令和元年 第4回定例会一般質問 行財政改革について

令和元年第4回定例会(9月)で行った質問の議事録です。

行財政改革について

 では,次の2項目めの質問に入ります。
 行財政改革についてです。
 先ほども申しましたように,この定例議会の一般質問でもさまざまな問題への対応策を求める要望がたくさん質問されました。どうやってその財源をひねり出すか,また起きている問題に対してどう効果的な手だてを打っていくか大きな課題ですが,私はそのための小さな提案をしたいと思います。
 天満市長の1期目の選挙の公約として天満八策を掲げられ,その8番目として事業仕分けを位置づけておられました。議会の一般質問で天満八策について質問があった際に,まちづくり戦略検討会議により事業仕分けの手法等を検討いただき,できるだけ早い時期に実施して,その目的である行財政改革に結びつけたいと御答弁されています。実際に平成26年から事業仕分け,呼び方は事業レビューとなりましたが,実施をされて,昨年は豪雨災害のために開催することができませんでしたが,ことしの7月に5年目の取り組みとなる事業レビューが行われました。最初の2年間は2班に分かれての実施でしたので,議論を見ることができない部分もありましたが,私はこれまでの全ての事業レビューを傍聴させていただいてきました。その都度,課題と思われることの指摘や改善の提案を本会議で行い,市民が判定者としてレビューに参加する仕組みは今も続けていただいています。天満市長が市長になられる前から三原市として行財政改革のために事業仕分けが必要だとの思いを持たれ,5年間実施してこられたわけですが,これまでの事業レビューをどのように評価されていますでしょうか。
 2点目は,事業レビューで活用している事業シートについて質問します。
 令和2年度予算に向けて,各課の予算要求が始まる時期だろうと思います。私の問題意識を少しお伝えさせていただきたいと思います。
 モニター画面をごらんください。
 水色の棒グラフが一般会計当初予算の金額です。赤色の折れ線グラフが当初予算での自主財源の比率です。ちょっと小さくて見えづらいかとは思うんですが,合併の平成17年度から推移をあらわしています。自主財源比率が下がってきていることは見てとれるかと思います。右側のほうに向かって下がっています。平成27年から連続して40%を割り込んでいます。三原市の身の丈に合った財政運営をしていかなくてはならないという思いを,私,持っております。自主財源比率の低下については,近年大型事業ラッシュで地方債の発行がふえたり,昨年の豪雨災害で国の補助がふえているなどの事情もありはしますが,持続可能な財政運営を考える上でやはり心配な点です。昨年平成30年度予算の総括質問では,枠配分方式で一定の上限を設けて,毎年3%から10%の圧縮を行うというような予算編成のやり方は限界ではないか。事業廃止の仕組みづくりを進めるべきではないかと質問させていただきました。今年度予算は災害対応もあり過去最大の予算額でしたが,来年度の予算はどうなるでしょうか。
 事業レビューにおいては,三原市が直面する課題に対していかに効果的な事業を効率よく行うか。そのための視点を養い,行財政改革に向けて職員皆さんの意識改革につながっているものと思っています。それをさらに推し進めていくために今回提案をさせていただきたいと思います。
 事業レビューで用いている事業シートを最大限活用して,施策,事業の目標管理と見直しを進めていくべきではないかという提案です。事業シートには事業の内容や事業を必要とする背景,何をもってその事業の効果を図るかという成果指標などがわかりやすくあらわされています。現在,この事業シートは事業レビューの対象となったものについてつくられていますが,レビュー対象ではない事業についても作成してはどうでしょうか。私自身,以前,事業シートの作成,模擬的に事業仕分けを体験する研修を受講したことがあるんですが,事業シートをつくるだけでもゼロベースで見直す視点や成果指標を明確にすることによる事業内容の見直しなど,有益であると感じています。また,せっかくつくった事業シートを事業レビュー以外の場面でも活用してはどうでしょうか。市役所内の会議や予算,決算などの資料として活用することで,より多くの人の目でチェックされることにより,施策,事業の目標管理や見直しにつながるものと思います。既に同様の取り組みをされている自治体の方々から資料の内容がわかりやすくなったことや統一,一本化したことで資料の作成が楽になった面があることなど聞いていますが,切りかえる大変さがあったことも伺っています。改善を目的として効率をよくするための取り組みがかえって負担が大きいということではなかなか受け入れがたいでしょうから,できるところからでも対応していってはどうかと考えますが,いかがでしょうか。

