平成31年 第1回定例会一般質問 新たな地域経営方針と市民の自治力向上について

平成31年第1回定例会(3月)で行った質問の議事録です。

新たな地域経営方針と市民の自治力向上について

 2項目めは,新たな地域経営方針と市民の自治力向上についてです。
 市長施政方針で,三原に住み続けたいと思う取り組みとして,地域と行政が連携し,地域運営を行う地域経営方針を3月に策定し,今後はこの方針に基づいて取り組んでいくこと,まずモデル地区で地域ビジョンを策定すること,三原市ボランティア・市民活動サポートセンターの機能を拡充することが述べられました。杉谷議員もきのう質問されたテーマですが,この地域経営方針は,市民の自治権を拡大する大きな転換と思っておりますので,私もこの方針に基づく制度や今後の展開などについて質問したいと思います。
 まず1点目,新たな地域経営方針により,住民組織の活動がどのように変わるのかです。
 現在,まだ市民の意見公募,パブリックコメントが行われているところですが,新しい地域経営方針では,現行の活動に対する補助金をほかの支援制度などと一括化し,一定の基準のもと,住民組織において使途,使い道を決定できる交付金とあります。これは,大きな変更であると受けとめています。ですが,詳細まで記載されていないため,イメージしづらいものがあります。一括化される補助金や制度は,どのようなものになるのでしょうか。既存の全ての住民組織に対して,そのような形の交付になるのか,中核組織を形成し,さらに地域ビジョンを作成した場合にそのようになるのでしょうか。具体的な運用についてお示しください。
 地域経営方針では,町内会長さん方へのアンケート結果をもとに,中山間地域の中核組織の活動が活発になっていることを取り上げ,今年度地域ビジョンを作成するモデル地域を中山間地域の4つの地域にする予定となっています。アンケート結果から導かれた中山間地域の活発化の要因には,年額80万円掛ける5年間で400万円の補助や地域おこし協力隊,地域支援員の配置なども大きく影響していると考えます。中山間地域以外の組織に対しても,同様の財政支援,人的支援が行われていくことになるのでしょうか。地域経営方針の制度の中で,中山間地域がどのような位置づけになるのか,お示しください。
 2点目,個々の住民組織のあり方の見直しについてです。
 町内会について個人的に三原市民の方にアンケート調査を行いました。グーグルフォームを使ってインターネット上で任意に回答をいただいたものですので,調査資料として精度は低いのですが,72人の回答で30代,40代の回答が半分以上占めたこと,町内会に加入していない方からも回答があったことで,今までキャッチできていなかった声をいただけたのは,貴重な御意見をいただけたのではないかと思っています。これがグーグルフォームからそのままアウトプットしたものなので,時計の3時のところから始まっております回答者年代,30代が16.7%,40代が41.7%,50代が23.6%ということで回答をいただきました。回答いただいた方々の町内会への参加状況ですが,加入しているが総会や行事に参加していないという方9.7%,町内会に加入していないという11.1%の方からの回答もありました。結果の町内会の必要性についてなんですが,はっきり必要ないという回答をされた方は5%でした。ですけれども,自分には必要ないが,必要な人もいると思うという方が9%,どちらとも言えないという方も8%ということでした。おおむねの方が,ほとんどの方が,町内会はやはり必要であるという御意見をいただいているものと思いますが,しかしながら自由記述欄では,見直しや改善について多くの御意見もいただきました。それぞれの地域事情や課題が異なりますので,見直すとしてもそれぞれの町内会で行うしかないと思っておりますが,行政としては町内会の組織体制や活動内容などを見直す手法を学ぶ機会を提供する必要があるのではないでしょうか。受け身で話を聞くような講演会形式ではなく,演習つきの連続講座のような形で,実践的に生かせる学びの機会が必要と考えています。
 3点目,ボランティア・市民活動サポートセンターの機能強化についてです。
 今申し上げたような実践的な場,機会を誰がどのようにつくっていくかということに関して,私はボランティア・市民活動サポートセンターで担っていただけるのがよいと考えております。もちろんそれだけということではないと思っております。市長の施政方針でも,ボランティア・市民活動サポートセンターの機能強化ということをおっしゃっておりました。新年度予算として具体的にどのように強化を図られるのでしょうか,お伺いします。
 4点目,住民組織と市の関係課との協働についてです。
 1点目の質問の補助金や制度が一括化されるということとも関係するのですが,地域での取り組みに当たって,それぞれの担当課,関係課との協働がうまくいくのだろうかという心配もしております。地域企画課が窓口となって関係課へつないでいくような形を想定されているのでしょうか,お伺いします。
 5点目,自治意識の醸成とネットワーク構築を図るため,活動の見える化を進めることについてです。
 先ほど申し上げた町内会アンケートで,町内会のプラス要素として,困ったときに助け合えることというのを上げる方が多くいらっしゃいました。加えて,人口減少の状況下で町内会の役割がより重要になる,過疎地域,高齢者にとって町内会が必要であるなどのコメントも寄せられました。人口密度の低下,高齢化率の上昇において,本市平均よりも先を行く中山間地域で,お互いにお互いを助け合うことができる環境を維持していく取り組みを中山間地域活性化計画に基づいて頑張ってこられています。そういった取り組みを市内のほかの地域でも学ばせていただく機会をつくる必要があると考えております。小規模多機能自治という地域運営の先進的な地域ですが,雲南市だけではないんですが,雲南市などで行われている通称自慢大会というのがあります。地域自主組織の取り組み発表会です。そういった機会を設けることが,みずから頑張る,頑張り続けるということを促す仕組みの一つになっておりまして,それをぜひ三原でもそういった機会をつくっていく必要があるのではないでしょうか,お伺いします。
 また,住民組織が地域課題をビジネスセンスを取り入れて解決していくコミュニティビジネスの取り組み,一方で企業が地域課題解決をビジネスチャンスと捉えて参入する例などもあります。住民組織が抱える課題がオープンに見える状態になっていくことが,新たなイノベーションにつながる可能性もあると思っております。リアルに一堂に会する場を設けることやウエブ上で情報共有ができる仕組みが必要と考えていますが,いかがでしょうか,お伺いします。

