平成30年第3回定例会(6月)で行った質問の議事録です。
本郷町に新設予定の民間の最終処分場について
議長の許可をいただきましたので,通告しております2項目について質問をさせていただきます。
まず,本郷町に新設予定の民間の最終処分場についてです。
本郷町南方に産業廃棄物の最終処分場を新たにつくる計画があるとのことです。産廃ですので,民間でつくる処分場ですし,行政の所管としては広島県になります。その点は承知しておりますが,やはり三原市民の生活に影響が出る可能性がある問題ですので,市としてできることは何なのか,質問させていただきたいと思います。
まず1点目,これまでの経緯について伺います。
先日6月6日に,三原,竹原の関係する地域の方々,広島県,竹原市,三原市,それぞれの行政の担当者が一堂に集まられ,この本郷町南方に新設予定の最終処分場について話し合われました。産業廃棄物が埋め立てられる最終処分場の場所は,本郷町南方になりますが,ちょうど沼田川と賀茂川の分水嶺に当たるということで,竹原市も関係地域となっております。集まられた地域の方々からは,河川への影響,自然環境への影響,次の世代への影響を心配される声が上がっていました。当然のことだと思います。
事業者のほうでは,建設に向けて既に広島県へ申請を出されているということですが,これまでの経緯について,事業者の動きと市としての対応状況がわかるように御説明いただけますでしょうか。
2点目,市の役割についてです。
産業廃棄物に関係することを取り扱うのは広島県の担当ということにはなりますが,市としては市民の生活環境を守っていくという立場,生活に欠かせない水を供給するための取水源である沼田川の水を守るという立場があると思います。この点についてお考えをお聞きしたいと思います。
また,その立場を踏まえて,産業廃棄物の処理場建設についてどのような役割があるとお考えでしょうか,お尋ねします。
また,広島県の産業廃棄物処理施設の設置に係る地元調整に関する要綱というのがありますが,こちらでは関係市町が地元調整に関する事務に協力することとなっています。この調整に関する事務についてお伺いします。
私としては,この事務というのが単なる取り次ぎのようなものであっては困ると思っています。事業者と地域住民とか良好なコミュニケーションがとれるような役割を果たしていただきたいのです。
住民と事業者の間には,知識や情報の大きな格差があります。地域の皆さんが心配されていること,不安に思われていることがきちんと事業者に伝わっているかどうか,事業者が地域の皆さんの心配に誠実に答えているかどうか,説明はわかりやすいか,地域の皆さんに御理解いただけているかどうか,橋渡し,コミュニケーションのサポートの役割をきちんと果たしていただきたいと思っています。この点についてどのようにお考えでしょうか,お伺いします。
<平岡雅男生活環境部長>
本郷町に新設予定の民間の最終処分場について,2点の御質問をいただきました。御質問1点目,これまでの経緯についてお答えをいたします。
本郷町への産業廃棄物最終処分場の設置計画につきましては,平成25年10月に広島県東部厚生環境事務所に民間事業者から事前協議書が提出をされました。設置計画地は本郷町南方で,竹原市に隣接する場所になります。計画地からの排水は,三原市側だけでなく竹原市側へも流出することから,広島県は平成25年12月に本郷町南方の日名内地区と尾原地区,また竹原市新庄町の一部をこの処分場の関係地域に指定をしております。この関係地域の指定については,処分場から流出する排水が100倍以上希釈されるまでの範囲が基本となります。
この地域指定後,しばらくは事業者に動きはありませんでしたが,平成27年6月に事業者が地元説明に入る意向を示したことから,地元町内会として反対の意思表示をされました。
平成27年12月に,県と市が地元に対し,法令や県の要綱の内容などについて説明をした後,平成28年3月に事業者による本郷地域関係者への事業説明会が開催され,地元から意見や質問が出されました。また,同年4月には,本郷町内会長連合会などから広島県に対し,施設建設絶対反対の異議申し立て書が提出をされております。
その後,地元協議や説明会での意見や質問に対する回答がないまま,ことし4月に設置許可申請書が県に提出をされました。県は,設置許可申請書を法令に基づき受理をしております。
次に,御質問2点目,市の役割についてお答えします。
廃棄物処理法では,処分場の設置許可に地元の同意が絶対条件とはされていませんが,広島県の産業廃棄物処理施設の設置に係る地元調整に関する要綱で,事業者に地元説明などを実施し,調整するよう指導をしています。
