平成25年第5回定例会(12月)本会議で行った質問の議事録です。
地産地消を進めるにあたっての考えを問う
議長のお許しをいただきまして、通告しておりますとおり地産地消を進めるに当たってのお考えをお伺いしたいと思います。
今谷杉議員からバトンを渡されましたが、私、6月議会初めての一般質問も最後だったんですけれども、このたびもまた最後で、お疲れのところかとは存じますが、よろしくおつき合いください。
三原市議会本会議の議事録を検索してみたところ、この本会議場で最初に地産地消という言葉が聞かれたのは、平成17年6月本会議での前市長所信表明の中で農業振興について地産地消を進めていく旨を話されたのが最初のようです。その後、一般質問で平成17年には1回、平成19年に3回、20年に5回、21年、22年に4回ずつ、平成23年に6回、平成24年には4回、一般質問の中で取り上げられ、このたびの一般質問でも地産地消という言葉ではなくても多くの方が農業振興を進めたいという思いをお持ちである、重要であるという認識を持っております。また、農業振興ビジョンだけでなく、環境基本計画、観光戦略プランなどの中でも地産地消を進めていくことが位置づけられており、三原市において地産地消という方向性が定まってきているようです。
国の政策としても、農林水産業だけの生産額は約12兆円ですけれども、飲食店や飲食に関連する生産、加工、流通などを含めますと約94兆円ということで、この食料関連産業の生産額を視野に入れて、国内生産、調達を伸ばしていく方向で地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律、略称で六次産業化・地産地消法ですけれども、平成23年3月に施行、地方自治体に対しても地産地消促進計画の策定を求めており、平成25年度9月末時点で全国市町村の9%に当たる154市町村が既に策定済みで、本市もその一つとのことです。
地産地消を進めていく具体的な施策につきましては、また別の機会に譲りまして、今回は地産地消を進める上での考え方をお伺いしたいと思っております。
まず、地産地消という場合、多くは農産物、水産物を指すわけですが、地域での生産、消費、地域資源の活用という意味合いで捉えたとき、もっと幅広いものが対象になり得ると考えられますが、現在三原市としては地産地消の生産、消費の対象となるものを何であると捉えておられるのか、お伺いします。
次に、地産地消の生産、供給の資源となる自然環境についてお伺いします。
自然の恵みである食料を得ることは、生態系サービスの一つの側面ですが、地産地消の地産、つまり生産の現場である自然環境、生産の資源である生態系については、近年その劣化、崩壊が進んでいることが指摘されています。1950年から2000年までの50年間を振り返ったミレニアム生態系評価では、代表的な24種類の生態系サービスについて調査が行われ、その6割において劣化、また持続不可能な形で利用されていることがわかりました。自然の恵みである食料を得ることは、生態系サービスの一つの側面、供給サービスに当たりますが、そのほかにも私たちが生きていく上で欠かせない空気や水などの提供、昆虫や鳥などによる植物の受粉媒介などの調整サービス、そして佛通寺の紅葉をことしはライトアップもされ、多くの方が楽しまれたようですけれども、そういった癒やしをもたらす文化的サービス、またこれら3つの供給サービス、調整サービス、文化的サービスを支える土壌形成、土づくりや無機物から有機物をつくる光合成、化学合成などの基盤サービスがあり、これら生態系の働きを経済的な価値に換算すると、1年間で33兆ドル、世界のGDPの2倍に相当する額になるという研究結果が報告されています。
生産、供給に不可欠である水や大気、土壌、生物多様性などの自然は重要な資本であるという考えに基づき、昨年6月にブラジルで開催された国連持続可能な開発会議、地球サミット、(リオ+20)では、世界の金融機関209社から成る国連環境計画金融イニシアチブが自然資本宣言を発表しました。これは、金融機関が投資、融資する際の判断基準に自然資本を入れるというものです。自然を価値ある資本、ストックとみなし、そこから得られるきれいな水や大気、燃料などの恵みをフローとみなす考え方です。
地球規模の大きな話になりましたけれども、地球環境問題の解決に当たっては、シンク・グローバリー、アクト・ローカリーと言われるように、世界的な枠組みで取り組む一方、一人一人の暮らしや企業活動が大きく関係することから、1992年の地球サミットで作成されたアジェンダ21では、地方自治体においてもローカルアジェンダを策定することを推奨しています。
