平成27年 第1回定例会一般質問 今後の行財政運営について

H27年3月議会

平成27年第1回定例会(3月)本会議で行った質問の議事録です。

今後の行財政運営について

 議長のお許しをいただきましたので,通告しております今後の行財政運営について質問をさせていただきます。

 合併してちょうど10年となり、合併後に策定された三原市長期総合計画がこの春から新たな計画へと引き継がれようとしているところです。行財政運営については平成26年度決算がまだですので見込みにはなりますが、この議会の予算説明から長期総合計画で掲げられた達成度をはかる指標がおおむね達成される見通しであると受けとめています。

 この10年の間に予測していなかった学校の耐震工事の必要に迫られるなど、不測の大規模事業も行いながら,合併当時平成16年度末668億円あった地方債残高を約1割削減され、財政調整基金は平成26年度末の目標額であった26億円の約2倍になる見込みであるなど、財政運営に工夫を重ね,努力してこられたものと受けとめています。しかしながら、これからの10年はより一層厳しい財政運営となることが予測されています。まず、午前中の質問の中でもありましたが、国からの地方交付税の合併特例期間が終わり減額されることです。

 (現物を示す)こちらにグラフをつくっております。もう既によく御存じで,私以上に把握をしておられることですけれども、一番上の折れ線グラフが地方税、2番目の折れ線グラフが地方交付税、地方税の減少を補うようにこれまで地方交付税が伸びてきておりましたが、これからは支所の数であったり、人口減少率なども措置の対象になるようですけれども、総額で減少していく,若干の伸びということで見込まれております。そして、新市建設計画に盛り込まれている事業が合併特例債の期限を前に多く控えており、27年度普通会計の地方債の借入額が元金償還額を23.5億円と大幅に上回るのを初め、このプライマリーバランスの逆転が数年続く財政計画となっております。また、目的別歳出の推移を見ますと、この一番上の折れ線グラフが民生費ですけれども、民生費は合併以降、平成20年度を除いて毎年前年度比3%以上の伸び率となっており、平成17年度から平成25年度にかけては決算額で1.4倍となっています。高齢化率が高まることや子育て支援を手厚く進めていく方向であることなどから、民生費は今後も伸びていくものと考えます。このような状況を踏まえて,今後の将来負担をどう捉え、見通しを持っていくかという点は、午前中、正田議員の質問にありましたので、違う視点から質問させていただきます。

 市債の借入額が元金償還額を上回るプライマリーバランスの逆転や基金の取り崩しをせざるを得ないという状況において,市民の負託を受ける行政として、なぜこういう選択が必要なのか、事業を通じて市民生活がどうよくなっていくのか、今後の見通しはどうなのかといった説明責任がより一層重要になるものと考えます。財政については、三原市広報で定期的に掲載されています。例えば,毎年11月には三原市財政が健全な状態にあるかどうかということが指標となる5つの数値とともに報告されています。該当する年度の値と一緒に前年度の数値は記載されていますが、どういう傾向で推移しており、その理由は何か、また今後の見通しはどうなのかなどの情報は書かれていません。市広報などを通じてわかりやすく情報提供されるべきではないでしょうか、お伺いします。

 平成17年度の終わりには、行財政改善大綱も策定されました。1つ目に効果的、効率的な行政運営、2つ目に市民と行政の協働のまちづくり、3つ目に自立性の高い持続可能な財政運営という基本方針のもと取り組んでこられました。市役所内のコスト意識向上にも取り組んでこられたように聞いておりますが、その結果はいかがでしょうか。また、現在の大綱の期間が26年度末までとなっており、27年度からの行財政改善大綱の策定に向けて集約をされているところと思います。大綱全般にわたっての達成状況と積み残しの課題についても御説明ください。

 また、コスト削減については、公共物を大切に使うなど、市民の皆様の御協力が必要となる部分もあります。行政サービスを受けるための費用が年間1人35万円という数字が出されており、三原市広報でも載っておりますが、例えば一人一人がごみを出す量を減らすことによって最終処分場を長く使うことができ、費用総額を抑えることができるなど、行政コストの削減を意識できるような情報を市民の皆さんに対してわかりやすく出していただくことはできないでしょうか。行政サービスの受け手であると同時に、担い手でもあるという意識を持っていただくために必要なことではないかと思います。

 今後の行財政運営の中で公共施設全体のあり方の見直し(公共施設マネジメント計画の策定)という課題も示されています。公共施設の総量削減という方向も出されていますが、公共施設の見直しが必要であることをわかりやすく御説明ください。

