことです。そして,海底ごみについては,ごみが海底を覆うことにより生物の生育環境の悪化や漁業への被害などの問題があり,本市においては三原市漁業協同組合が年に1回底びき網で引き上げ,市が回収,処分を行っております。
このように海に流出したごみについては,さまざまな対策を講じておりますが,原因となるごみを減らす対策も強化をしていかなくてはいけないと考えており,引き続き周知,啓発に努めてまいります。
次に,環境配慮の方針を明確にすべきではないかという質問にお答えをいたします。
まず,グリーン購入法とは,環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築を図るため,国や地方公共団体等が環境物品等の調達の推進をしていくものです。そのため,使い捨て型の社会のあり方を見直し,ごみとして捨てていたものを資源として繰り返し使う無駄のない社会をつくることが必要となってきます。市役所においても,グリーン購入については積極的に推進をしているところであり,環境基本計画に掲げておりますごみの削減の3Rであるごみとなるものを減らす排出抑制,繰り返し使う再使用,資源として利用する再生利用の取り組みを今後も推進をしてまいります。
<児玉浩水道部長>
御質問2点目,ペットボトル入り水道水の販売について代替案を検討すべきではないかについてお答えします。
現在水道部で作製しておりますペットボトル入り水道水の昨年度の販売実績は,年間5,895本となっております。当初はPR用,備蓄用として製作していたものを,平成25年10月にパッケージのデザインを一新したことを機に販売を開始いたしました。販売当初の製作費は1本当たり約91円でありましたが,昨年度の実績では1本当たり約128円となっており,議員御指摘のとおり,数年前から採算がとれない状況となっております。このような状況にありますので,水道部としましても課題であると認識しており,今後の方向性を検討しているところであります。採算面や自然環境への配慮を踏まえ,結論を出していきたいと考えております。
また,今後の三原のおいしい水道水のPRについても,採算面と自然環境への配慮を第一に研究してまいります。
ペットボトルでの水道水の販売については見直しを検討されているということです。先ほどCO2排出量については,ペットボトル3,000本分,販売は5,000本から6,000本ですが,駅などで買われている方は三原市の水道水がなくてもほかのものを選ぶのではないかと思われるので,市として消費をしている3,000本ということで計算をしておりますが,三原市が3,000本分やめたとしたらCO2で600キログラム,重量ベースで60キログラムぐらいが減らせると思っております。これは,三原市が資源ごみとして回収しているペットボトルの0.1%というわずかではありますが,やはり小さなことをこつこつと積み重ねていくということは本当に大事だと思っております。これはCO2を削減できる上に,経費としても30万円ぐらいですか,削減できることになりますので,廃止に向けて検討していただきたいと思います。
それから,漂流ごみ,漂着ごみについては,啓発も兼ねて市民の皆さんの御協力もいただきながら進めておられるということをお伺いしました。会議での飲料水の提供に関しては,グリーン購入法に基づいて,3Rに基づいてやっていますということなんですが,ペットボトルで水やお茶を提供するということもやめるべきではないかと思っております。これは,国,政府や国立大学で廃止をするということを先ほど申し上げましたが,自治体に対しては努力を求めるということになっております。ぜひ廃止するという努力を,飲料水をペットボトルで提供するのをやめるということを英断していただきたいと思っております。やめるに当たってお金がないから,経費がないからというけちけちした感じだとやっぱりよろしくないので,気候非常事態宣言をして,本当に必要なんですねという理解を得られるような形で廃止をしていただきたいと思うところです。
漁業をやっておられる気仙沼市ですけれども,海洋プラスチックごみ対策アクション宣言というのをされました。海と生きる気仙沼ということで,ことしの9月4日に宣言をされたんですけれども,さまざまな取り組みにあわせて会議でのペットボトルの飲料水提供をやめるということも明言されています。本市としても会議での飲料水提供について明確に示していただきたいと思いますが,その点を再質問させていただきたいと思います。
<平岡雅男生活環境部長>
三原市の会議でのペットボトルを使わないということを明確に示していただきたいという御質問だと思います。
今三原市がごみの減量化,3Rについて取り組んでいるところでございますけれども,その一つがそういった議員御提案のことだと思います。今後そういった小さいことですけれども,小さいことからこつこつということは三原市も行ってきておるところでございますので,今後これについては検討を行ってまいります。
はい,御検討いただきたいと思います。昨年の豪雨災害による断水で給水の大変さ,水を得ることの大変さを経験いたしました。ペットボトルで提供されないからといって,どれくらい困るだろうと考えたときに,毎朝自分自身で水道の水をペットボトル,ペットボトルではなくても水筒でもいいんですが,くむ面倒くささと豪雨災害で体験したあの大変さを比べたときに,やはり一人一人が日々責任を持ってCO2削減,ごみ削減ということを取り組んでいければと思っております。