また、最近は気候変動の影響が顕著にあらわれるなど、私たちの生活への影響が出てきているところです。三原市では、みはらし環境塾という市民ワークショップを行い、平成20年3月に三原市環境基本計画を策定していますが、この三原市環境基本計画の実施の進捗及び今後の見通しはどうなっているか、お尋ねします。
最後に、エネルギーについてです。
地産地消を自然資本の活用として再生可能エネルギーに関する動きも広がっているところです。再生可能エネルギーのよさとしては、化石燃料と違いエネルギー資源が再生可能であること、二酸化炭素排出量が少ないことに加えて、地域資源の見直し、どこでも誰でも使えること、自給できること、小さな規模の取り組みができること、小規模分散で災害時に強いことなどがあります。三原市では、現在のところ住宅用の太陽光発電設備の設置補助、メガソーラーの誘致にとどまっておりますが、環境対策、経済対策、災害対策として、再生可能エネルギーを推進していくべきであると考えます。
また、再生可能エネルギーの本来の考え方としては、コミュニティパワー、つまり地域の人がオーナーシップを持って進める自然エネルギーであることが、ドイツやデンマークなどの再生可能エネルギー先進国で取り組みが進んだ背景にありますが、日本では残念ながら東京電力の原発事故を受けて電源を何に置きかえるかという視点が主軸になっているように見受けられます。世界的な議論を経て提議をされたコミュニティパワーの3原則は、地域の利害関係者がプロジェクトの大半もしくは全てを所有している。プロジェクトの意思決定はコミュニティに基礎を置く組織によって行われる。社会的、経済的便益の多数もしくは全ては地域に分配されるとされています。
また、地産地消の対象は何かということとも関連しますが、三原市内でも自宅にまきストーブを置かれる方がふえており、まきも自給が可能な立派な再生可能エネルギーであり、地域資源であり、まきストーブやペレットストーブの設置に対しても助成を行う自治体もあります。
コミュニティパワー、再生可能エネルギーの導入推進についてどう考えておられるか、お伺いします。
<梶原正道生活環境部長>
地産地消を進めるに当たって、3点の御質問をいただきました。
初めに、1点目、地産地消の生産、消費とは何が対象であると捉えているかについてお答えをいたします。
三原市環境基本計画では、地球環境での課題に対する個別施策として地産地消の推進を明記しており、地域経済の活性化、地域への愛着心の向上、地域の伝統的食文化の維持と継承、農産物などの輸送にかかわるエネルギーの削減や自然、生態系の保全に効果的であるとしております。
お尋ねの地産地消とは、地域で生産されるさまざまな生産物、主に農産物や水産物、木材などをその地域で利用、消費することですが、地域における再生可能エネルギーの活用も含まれているのではないかと考えております。
次に、御質問2点目、地産地消の生産、供給の資源となる自然環境について、三原市環境基本計画の実施進捗及び今後の見通しはについてお答えをいたします。
環境基本計画を策定するに当たり、アンケート調査やヒアリングを行うだけでなく、三原市内を三原地域A、B、本郷地域、久井地域、大和地域の5地域に分け、地域の環境特性を考慮し、将来の望ましい環境像の実現に向けた施策を企画提案するみはらし環境塾での取り組みを計画に反映しているところであります。
みはらし環境塾は、現在みはらし環境会議として実践的な環境保全活動に取り組んでおり、環境会議を構成する各地域会議でも、お店に三原産の野菜、米がもっと多く出回る、三原の魚をおいしく食べられるなど、地産地消につながる実践的な活動が行われております。
環境基本計画の進捗状況と今後の見通しでありますが、平成23年度では市の公共施設における二酸化炭素排出量削減目標の2.1%に対し13.7%の削減、また環境学習である水辺、海辺教室では、指標の14回に対し18回実施しております。そのほか、計画で定める重点項目については、平成26年2月開催予定の環境審議会において進捗状況の報告を行う予定としております。本計画は平成20年度から29年度までの10年間の計画となっており、残りの期間で重要項目の評価を行い、計画の見直しを含め、次期計画へつなげていきたいと考えております。
御質問3点目、コミュニティパワー、再生可能エネルギーの導入、推進についてどう考えるかについてお答えをいたします。
コミュニティパワーとは、議員御説明のように、地域の人々が中心となって自然エネルギーの導入を進めていく取り組みで、協同組合や地域参加型の市民出資による自然エネルギー事業の取り組みのことを指す言葉と理解しております。