 また、現在の公共施設を全て維持管理していく場合、メンテナンスや更新に必要となる費用と投資が可能な財源,金額も教えてください。

 既に平成26年度から公共施設マネジメント計画の策定費用が予算化されていますが、現在の状況及び計画内容について市民,議会に対していつ示されるのか、意見をどう取り入れていくのかなど、今後の予定についてもお伺いします。

<末久昭人財務部長>

 御質問いただきました今後の行財政運営についてのうち、将来負担について及びコスト意識の向上についての2点についてお答えいたします。

 まず、将来負担について、財政指標の推移や見通し及びその理由などについて広報等を通じてわかりやすく情報提供すべきではないかということについてでございますが、現在市の財政状況につきましては、市広報及びホームページにおいて新地方公会計制度に基づく4つの財務書類,財政健全化法に基づく5つの財政指標、予算、決算等を公表しております。また,新庁舎建設や国民健康保険制度等、住民負担に関する情報についてはその都度財政的な数値も含めて情報提供しているところでございます。

 財政指標の将来見通しにつきましては、毎年、以後10年間の財政計画を策定しており、その中で総括的な分析も含め,経常収支比率や実質公債費比率などの主要な財政指標や地方債現在高、基金現在高なども記載しておりますので、これからはホームページでも公表したいと考えております。

 今後も、財政情報を公表する際には,基準となる数値、その値に対して市の数値がどれくらいとなっているかなど、他市の状況も参考としながら市民の皆様にわかりやすく公表し、説明責任を果たせるように努めてまいります。

 次に、コスト意識の向上についてであります。現行の行財政改善大綱におきましては、基本方針の一つに、効果的、効率的な行政運営を掲げており、職員の意識改革と職場の活性化の視点から業務改善運動や職員研修などに取り組み、職員のコスト意識の向上に努めてまいりました。

 業務改善運動は、職員の行政運営への参加意欲や行政能率の向上を目的として、事務能率の向上のほか、経費の節減や収入の増加につながる改善に日常の業務の中で取り組むもので、職員の経費節減の意識向上に効果があったと考えております。こうした取り組みの効果を具体的に数値でお示しすることは難しい面がございますが、コスト削減の一例といたしましては、入札による庁舎の電気料の削減がございます。本庁舎、円一町庁舎、3支所において平成26年4月から電力入札を行い、平成27年1月現在で前年と比較しますと累計で約178万円の削減となっております。このようにさまざまな手法を活用して行財政改革に取り組むことが必要ですが、そのためには職員一人一人が高い意識を持つことが重要であると考えております。

 また、現行の大綱におきましては交通事業の民間移譲や第三セクターの解消、職員の定員数の適正管理などの点で改善を進めた一方で、スクラップ・アンド・ビルドの徹底、保有資産の売却などの点で改善がおくれていると総括しております。こうした状況を踏まえ、現在策定中の新たな行財政改革大綱では,事務事業の廃止と重点化を実現するシステムの構築に重点を置くとともに、公共施設等の維持管理経費が将来の財政圧迫の要因として懸念されるため、公共施設等のマネジメントによる質と量の適正化の視点を新たに加えるなど、本市の現状や新たな課題に対応するものにいたします。

 次に、市民の皆様のコスト削減意識が向上できるような情報の提供についてでございますが、実現のためには行政コストのどの部分の削減を行うか目標を設定し、その削減を行うために市民の皆様に御協力をいただく目標数値を定めることも必要であると考えております。市民1人当たりの行政サービスにかかる費用を算出し、その金額を示すだけでなく、他都市などと比較してその単価が安いのか高いのか、あるいは幾らが適正かを示すことによって、住民一人一人が協力しなければという意識づけにつながっていくものと考えております。しかしながら、行政コストの適正価格の算出や削減目標の設定等につきましては、さまざまな算定方法があります。そのため、平成29年度までに全国全ての地方自治体が導入する統一的な基準による地方公会計制度や他市の実施状況等を研究しながら算定方法やわかりやすい情報提供のあり方などを検討していきたいと考えております。

<窪田弘武総務企画部長>

3点目の公共施設のあり方の見直し(公共施設マネジメント計画の策定)についてにお答えいたします。

 公共施設マネジメントは、保有する公共施設等に関する現状と課題を調査、分析し、床面積の総量縮減や長寿命化など保有する公共施設を最適に維持管理し、有効活用を図ることで適切なサービスの提供と安定した財政運営を両立させるための取り組みでございます。

 本市において公共施設マネジメントが必要な理由でございますが、平成25年度に実施いたしました簡易的な調査では,過去10年間の公共施設建設費の平均が年約15億円であるのに対し、今後50年間では高度成長期に整備された多くの公共施設が一斉に改修,更新時期を迎えることから、年平均約26億円の建設費が必要になると試算しております。