<山口秀充経営企画部長>

 
 御質問いただきました新たな地域経営方針と市民の自治力向上について,まず1点目,新たな地域経営方針により,住民組織の活動がどのように変わるのかについてお答えいたします。
 地域経営方針は,中長期的な視点で,住民組織を支援していくための方向性を示すもので,住民組織が主体的に地域の課題解決等について話し合い,方向性を定めるビジョンづくりの支援などを通じて,地域の維持と活性化を図るものであります。今後の進め方につきましては,次年度からまずモデル地区を設定し,ビジョンづくりの支援を行う中で新たな制度を確立するとともに,その後,ビジョンを策定した地区を対象に,既存の住民組織活動補助金と他の支援制度とを一括化し,交付金として支援を行う予定であります。地域経営方針の取り組みは,これまでの中山間地域における実績等を踏まえて,市域全体を対象に進めていくものであります。市域全体につきましては,順次住民組織の意向を踏まえながら,地域ビジョン策定の支援を行い,新たな制度を展開してまいりたいと考えております。
 次に,2点目,個々の住民組織のあり方の見直しについてにお答えいたします。
 昨年,市において実施した住民組織へのアンケート調査から,今後の自治会,町内会のあり方につきましては現在の体制の維持を求める割合が最も高い一方で,さまざまな意見がある状況であると認識をしております。このため,今後の住民組織のあり方につきましては,現在の体制の維持を基本としながら,各地域や組織の実情に応じて,地域住民や住民組織が主体となって話し合えるよう,地域ビジョンの策定支援や講座の開催を行い,地域活動について考えるきっかけづくりとなるよう努めてまいります。
 次に,3点目,ボランティア・市民活動サポートセンターの機能強化についてお答えいたします。
 現在,市民や団体など多様な主体のコーディネートのため,三原市ボランティア・市民活動サポートセンターを設置しております。サポートセンターでは,これまで主にボランティアの養成や派遣調整,市民活動団体への支援等に取り組んできましたが,今後地域経営方針に基づき,住民組織に対する支援を行っていく上では,センターの機能拡充が必要であると考えております。このため,新年度から住民組織のサポートができるよう,相談対応やアドバイスができる体制を整備し,地域ビジョンの策定支援や講座の開催につきましてもサポートセンターとの連携により進めてまいりたいと考えております。
 次に,4点目,住民組織と市関係課の協働についてにお答えいたします。
 地域経営方針による取り組みを進めていく上では,協働のまちづくりの担い手である住民組織との連携協働が重要であると考えております。このため,地域企画課及び支所が中心となり,各部との連携を図るとともに,市民協働推進本部のもと,市が担うべき施策については,住民組織と協働を深め,着実な推進を図るとともに,地域での取り組みに対しては,住民組織と各所管課が協働しながら進めてまいりたいと考えております。
 次に,5点目,自治意識の醸成とネットワーク構築を図るため,活動の見える化を進めることについてにお答えいたします。
 地域における課題が多様化,複雑化している状況において,自治意識の醸成とネットワークの構築を進めていくためには,地域活動に対する住民の理解や参加意識の醸成などが必要であります。今後,ボランティア・市民活動サポートセンターと連携して,地域ビジョンの策定支援や講座の開催などを行うことで,活動の見える化を図り,さまざまな主体が地域活動に関心を持ち,積極的な参加を促進するよう進めてまいりたいと考えております。
 また,現在,中山間地域を対象として,中山間地域活性化連絡会議を年2回開催しており,地域活動の発表や他市の先進事例に学ぶ研修などを行っておりますが,対象範囲を市域全体に拡充することにより,より多くの住民が地域の取り組みを互いに知る,学ぶ機会も提供できると考えております。