地域の自然エネルギーの活用は、地球温暖化防止にとって重要な役割を果たすものと考えております。現在、市では住宅用太陽光発電システム設置補助制度を設けており、平成24年度では293件の補助を実施し、その設置出力は約1,400キロワット、平成25年度では現在まで197件の申請があり、設置出力約980キロワットの状況であります。また、公共施設への導入は西野浄水場を初め5カ所に太陽光発電を設置しております。
御指摘のとおり、再生可能エネルギーは太陽光発電だけではありませんが、大規模な風力発電、地熱発電などは地理的条件から導入の可能性は少ないと考えております。太陽光発電を含む再生可能エネルギーの本市への導入可能性については、他自治体の導入状況なども勘案しながら検討してまいりたいと考えております。
御答弁をいただきました。みはらし環境会議に入っておられる市民の皆さんの努力もあって、環境基本計画の実施、行われているということであります。
環境基本計画の見直しのほうがおくれているようでありますけれども、策定されたのが平成20年3月、それからその後の大きな変化としては、やはり皆さん環境の変化ということをすごく生活の中で感じておられるように聞きます。雨の降り方が変わったとか、セミの鳴く時期が変わったとか、ツバメや蛇など前に比べて見なくなった生き物がいるというようなことも聞きます。実際に、これは生物種絶滅のスピードがすごく速くなっております。公害問題が始まった1970年、1年間に絶滅する生物種というのが1年で1,000種だったんですけれども、その後2000年ごろの1年間で4万種、2010年では1年間で7万5,000種、45年で75倍生物種の絶滅が早まっているという数字が出ております。1日で200種、この地球上から消えていっている生物があるということなんですね。そういった環境の変化をきちんと捉えることが必要であると思います。
それから、大きな変化の一つとしては、やはり東日本大震災があります。ここから学ぶべき点というのは本当にたくさんあると思いますけれども、その中の一つとして、環境面では効率のよさと強さが比例する関係ではないということがあると思います。例えば、効率がよいと思われていた大規模発電が、事故でとまってしまうと大規模な影響を及ぼしたということがあります。一方で、小さな取り組みだけれども、これは岩手県いわて生協さんでされているのですが、てんぷら油などの廃油から燃料、BDFをつくっているということで、ガソリンなど燃料がない中、BDF車で被災地支援をされた。それで、東日本大震災被災地域貢献活動賞というのももらわれているという事例があります。
それから、自然エネルギーに取り組む有志が、つながり・ぬくもりプロジェクトというのを始めまして、ソーラーパネル自体は無事であるという場合、配線をつなぎ直して独立で使えるようにしたり、まきで沸かせるお風呂を設置したりというような活動も行っております。こういったこともあわせて考えていく必要があるのではないかと思います。そして、私たちが感覚的に捉えている自然の変化と、私たちの日々の暮らしがどう関係しているのか、環境の取り組みとして実際にどういう行動をとることがいいのかという点はまだまだそのつながりをもっと広く、深く知っていただいて、生活の行動の変化を促していく必要があるのではないかと思っております。
今後の環境基本計画の見直しという御答弁もいただきましたけれども、環境会議の市民の皆さんに支えられている環境基本計画であるとも感じております。こうした環境情勢の変化を踏まえた見直しをすること、それから市民の皆さんが頑張って活動しておられることがどう環境改善、未来へつながるものになっているのかということをお返ししていく必要があると思っておりますので、この点、2月に次の審議会があるということでしたけれども、次の見直しに向けてのきちんとした取り組みをお願いしたいということを再質問でしたいと思います。
<梶原正道生活環境部長>
環境基本計画の見直し等について再質問をいただきました。
環境基本計画につきましては、まさに議員仰せのとおりでございます。みはらし環境会議の皆さん方のお力添えをいただきながら実施をしてきているところでございます。あわせて、先ほどもありましたように、大きな環境変化等が伴ってきております。また、市の最上位計画であります長期総合計画で平成26年度に取り組んでいくということもございます。そういう意味も含めまして、環境基本計画もそれとの整合性を図りながら、26年度に見直しといいますか取り組んでまいりたいというふうに考えております。よろしくお願いをいたします。
ありがとうございます。長期総合計画の見直しとあわせて環境基本計画のほうも見直していっていただけるということで、ぜひ環境の変化に合わせて見直しも行っていただきたい、市民の皆さんにも広くお伝えをしていただきたいと思っております。
最後に、要望して終わりたいと思います。