<藤井宏道経営企画部長>

 
 御質問いただきました行財政改革についてお答えいたします。
 まず,1点目の5年間実施した事業レビューの評価についてですが,大きく3点から評価しております。1つ目は,外部視点からの指摘により各事業の課題発見につながり,市民サービスの向上や見直し,経費削減につながっている点であります。各年度の事業レビュー終了後には,評価者からの指摘や意見,判定結果をもとに事務改善の方針を立て,全庁的に改善に向けた見直しに取り組んでおり,現時点における見直しの状況は指摘事項全体の約8割に及んでおります。
 一方で,指摘に基づき事務改善を検討いたしましたが,法令の基準や地域の実情などにより現行どおりの実施が好ましいと判断したものや検討段階でとどまっているものがあり,指摘された内容に対して何ができるのか,問題点は何かなど,継続してフォローアップすることで改善方法を検討していくことが重要と認識しております。
 2つ目の評価としては,職員の意識改革,能力向上につながっている点でございます。事業レビューの対象となる担当課に対しては,資料の準備段階や議論の論点を整理する場において,事業の目的や目標の明確化,問題点の共有化を図り,対象外の所属についても担当職員に対して研修を継続的に行うなど,人材育成に取り組んでおります。また,公開の場で直接評価者と議論し,市民の意見を聞くことで,市民目線に立った行政経営の必要性や説明責任の重要性,プレゼンテーション能力の向上などへの職員の意識が高まったものと考えております。
 一方,市民判定者アンケートの結果を見ますと,職員の説明の中に専門用語が入るため理解しづらかった,課によって説明資料の書き込みに差があったという意見をいただいており,今後も職員と事業レビューの目的や実施の意義を共有し,改善していくことが必要であると認識しております。
 3つ目の評価としては,市民参加の促進であります。
 平成27年度から市民が事業レビューの判定者として参加する制度を導入しておりますが,これにより施策,事業の効果的,効率的な運営の実現に向け,市民と行政がともに考える場づくりができたものと考えております。実際に市民判定者へのアンケートでは,事業の目的や必要性が理解できた,思った以上にいろいろと検討を重ねて取り組んでいることに感心をした,人ごとで考えていたことに気づかされたなど前向きな意見が多く寄せられ,約8割の方から来年度以降も参加したいという意向が確認されました。
 一方で,無作為抽出で募集する市民判定者の応募率は,従前と同じく低調という課題があり,今年度の募集に際し参加を希望しない人に対してアンケートをしたところ,約1割の方がどのようなものかわからないといった理由であったため,事業レビューとは何かを伝える情報発信の改善に今後取り組んでまいります。
 以上,これらの評価から,市として事業レビューは有効なものと考えており,今後の検証を踏まえながら改善に取り組み,継続してまいります。
 次に,御質問2点目の事業シートを活用して施策,事業の目標管理と見直しを進めるべきについてお答えします。
 事業シートとは,事業レビュー実施時に担当課が作成する資料で,事業の目的,必要性,対象,内容,目標指標などを整理し,記載する様式であり,本市でもこのシートを用いて事業レビューを実施しております。
 一方,本市における通常の事業の検討,整備には以前から活用しています様式があり,政策形成や進捗管理,内部検討などさまざまな用途で利用しております。また,本市が使用している様式では,目標,必要性など事業シートと同様の内容を記載しておりますが,職員の人件費を加えた諸事業費を記載する欄がないことや適切な目標管理が設定されていないなど,事業シートを参考とし,改善できる点があると考えております。
 御質問は,事業シートへの記載内容を整理することで事業内容の見直しに有益であるとともに,予算,決算の資料づくりなどさまざまな活用で職員の負担軽減にもつながるとの御提案と理解しております。本市としましても,事業における適切な目標指標の設定や総事業費など一つ一つを整理すること,それをもって目的の達成や改善,見直しに向けて取り組むこと,また職員の負担軽減につなげることは重要であると考えており,まずは現行の様式の改善に取り組んでまいります。