施設設置の許可権者は県でありますが,市は県から事前協議書の提出の情報提供があれば,関係地域の指定に係ること及び適正な土地利用及び健全な生活環境の保全を図る見地からの2点について意見を述べます。
また,このほかにも,市は地元調整に関する協力があります。事業説明会開催の調整や地元と事業者が施設設置に係る環境保全協定を締結する意思があれば,その内容などの調整を行います。
現在,設置許可申請については県で書類審査が行われており,内容が調えば,関係市町で1カ月間縦覧され,その申請書類の内容について市からも意見を述べます。その内容は,施設計画において,例えば排水処理施設計画の構造,性能など,生活環境保全上の内容についての意見となります。今後とも県と連携をして,地元調整に努めてまいります。
平成30年,ことし4月に設置許可申請が出されて,県のほうが受理を既にされているということです。新聞報道もされておりまして,面積としてはマツダスタジアム10個分の広さということが書かれていたり,安定型最終処分場であるということが書かれておりました。
安定型最終処分場については,廃棄物処理法の規定において,埋め立て後も安定している産業廃棄物,いわゆる安定5品目のみを埋め立てることとされているわけですが,実際には浸透水の異常やガスの発生など生活環境保全上の支障を生じる事例や,地域住民との紛争に至っている事例もあります。
そういったことから,環境省は平成20年,27年と実態把握調査を行っております。27年の調査では,回答があった24都道府県17市の41自治体において,77施設に対して行政指導や命令が行われているということが書かれております。自治体からは,安定型最終処分場の廃止や立地規制を求める意見も多く上げられているところです。
安定型最終処分場の設置許可に対して,建設などの差しとめを求めた民事裁判においては,建設差しとめが認められる判決を出されている例もあります。主な理由としては,法令や維持管理基準を遵守していても,安定型最終処分場に安定型産業廃棄物以外の有害物質が混入することが不可避であるということ,それから法令で有害物質や有害物質が安定型処分場に搬入しないよう規制されているものの,現実に有害物質の混入を防ぐには,排出事業者の分別,中間処理場の処理能力や最終処分場での検査能力に依拠せざるを得ないこと,それから予定地は水源地であり,安定型処分場の立地としては不適切であると言わざるを得ないというようなことが判決として書かれておりました。法的な基準を満たしていればオーケーというものではないということなんですね。
安定型最終処分場というのが,設置基準が低いので,つくりやすい,コストも安いということでつくられるわけなんですけれども,実際はその運用面で違反が起きてしまったりして,地域住民,地域にこういった被害が出ているということもあって,地域の皆さんはすごく心配をされておられるわけです。その不安の声をしっかり受けとめていただきたいと思っているんです。
先ほど市としての役割はというところで,県と連携して地元調整を図っていくというお答えでしたが,地域の皆さんの御心配の思いをしっかり受けとめていただきたいと思っております。その点をもう一度確認をさせていただきたいと思いますので,御答弁をよろしくお願いします。
<平岡雅男生活環境部長>
地域の皆さんの心配の声をしっかり受けとめていただきたいが,どうかといった質問だったと思います。許可権限者は県ということになりますけれども,そこに市としての関与は先ほど述べたとおりでございます。そして,この地元の方とのコミュニケーションをしっかりとるという役割が,市に課せられた責務であると考えており,市としても地元の方が事業者としっかりと協議をしていくという場を設定するようにという指導を行ってまいりまして,今回その地元と事業者との協議の場がされるというふうに伺っております。市としましても,地元の皆さんの心配の声をしっかりと受けとめて,今後も協議に参加をしてまいりたいというふうに考えております。
地元の皆さんの思いをしっかり受けとめていただくということで御答弁をいただきました。産廃の処分に関する大きな問題,事件と言っていいと思うんですが,というと香川県の豊島の問題が,これはレベルがもう物すごくひどいレベルなわけですけれども,これも最初の時点では,法に基づいた事業なら危険なはずがない,反対運動は事業者いじめで,住民の心は灰色だというようなことを県のほうで言われていたのが,県が絶対しないと約束していた不法投棄が始まったというのが発端としてあります。
じゃあ,業者は違反をするのではないかという前提とか先入観ということを申し上げているわけではありませんが,地域の皆さんの思いをしっかり受けとめて,誠実な対応をしていただきたいということをお願いして,この質問を終わります。