 今後、人口減少や少子高齢化の進行により市民に必要な施設サービスの質と量が変化するものと推測され、また高齢化等による扶助費の増加や生産年齢人口の減少等により大幅な歳入増は見込めない財政状況を踏まえますと、公共施設の改修や維持管理、更新など将来に向けての財政負担は大きな課題であると認識しております。

 このようなことから、これらの課題に対応し、今後引き続き良質な公共サービスを持続的に提供するため、公共施設等総合管理計画の策定に今年度から着手しているところでございます。現在は、公共施設の規模や履歴、利用状況などの詳細な調査を実施しております。来年度は、その調査結果を踏まえて公共施設全体の課題を整理した上で計画を策定する予定でございます。

 なお、全体的な基本方針案などを整理した段階で、議会に対して策定状況について御説明したいと考えております。また、市民に対しましては公共施設の見直しの必要性が理解されるよう、情報提供をした上で、市民アンケートを実施し、把握する予定としております。議会や市民からいただいた御意見につきましても、その後の計画策定に反映させてまいります。

 御答弁をいただきました。財政について説明責任を果たすことについては、今後財政計画もホームページで公開されるなど、前向きな御答弁をいただいたと思っております。

 住みよさランキングというのが東洋経済から出されておりますけれども、全国の813市区を調査した中で三原市は総合ランキングでは457位、財政健全度で見ると646位ということになっております。三原市は公債費の交付税算入率が高くて、とても巧みに財源を持ってこられてやっておられるというふうに理解しているんですけれども、現在のキャッシュフローで見ると、午前中の正田議員の質問への御答弁の中で、経常収支比率が平成31年には下がりますということでしたけれども、全体では経常収支比率は下がりますが、平成31年度公債費の経常収支比率は28.4%と高くなっております。現在のキャッシュフローを見ていくということもとても重要だと思っておりまして、そのあたりはまた予算委員会のほうでも引き続き質問させていただきたいと思っております。

 その住みよさランキング、財政の指標の中ではそういった地方債への依存度なども入っておりますので、そういったところを予算委員会のほうで質問をさせていただきたいと思っております。

 説明責任のほうでは、情報をオープンにしていただく、削減目標に向けてそれについてのコスト情報を出していただけるということでありました。他市の事例ですけれども、ニセコ町の予算資料、これが観光協会が販売している、売れる予算資料ということで出ているんですけれども、この中では各施設の維持費に幾らかかっているかという情報であったり、委託費として幾らかかっているかという情報であったり、ごみ処理費は1世帯当たりで幾らかかっているのかというような情報もわかりやすく載っておりますので、いろんな事例を調べていらっしゃることと思いますが、ぜひこういったものも御参考いただけたらと思っております。

 行財政改善については、今の課題を整理した御答弁をいただきました。なかなかコスト削減,成果は図りにくいということはあるのですけれども、モチベーションアップに向けてはどういうところに着眼すればいいのか、そういった着眼や視点の共有をすることであったり,成果を見える化していくという評価が必要ではないかと思いますが、その点について今後どういうふうに取り組まれるか,お伺いします。

 それから、公共施設マネジメントについてですけれども、市民アンケートを行われるということでした。その市民アンケートはどのような形で行われるのでしょうか。アンケート、普通5,000から6,000ぐらいを出されているのが、今三原市でアンケートを行われている通常の数ではないかと思うのですけれども,この課題をより多くの方に知っていただく、一緒に考えていただくということが、まず公共施設マネジメントを考えていく第1段階、スタートとして大切ではないかと思っておりますので、このアンケートをどういう形で行われるのかということをお伺いします。

 それから、総合計画の後、具体的に個別施設の見直しをすることになると思うのですけれども、公共施設はそれぞれ市民サービスの拠点としてさまざまな事業を行っておりまして、市民活動の場としても利用されています。個別施設の見直しに当たってはどのようなサービス、機能が必要とされているのか十分に把握することが必要だと思いますけれども、各施設を単なる箱として見るのではなく、サービス、機能として捉えることを考えておられるかどうかということをお伺いします。

 それから、個別施設の見直しに当たってなんですけれども、市民には3つの立場があると考えております。それは、利用者、受益者、公共施設を利用する立場、これが一番わかりやすいと思いますけれども、一方では納税者として市民一人一人が施設の所有者であるという立場もあると思います。それから,市民協働として施設で事業を行うなど、事業者という立場もあると思います。こういった3つの立場からともに考える場が必要と思っておりますけれども、そういう場を持っていかれるかどうかという点もお伺いします。よろしくお願いします。