 詳細がわからずイメージしづらいと申し上げたんですが,まだまだ決まっていなくて,動きながら考えて対応していくことも多いように感じております。
 何点かさらに伺いたいと思います。
 補助制度や補助金の一括化については,地域ビジョンを策定した地域に対してそのように変更されるということです。地域ビジョンをどういった枠組みでつくっていくのかについては,地域の意向を踏まえて決めていくということでよろしいのでしょうか。
 それから,町内会組織の見直しについてです。
 地域ビジョンをつくるプロセスがまさに組織,地域の見直し作業を含む内容であるように受けとめました。それは,大変よいと思います。私としては,町内会組織の見直しは,全ての町内会組織に必要なことだと思います。地域ビジョン策定に手を挙げるか挙げないかを問わず,地域活動について考えるきっかけをつくっていただきたいと思っております。先ほど申し上げた町内会アンケート,負担を上げる方がとても多くいらっしゃいました。必要ではあるけれども,負担です。役員のなり手がいないというような声,大変多く出ています。そういった負担を減らしていく町内会の活動や組織の見直しというのも本当に重要だと思いますので,地域ビジョンをつくる,つくらないではなく,そういう町内会,地域活動について考えるきっかけをつくっていただきたいと思っておりますが,いかがでしょうか。
 それから,ボランティア・市民活動サポートセンターで地域活動支援も対象にしていただきたいということはずっと申し上げてきて,なかなか拡充いただけなかったことなんです。それが,今回,地域活動支援も対象として機能強化を図られるということで,大変ありがたいと思っております。そのボランティア・市民活動サポートセンター,運営いただいている社協さんに頑張っていただかなくてはいけないことですので,市としても連絡調整など協力体制をしっかり整えていただきたいと思います。その上でですが,ボランティア・市民活動サポートセンターが今まで支援してきたテーマ型の市民活動とある意味しがらみというか逃れがたい地域活動というのは,性質が全く異なるものがあります。住民組織への相談対応やアドバイスができる体制を整備されるということなんですが,これまで守備範囲としていなかった住民組織に対する支援ということで,ボランティア・市民活動サポートセンターのスキルアップが図られるのでしょうか,お尋ねします。

<山口秀充経営企画部長>

 
 新たな地域経営方針と市民の自治力向上について再質問をいただきました。
 御質問1点目の地域ビジョンの枠組み及び地域活動について考えるきっかけづくりについてお答えいたします。
 地域経営方針におきましては,地域住民が地域に関心を持つきっかけづくりや主体的な活動につながるよう,まずは活動中核組織の組織づくりと活動の活性化の支援を行うこととしております。地域ビジョンにつきましては,地域の意向を踏まえ,この活動中核組織の枠組みにおいて,策定の支援をしてまいります。
 また,地域活動について考えるきっかけづくりにつきましては,ボランティア・市民サポートセンター等と連携し,地域ビジョン策定の有無にかかわらず,より多くの市民が参加できるよう,講座の開催などにより対応してまいりたいと考えております。
 次に,御質問2点目のボランティア・市民活動サポートセンターの体制整備についてお答えいたします。
 現在,サポートセンターは,三原市社会福祉協議会に業務委託し運営しております。社会福祉協議会は,高齢者の生活支援体制づくりなど福祉の観点から住民組織と密接な連携を図っております。こうした取り組み実績を踏まえ,社会福祉協議会は,地域ビジョンの策定など,住民組織に対して必要な支援を行えるものと考えており,地域経営の取り組みを進めるために引き続き十分な連携を図ってまいります。

