平成29年第5回定例会(12月)本会議で行った反対討論の議事録です。
議第128号 三原市立図書館設置及び管理条例の一部改正について
私は、議第128号三原市立図書館設置及び管理条例の一部改正について、反対の立場で討論いたします。
条例改正によって図書館の管理運営業務を民間の指定管理者に任せることを可能にするものですが、指定管理制度を導入するべきではないと考えます。
質疑の中で、指定管理制度導入によるメリットとして、サービス向上、柔軟性、弾力性のある運営、専門知識を生かした運営やレファレンス機能の充実などが挙げられました。しかし、これらの問題は、直営であっても対応ができる問題です。現状の本市図書館における問題は、図書館の維持管理運営費が年々減らされてきたこと、専任職員の数や職員のうちの司書の人数が同規模の自治体に比べて半分以下にとどまっていることなどに本質的な問題があるのであり、指定管理制度を導入すれば解決するというものではありません。また、同じく質疑の中で、人件費、管理運営費の削減ということもメリットの一つとして挙げられました。
費用面について、平成27年3月に出された大津市立図書館における指定管理者制度についての答申から御紹介させていただきます。
大津市図書館協議会が、指定管理制度で運営する図書館、指定管理制度を導入し、直営に戻した図書館の視察をされた上で、課題整理をされたものです。指定管理者制度導入によるリスク回避の苦労、公共図書館が蓄積してきた図書館運営の本来的なノウハウを継続することに苦心するといったさまざまな難点が見られ、その結果、そこに新たな諸コストや人件費がかかっていることもあり、非効率的かつ職員や自治体の行政能力を高めるための力が弱くなり、市民の要求や地域のニーズから乖離した図書館に変貌するなど、指定管理者制度を導入することでのさまざまな危惧が予想されたとされています。大津市立図書館では、指定管理制度は導入されておりません。
また、下関市立中央図書館の例も御紹介いたします。
書籍流通系の企業が指定管理を行っていましたが、平成27年度に自治体直営に再移行されました。導入以来、開館時間の延長、開館日数の増加が図られるとともに、利用者数や貸出冊数が増加した点は、中心市街地に立地する好条件とも相まって、図書館サービスの向上が図られたメリットとして評価されるものの、公立図書館は市民の生涯学習と文化の発展に寄与するために設置される公の施設であり、地域文化を支える知の宝庫として市民とともに育つ社会教育施設であることから、地方自治体の主体的な運営への取り組みが望まれる。これまでの指定管理者制度導入の実績を踏まえ、ガイドラインに基づく導入適否判断基準や図書館運営協議会の意見を参考に総合的に検討した結果、27年度以降、中央図書館の運営は直営に戻すこととするというものです。
日本図書館協会の調査では、2015年度までに図書館に指定管理者制度を導入した市区町村の数は207で、1割強の市区町村において導入されています。総務省は、公共施設の管理運営の効率化などを目的に、トップランナー方式による経費算定を進めておりますが、図書館はその対象施設となっていません。地方自治のとりで、民主主義のとりでとも言われる公共図書館です。社会教育施設として生涯学習を支え、その市民の皆さんのニーズに応えるだけではなく、目指すべきものに向けて引き上げていくということが求められるのが公共図書館です。
全国的な議会改革の流れにおいても、議会としての政策チェック、政策提案の機能を高めていくために、議会図書室のあり方とともに議会図書室と公立図書館との連携が注目されているところであり、本市市立図書館への指定管理制度は導入するべきではないと考えます。議員の皆様方に賢明な御判断をお願いし、以上をもって反対討論といたします。