<窪田弘武総務企画部長>

 ただいまコスト意識の向上について及び公共施設のあり方の見直しについて再質問いただきました。

 まず、コスト意識の向上についてでございますが、コスト削減のモチベーションに向け着眼、視点の共有化や成果の見える化の評価の必要性についてという内容でございました。お答えいたします。

 新たな行財政改革大綱では、その実施と進行管理のために行財政改革実施計画を設け、具体的な取り組み項目を設定することとしております。これらの取り組み項目には、これから実施に向けて検討するものもあれば、効果を数値化することが適さないものもございます。しかしながら、コスト削減の数値化は市民の皆さんに削減効果をわかりやすくお示しするということのみならず、効果額を明確にすることで削減に対する職員の意欲の向上につながることから、行財政改善懇談会の提言の趣旨も踏まえ、可能な限り数値目標や効果額を掲げたものにしたいと考えております。

 次に、公共施設のあり方の見直しでございます。3点御質問いただきました。

 まず、1点目の市民アンケートをどのような形で行うかという御質問でございます。市の広報等を活用した実施方法をただいま検討しております。詳細な方法は今後検討いたしますが、現在調査中の各施設のデータをまとめ,経過年数別、床面積等の全国平均との比較など,本市の公共施設全体の現状や課題をわかりやすく説明したいと考えております。これにより公共施設マネジメントを御理解いただいた上で、市民がよく利用する公共施設の種類や将来にわたって必要と思われる公共施設などの市民ニーズの把握とともに、総量圧縮や市民負担などの公共施設見直しの全体的な考え方などについてアンケート調査を実施したいと考えております。

 次に、公共施設の見直しに当たって各施設を箱として見るのではなく、サービス、機能として捉えることが考えられているのかという御質問でございますが、今後公共施設マネジメントを実施していく上でその施設がどのようなサービスを提供し、どれだけの利用があり、市民生活に役立っているかについて各施設のデータを分析、評価した上で,その施設のあり方を検討したいと考えております。

 最後に、個別施設の見直しに当たって、市民の利用者、納税者、事業者の3つの立場からともに考える場が必要ではという御質問についてでございます。総合管理計画を策定した後、平成28年度以降に同種の目的ごとに社会教育施設、子育て支援施設、公営住宅などの個別計画を策定し、再編や長寿命化等適切な公共施設等の管理に取り組んでまいりたいと考えております。これら個別計画の策定段階におきましては、御指摘いただきました利用者、納税者、事業者とともに考える場が必要であると考えており、今後実施方法など検討してまいります。

 御答弁をいただきました。公共施設見直しのための市民アンケートについてなんですけれども、判断していただけるような情報提供していくということはあったんですけれども、数については御答弁がなかったんですが、より広く、多くの方に届くような形でぜひ行っていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

 それから、サービスをどう維持していくかという点についてですけれども、公共施設マネジメント、総量削減という言葉がどうしても出ますので、なくす、なくなるというイメージを持たれるかと思うんですけれども、そうではなくて、人口構成も変わっていきますし、時代のニーズに合ったサービス、機能に変えていくという前向きな発想で行っていくことが必要ではないかと考えています。有効活用という言葉を使われていらっしゃるんですけれども、サービス機能を新たにつくりかえていく、つくり出していくという考えが必要だと思っております。それに当たっては、今施設の台帳というのか、状況を整理されているところだと思うんですけれども、建築年次や構造、改修履歴などハード面の情報だけでなくて、施設の設置目的、それから実施している事業の内容や事業の目標や成果がどうなのかということであったり、施設の各部屋の稼働率という部分はちょっとお答えにあったかと思うんですけれども、施設がどういう目的で使われていて、どういう機能が求められているのかというところを十分把握をしていただきたいと思っております。

 それから、効率化を図っていく中では、今施設はそれぞれ担当の所管が違う中で管理をされているんだと思うんですけれども、そういった施設の管理、運営体制や維持管理経費、財源更正なども一括管理していくことで効率を図っていけるところがあると思いますので、そういった情報もきちんと把握をしていっていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 個別施設の見直しに当たって、市民の3つの立場から考えられる場を持つことについては前向きに御検討いただけるということですので、ぜひお願いしたいと思います。

 公共施設マネジメント、公共施設の見直しについて総論の計画まではできるんだけれども、その計画をつくった後、なかなか進まないという状況もよく聞いております。合意形成の難しさがあると思います。その点は、高松市が公共施設仕分けというのを公開の場でされたりですとか、松阪市が市民討議会という形でされたりという事例がうまくいっているように聞いておりますので、そういったこともぜひ御研究いただいて、よりよい形で合意形成ができ,公共施設のあり方、新たな公共施設をつくって、機能をつくり出していけるようにお願いをして、質問を終わります。ありがとうございました。