広島県の事業として県内自治体チャレンジ事例集、住民サービス向上に向けた取り組みという冊子が発行されまして、三原市からは5つの事業が応募、掲載されております。その中の一つとして、先ほど御紹介いただきましたみはらし環境会議の事例も掲載されております。10月9日には広島市内でこのフォーラムが行われまして、64事例この中にありますけれども、その中で高く評価された5つの事例について会場でのプレゼンテーション、公表が行われました。
その一つが北広島町の生物多様性の保全に関する条例の計画づくりを地域でのワークショップを開きながら行った事例です。本市の環境基本計画をつくる際の環境塾と似ている取り組みなんですけれども、大きな違いは、まず主体者が多様であることです。審議会の構成は、教育委員会、企画課、町民課、産業課、建設課、そしてそれぞれの分野で活動する市民団体や地域住民によって構成されています。本市の地産地消については、学校給食に関して農林水産課と教育委員会と連携が行われていると伺っておりますが、観光、環境、保健福祉の分野でもそれぞれ計画の中に地産地消という言葉が盛り込まれております。関連しております。ぜひ一緒にしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。
ビジネスでよく引用されるアインシュタインの言葉なんですけれども、問題を引き起こしたのと同じマインドセット、考え方、思考回路ですね、同じ考え方ではその問題を解決することはできないと言われます。三原市も多くの問題がある中、地産地消で地域の活性化、地域内の経済循環をということは既に市としてお持ちなわけですけれども、これをしっかり部署を超えて、各計画にも今既に盛り込まれているわけですから、部署を超えての取り組みを進めていただきたい。この地産地消というものをたくさんの人が願い、実現を、と思っているわけですけれども、これをブレイクスルーして大きな展開にどうつなげていくか、新たな発想やマインドセットを変えていくということが今必要なんではないかと思っております。生産場面、それから流通、小売、消費や啓発など、どの部分でそれぞれ各課がどうかかわって力を合わせていけるのか、しっかり協議をしていただいて実行していただきたいと思っております。既にこれだけの課がそれぞれのメリットを持って地産地消ということが計画に盛り込まれているわけですから、これは大きなチャンスだと思っております。生かさないともったいないのではないかと思っております。
それから、北広島町の事例との違い2点目なんですけれども、審議会のメンバーとして教育委員会、企画課、町民課、産業課、建設課、それから市民団体、住民の方が入っておられることを申し上げましたが、この審議会のメンバーが地域や団体を訪問してのキャラバンワークショップを行っているという点があります。これは、みはらし環境塾の場合は、会員の皆さんが集まって、学んだり、話し合ったりという形だったわけですけれども、さらにそれを広げていく試みがされたと思っております。このことは、同時に生物多様性について町民の皆さんに広く知っていただくことにとどまらず、審議会の皆さんも各課、担当課としての視点だけでなく、生物多様性について理解が深まったように伺っております。
それから、特徴のもう一つ、これは生物多様性の考え方の特徴でもあるんですが、環境の保全だけではなく、利用していくという視点があります。例えば、ミツバチは自分のために花のみつを集めることで植物の受粉を媒介していたり、植物というのは自分の都合で紅葉していたりするわけですけれども、それがほかの人の役に立っているということがあります。こういったつながりを理解した上で活用していく、活用しながら保全するということがとても大切であると思っております。そのつながりを理解しないままに日本近海で今魚をとり過ぎているという状況も……。
<荒井静彦副議長>
安藤議員にお願いします。要望は簡素にお願いいたします。
わかりました。失礼いたしました。
タコも今三原のブランド化ということに力を入れておられるところではありますが、日本近海でまだ十分にいる魚種はわずか13%、46%が限界量に達しており、40%がとり過ぎというふうに言われております。しっかり環境を守っていくこととともに活用していくということをお願いしたいと思います。
最後にもう一点だけすみません。
きのうの仁ノ岡議員の御質問への答弁で、きれいな三原まちづくり条例の啓発でうちわを配布しましたということがありましたけれども、そのうちわに、「人もタコも住みやすい町 三原に!」というふうに書いております。本当に自然を守りながら活用していくということをしていただきたいと思っております。
長くなり失礼いたしました。それでは、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。