 事業を進める上での細々とした手続がいろいろあるようなことを感じる御答弁を丁寧に教えていただきました。そして,事業レビューを実施される立場としての事業レビューの評価も御説明いただきました。今後続けていかれる予定ということで,5年間続けてきた中でレビューが進化してきたと私も感じておりますし,市民の皆さんの行政に対する理解と信頼を得る機会になっていると感じますので,続けるのはよいことだと思っております。ですが,6年目となると,次の段階へさらにステップアップが必要ではないでしょうか。御答弁としても改善を図っていかれるとのことですが,私からも2つ提案をしたいと思います。
 1つ目は,今は外部から来ていただいている評価者の役割を職員の皆さんでされてはどうですかということです。5年間で説明者として事業レビューの議論に参加してきた職員がかなりおられると思います。評価者は質問のスキルが問われる役割ではありますが,次のステップとしてぜひチャレンジしていただきたいと思っておりますが,いかがでしょうか。
 2つ目は,今はまちづくり戦略検討会議で決めている対象事業を職員の皆さんから希望を募る形にするべきではないかということです。事業レビューで議論が盛り上がる場合と残念ながら議論が低調に終わる場合とがあります。その差についてはちょっと申し上げにくいですけれども,私としては対象事業の担当者の問題意識にあるのではないかと考えています。そのため,レビューの対象になったもののみ事業シートをつくるのではなく,事業シートを広く作成することによって,成果が伸びない事業,コストがふえる事業など職員が問題意識を持つ事業をレビューの対象として選んでいくべきだと思っています。
 2点目に質問した事業シートの活用については,質問の趣旨を汲んだ答弁をしていただいたと受けとめています。形にこだわるものではありませんので,事業の目的,成果やコストをしっかり意識できるような進め方をしていただきたいと思います。

<藤井経営企画部長>

 
 再質問の1点目,事業レビューの評価者の役割を職員で担ってはどうかについてお答えします。
 これまで5年間の実施で延べ102人の職員が説明者として事業レビューに参加し,そのアンケートでは,事業レビューを受けることで新たな気づきがあった,事業の改善に向けて意欲が高まったといった前向きな意見が多く寄せられており,事業レビューを体験することの効果を感じております。
 本市といたしましても,こうした職員の意識改善という高まりをより多くの職員に波及させることは重要であり,その手法について今後検討が必要と考えております。
 また,その方法として職員が評価者として事業レビューを実施するという御提案についてですが,体験会的なものではなく実効性の見える取り組みになることが重要と認識しております。そのためには,これまでの実績からも議論を有効なものにする技術や他の自治体の状況,事業手法の幅広い知識など,必要とされる一定程度のレベルがあるものと考えており,その実施につきましては手法や効果,実現性を含めて調査研究してまいります。
 次に,2点目の点検対象事業を担当課から希望を募る形にするべきではないかについてお答えします。
 本市の事業レビューでは,長期総合計画みはら元気創造プランに掲げる16の政策を3年で一巡する仕組みとし,順番に点検することとしております。また,点検対象事業の選定は担当課と経営企画課とで,現状,課題の把握は妥当か,目標指標の設定は適切かなどの視点で行っており,こうした手順を踏むことで課題のある事業を点検することや職員と評価者との間で議論が活発化することが可能となっており,一定の成果はあったものと考えております。
 職員が問題意識を持っている事業を点検対象とすべきではという御提案につきましては,実施は可能ですので,今後点検事業を全庁的に募集するよう制度改善を進めてまいります。

 前向きな姿勢をお示しいただいたと感じております。事業レビューを市役所内部で公募をして,ぜひ応募があるといいなあと思います。
 行財政改革のツールとして事業レビューを行ってきたわけですけれども,小学校で着ていた服が成長して体が大きくなると中学では着られなくなるように,レビューを行ったことで変化があらわれたのであれば,その変化に対応するツールにつくりかえていかなくてはなりません。意識の高まった職員は次のステップへ,まだその段階に至っていない職員もレベルアップが図れるように取り組んでいただきたいと思います。そして,行財政改革には議会も重要な役割を担っていると思います。現在の予算,決算の添付資料は担当者が書きたいことを書くというのか,問題点を見つけにくい資料だと思います。見つけられないようにつくられているのかもしれないんですけれども,その問題,課題を共有しやすい資料づくりに努めていただきたいことを申し上げて,私の質問を終わります。