 社協さんは,地域のほうで高齢者サロンなどの御支援もいただいているところで,本当に地に足のついたというか,いい形でサポートして住民組織をサポートしていただけるようになるといいなと思っております。その点での協力体制を市としてもぜひともよろしくお願いいたします。
 このたび策定しようとしている地域経営方針ですが,これは趣旨としては平成20年の住民組織活性化構想で示されていました。それがいよいよ実際に実現に向けて取りかかるという段階に入ったわけです。地域のことを地域で決めるようにするということは,地域の自治権を拡大することで,非常に重要なことだと思います。私としては,市政運営に当たって,住民参加,政策形成プロセスに市民が参加することが必要であるとずっと言い続けてまいりました。そのために具体的に必要なこととして,情報を共有する仕組み,年代,性別など属性のバランス,対話,これらが重要だと思い,市に対しても求め続けてきたことですが,これらは地域組織の運営にも当てはまると思います。先ほど申し上げた雲南市地域運営組織を10年間やってきたその見直しの中で,やはりこれらを課題として上げておられます。地域活動について考える,見詰め直す機会や地域ビジョンづくりを通して,これらが担保されるよう取り組んでいただきたいと思います。
 そして最後に,市長にお伺いいたします。
 杉谷議員から地域経営方針を実現するには,地域も市も大きなエネルギーが必要だとおっしゃいました。私もそう思います。そして,私は,エネルギーに加えて,覚悟が必要であると,市民ととことん向き合う覚悟が必要だと思っています。それが,市民自治です。市長を本部長として覚悟を持ってしっかり進めていかれるのかということを最後にお伺いします。

<天満祥典市長>

 
 再々質問をいただきました。
 地域経営方針の取り組みは,住民がみずからの地域や地域活動について考えるきっかけとなり,また住民による主体的な取り組みが促進され,これにより地域における自治が拡大していくものと考えております。持続可能なまちをつくるためには,中長期的な視点を持ち,住民と行政が連携して地域を運営するための施策,事業を進めていくことが必要であると考えております。私も市民協働推進本部の本部長として,住民との対話を大切にし,合意形成を図りながら住み続けたいまち三原の実現に向け積極的に取り組んでまいります。
 また,大和町の例をとりますと,大和町の篠,そして津久,莇原というところに私は行きました。そうしますと,地域のほうに地域協力隊員のKさんという方がいらっしゃったときでございますが,盆踊りがないんだということで,盆踊りを復活されました。そして,盆には帰省客が来られて,住民の倍になりました。そういった大きな活動も一つの大きな地域の盛り上がりでございます。地域支援員,地域協力隊員を通して,そういったところもでき,そしてまた,久井町の莇原にも行きまして,そして盆踊りを復活しようということもできております。そしてまた,大和町におきましては,4月には花火大会もあります。これもやはり地域の方の盛り上げでございます。そして,地域の方が盛り上がっていただければ,我々はそれについての支援なり,そしてまた予算の投入なり,財源を投入もしていきたいと思います。こういったきょうそれぞれお答えをした中に,それぞれこれから取り組んでいくということは,今部長のほうからも答弁がありましたように,積極的に支援をしていくということでございます。どうぞこれから皆さんと一緒になりまして,三原市の活性化,そしてこういった地域の経営力の向上に努めてまいりますので,どうかよろしくお願いをいたします。

 市長からも積極的な支援をということで力強くおっしゃっていただきました。その中で,住民による主体性ということもおっしゃっていただいて,これが本当に大事なことだと思っています。地域経営方針,すごくいいことですが,これが行政からの押しつけになってしまっては本当に形が違うものになってしまいます。地域の住民の主体性を大事にしていただくということをしっかりお願いしたいと思います。この市民協働というのは,私も常々言ってきたことなんですけれども,長期総合計画で一番最後に計画の実現に向けてというところに位置づけられているんです。行政でやったらすごくお金がかかることが,地域で助け合いや共助でやっていくことで,財政的にも市としてメリットもある,それから地域の主体性によって地域が元気になることが,行政の元気にもつながっていくということで,非常に大事なことだと思います。そのために自治意識の醸成,そのために市長,市役所としても覚悟を持って取り組んでいただきますようにお願いをして,私の質問を終わります。